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唯一の復讐

      2017/08/10

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日本が戦争に負け、アメリカの属国と言う感が強かった朝鮮戦争時代のことです。

アメリカ軍が朝鮮半島に派兵される際、長崎の佐世保を経由していたそうです。

アメリカから一旦、日本の長崎に集められ、そこから朝鮮に行くといった感じです。

そこである一人の男性が、戦死して日本の佐世保に運ばれてきたアメリカ兵の身元調査をしていたそうです。

戦死といっても五体バラバラで、腕がなかったり、体が半分に分断されていたり、顔が吹っ飛んでいたりなど、身元を割り出すのは大変な作業でした。

それでも、その男性がそんな特異な仕事を引き受けていたのは、報酬がいいからと言っていました。

が、本当の理由は別のところにありました……

派兵される際、何でも、白人は比較的、戦闘の甘い地域に行かされ、黒人はもっとも熾烈で戦死の可能性の高い戦地に派兵されるそうです。

つまり黒人の方が戦死して、死体で返ってくる可能性が高い。

なので戦闘の最前線に派兵される黒人はそれを知っていて、派兵前に滞在する佐世保でかなりピリピリしていたそうです。

そんな折、長崎の佐世保で夏祭りが行われる事になりました。

夏祭りでは花火がドンパチと上がります。

佐世保市はその花火のドンパチが、派兵前でナーバスになっている米兵を刺激するのではと危惧して、祭りを中止するように自治体に要請しました。

ですが、祭りを行う自治体は「大丈夫だよ」と、夏祭りを行う事にしました。

米兵が滞在している建物は、周囲が金網で覆われていましたが、出ようと思えば、出る事はできます。

佐世保市が危惧していた通り、夏祭りの花火に刺激された黒人の米兵が数十人、外に出てしまったそうです。

そこで数人で農家に押し入り略奪し、居合わせた女性を皆で暴行をしたそうです。

何でも暴行はすさまじく、それで死んでしまった女性も居たそうです。

そんな中、前述した男性が妻と納屋で涼んでいたそうです。

彼は異様な雰囲気を察し、妻を納屋の奥に隠れさせ、様子を見に行きました。

すると、殺気立った黒人の米兵が彼の家にも押し入ってきました。

彼らは家を荒らし、酒を出せと騒ぎ、女性は居ないのかと探しました。

すると納屋に隠れていた妻を見つけ出し、壮絶な暴行を始めました。

彼らは数人で狂ったように、彼の妻を犯し続けたそうです。

彼はそれをなす術もなく、呆然と見ていたそうです。

彼の目に焼きついていたのは、妻を犯し続ける黒人の腕に赤い何かの刺青があったことです。

その後、妻は一命は取り留めましたが、激しいショックのため廃人のようになってしまったそうです。

そして彼も妻を助けられなかった自分を責め続けました。

彼の心にすさまじい復讐心が沸き立ってきました。

ですが、彼の妻を暴行し、廃人にした米兵は朝鮮に派兵されてしまって、もう日本には居ません。

しばらくして、戦死した米兵の身元調査の仕事を募集している事を知りました。

彼はその仕事に応募する事にしました。

目的はただ一つ。

彼の妻を犯した黒人を見つけ出す事。

ですが、妙な事にそこで憎き米兵を見つかれたとしても、もう死んでいるのです。

復讐を遂げる事はできません。 それでも彼は延々と探し続けました。 彼の目に焼きついている、赤い刺青を腕に持つ米兵を。

そしてついに発見したのです。

死体となって返ってきた米兵を。

彼は腕の赤い刺青を凝視していました。

するとおもむろに、手にしていたナイフで米兵の死体を切り刻み始めました。

泣き叫びながら……

それが彼にできる唯一の復讐だったようです。

(了)

 

怨呪 [ 真白圭 ]

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