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裏返し【語り継がれる伝説の怖い話】

      2016/07/22

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最初にお願いと注意を。

983 : おかいものさん2016/04/13(水) 02:38:45.74

この文章を読む前に、身近なところに時計があるかどうか確認してもらいたい。十分、二十分が命取りになりかねないので。

では……

先月、高校時代の友人がポックリ病で逝ってしまった。

通夜の席で十数年ぶりに集まった同級生の、誰からともなく

「そのうち皆で呑もうなんていってるうちに、もう三人も死んじまった。本気で来月あたり集まって呑もうよ」

という話になった。

言い出しっぺの曽根という男が幹事になって話しは進行中だが、なかなか全員のスケジュール調整がつかない。(男五人、女三人)

今年の夏はくそ暑いし、九月に入ってからにしようかと、幹事の曽根と今昼飯をいっしょに食べながら話し合った。

そのときビールなんか呑んだのが、間違いだった。

曽根が、ふと言わなくてもいいことをつい口に出し、おれは酔った勢いで、それに突っ込んだ。

それは先月死んだ友人に先立つこと十年、学生時代に死んだ岸と椎名のカップルのことだった。

十年前曽根は一人暮らしの岸のアパートで、椎名と三人で酒を呑んだ。

直後、岸と椎名は交通事故で死亡。

岸の酔っ払い運転による事故という惨事だった。

曽根はその事故の第一発見者でもある。

おれは、2ちゃんねるのことを曽根に説明し、事故の第一発見者のスレッドに書き込めと、悪趣味な提案をしたのだ。

すると、曽根はたちまちにして顔面蒼白となり「冗談じゃない!」と本気で怒り出した。

おれは、いささか鼻白み「ムキになんなよ」と言い返したが、曽根の怒りは収まらず

「じゃあ、あのときの話を聞かせてやるが、後悔するなよ」

と言って、恐ろしい早口で話し出したのだ。

 

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曽根のはなし

おれが岸と椎名と呑んでいたとき、弓削先輩がいきなり岸のアパートを訪ねてきた。

顔面真っ青で、突然「おまえ等、裏返しの話を知ってるか」と話し出した。

そのときおれは、酒を買い足しにいこうとしたときだった。

弓削さんが止める様子もないので、缶酎ハイを買いに出て、十五分ばかり中座した。

部屋に戻ると、弓削さんは大分くつろいだ様子で、おれが買ってきた酎ハイを喉を鳴らして一気に呑んだ。

「なんの話だったんですか?」

「だから裏返しだよ」

「裏返し?」

「裏返しになって死んだ死体見たことあるか?」

「……いいえ。なんですか、それ?」

「靴下みたいに、一瞬にして裏返しになって死ぬんだよ」

「まさか。なんで、そんなことになるんですか?」

先輩は、くっくと喉を鳴らして笑った。

「この話を聞いて、二時間以内に、他の人間にこの話をしないと、そういう目にあうんだ」

「不幸の手紙ですか?」

おれは本気にしたわけではないが、聞き返した。

今なら「リング」ですか?と言うところか。

「なんとでも言え。とにかく、おれはもう大丈夫だ。もさもさしてないで、おまえ等も話しにいった方がいいぞ」

なにか白けた感じになったが、買い足してきた分の酎ハイを呑み干して、宴会はお開きになった。

先輩はバイクで去り、岸椎名は岸のサニーに乗った。

スタートした直後、サニーは電柱に衝突した。

呑み過ぎたのかと思い、すぐに駆け寄ってみると、岸椎と名は血まみれになっていた。

そんな大事故には見えなかったので、おれは少なからず驚いた。

いや、もっと驚いたのは二人がマッパだったってことだ。

二人は、完全に裏返しになっていたのだ。おれは大声で叫んだ。

「裏返しだ!裏返しで死んでる!」

すぐに人が集まってきて、現場を覗き込んで、おれと同じ言葉を繰り返した。

だから、皆助かったのだろう。

話を終えると曽根は逃げるように帰って行った。

おれはこんな話むろん信じないが、一応このスレッドを立てて、予防しておく。

読んだ方。一応後何時間あるか、時計でご確認を……

(了)

 

怪談 [ 小池壮彦 ]

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