【厳選】 怪談・都市伝説・怖い話まとめ

ネットで見つけた、都市伝説・怪談・ほんとにあった怖い話・世にも奇妙な物語・心霊系・不思議系・電波系・オカルト系のお話シリーズです♪

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牛の森

   

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俺の地元に『牛の森』と呼ばれる森がある。

森から牛の鳴き声が聞こえるからそう呼ばれている。

聞こえると言われている……とかそういうレベルじゃない。

本当に聞こえる。

俺自身も何度か聞いたことがある。

牛の森の奥には秘密の牧場があるとか、黄金の牛がいるとか、そんな都市伝説めいた話も存在する。

そんなだから好奇心旺盛な子供が、牛の森に入って迷子になるということがかなりあった。

学校では迷子が出るたびに、牛の森には入らないように注意され、地区の町内会でも子供が牛の森に入らないように見回りをしていた。

そういう努力もあり、牛の森で迷子になる子供はほとんどいなくなった。

しかし、俺が五年生になる頃、牛の森に猿が住み着いたという噂が立ち始めた。

そうなると子供だけじゃなく、そういうことが好きな年寄りも牛の森で迷子になるということがあった。

俺も猿を見たくて友達と牛の森の周りをよくうろついていた。

五年生の夏休みに、友達とまた牛の森の周りをうろついていると、ついに猿を見つけた。

猿は俺たちに気がつくと、右手で木にぶら下がりながら左手でクイックイッとおいでおいでをしてきた。

俺と友達は、「何だあの猿、すげぇな~(笑)」と興奮し、自転車を止めて牛の森の中へ入っていった。

猿はすごいスピードで木から木に飛び移り、俺たちが追いつくのを確認すると、また木から木に飛び移っていった。

俺たちは夢中で猿を追いかけた。

どれくらい走ったかは覚えていないが、かなり森の奥に来たところで、小さな牧場を見つけた。

牧場といっても、本当に小さい。小さめの公園くらいの広さだ。

不思議な場所だった。周りは木が茂っていて、空は葉で覆われているのに、そこだけ空にポッカリと穴が開いたように陽の光が射していた。

周りを柵で囲まれ、中には四頭の牛おり、小さな小屋があった。

俺は言葉が出なかった。ただただ感動していた。

本当に牛がいたことに。どこか神秘的なこの場所に。

しばらくして、急に猿がキーキー鳴き始めた。

すると、小さな小屋のドアが開き、中から老婆が出てきた。

こう言っちゃ悪いが、猿のような老婆だった。

もしかして、あの猿のお婆さんだったりして(笑)

失礼なことを考えていると、老婆はニコニコ笑いながら、あの猿と同じように左手でクイックイッと、おいでおいでをしてきた。

俺はこの場所に興味津々だったから行こうとすると、友達が急にその場から逃げ出した。

どうしたんだ?と思ったが、一歩近づいてすぐに了解した。

俺の位置からは牛と重なって老婆の右手が見えなかったが、老婆は右手に牛の首を持っていた。

一瞬時が止まったが、すぐに俺も友達の後を追うように逃げだした。

足場は悪く、周りは木が茂っているのでうまく走れない。

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それでも、とにかく全力で走った。

後ろから誰かが追いかけてくる気配がする。

後ろを振り向きたい衝動に駆られるが、後ろを振り向いたらいけないような気がしてならない。

あの老婆がニコニコ笑いながら包丁を持って追いかけてくる姿が容易に想像できる。

前を走る友達が不意に後ろを振り向いた。

俺もそれにつられて、つい後ろを振り向いてしまった。

……そこに老婆はいなかった。

かわりにあの猿が追いかけてきていた。

猿はあっという間に俺たちに追いつくと、俺たちの右側の木に飛び移りキーキー鳴いて俺たちを威嚇してきた。

手は出してこない。ただ鳴いて威嚇してくる。

猿に気を取られながらも必死に走っていると、何かが見えてきた。

さっきの小さな牧場だ。

どうしてだ?と困惑しながらも、今度は俺が先頭になって逆方向へ走りだした。

また猿が右側の木に飛び移りキーキー鳴いて威嚇してきた。

しばらくすると前の方に陽の光が射す場所が見えた。あの牧場だ。

俺は足を止め、泣きそうな顔で後ろを振り向いた。

友達も泣きそうな顔をしていた。

俺たちは数秒、顔を見合わせていたが、「逃げなきゃ……」という友達の声で、また逆方向へ走りだした。

相変わらず猿はキーキー鳴いて俺たちを威嚇する。

右のほうから微かに声が聞こえた。

俺たちは足を止め、進行方向を右へ変えた。

「お~~い、森へ入っちゃダメだぞ~~、すぐに出てきなさ~~い」

今度ははっきり聞こえた。

俺たちは声にならない声を上げ、その声の方へ走った。

牛の森の入口付近に顔見知りのおじさんを見つけると、俺たちは泣きながらそのおじさんにしがみついた。

おじさんは自転車が牛の森の前で止まっているのを見つけたので、声を上げていたという。

おじさんと一緒に牛の森を出ると、あの猿のキーキー鳴く声が聞こえた。

牛の森のほうを見ると、猿はまた右手で木にぶら下がりながら左手でクイックイッとおいでおいでをしてくる。

俺たちが怯えるのを見て、おじさんが「オラァァァ!!」と猿に向かって叫ぶと、猿はびっくりして牛の森の中へ消えていった。

俺たちは牛の森で見たことをおじさんにも親にも話したが、信じてくれたのかどうなのかあいまいな感じでよくわからない。

学校の友達に話すとその話がかなり広がり、老婆にボディブロー入れたとか、老婆に焼肉ごちそうになったとか訳のわからないことを言いだす奴も出る始末。

それ以来、牛の森には入るどころかほとんど近づかなくなったので、あの猿と牧場と老婆の真相はわからない。

森の奥で牧場を営んでる変わり者のお婆さんだったのか、

それとも……

(了)

 

江戸残酷物語 [ マーヴェリック ]

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