【厳選】 怪談・都市伝説・怖い話まとめ

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天体観測の夜

      2017/03/20

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俺が小学生だった八十年代頃の話。

763 :本当にあった怖い名無し:2012/05/18(金) 13:42:20.58 ID:FIW7VNRAI0

友達のタカシとケンイチと一緒に、ケンイチが誕生日祝いで買ってもらった天体望遠鏡を使って天体観測をすることになった。

俺の家とタカシの家は住宅街だったし、ケンイチの家はうちからすこし離れていた田舎だったけど、庭でできそうもなかったので、ケンイチの家の近所の神社の境内でしようということになった。

夏休み中だったのでケンイチの家で一泊する事になり、ある程度夜更かしを許された俺達は十時頃までゲームをしていた。

そしてそろそろいくかーと虫よけスプレーなどして準備万端でいざ神社へ向かった。

境内に入ると虫の声が少ししていただけでほとんど何も聞こえず、天体望遠鏡を設置して懐中電灯の明かりを消すと真っ暗になった。

最初は星座の名前を調べたりしてワイワイとやっていたが、だんだん飽きてきた。

低倍率の天体望遠鏡で見えるのはほとんど代わり映えしない恒星ばかりだったからだ。

そろそろ帰ろうか、という事になりライトを探すがどこにあるのか分からない。

管理していたタカシが、どこだっけ?と言いながら手探りで探し始めた。

すると、どこからか

『コーン…コーン…』という音が響きだした。

なんだろう?タカシが泣きそうな顔で必死に探している中、俺とケンイチはその音が気になり音の出どころである神社の隅に行ってみた。

俺たちは神社の鳥居をくぐって左手側の広場で天体観測をしていたんだが、音は右手側の林からしていた。

音の方から明かりが見えた。遠目でもよく分かる、白装束に身を包んだ人間だった。

俺は丑の刻参りを知っていたので焦った。

ケンイチはよくわからないといった感じで小声で「何あれ?」とか聞いてきた。

叫びたい気持ちをおさえ、「やばそうなので戻ろう」とケンイチに言おうとしたその時、後ろから

「おーい、懐中電灯あったぞー!」

と叫びながらタカシが懐中電灯のライトをぐるぐるとこちらに向けながら走ってきた。

コーン…コーン…という音が止まった。

バレた…終わった…そう悟った。

「逃げるぞ!!」

俺が叫ぶと、タカシとケンイチはポカーンとしていたが、俺がダッシュで逃げるのを見てパニくったのか、タカシは泣きながら付いてきた。

しかしケンイチは「天体望遠鏡!!」といって広場のほうに行ってしまった。

鳥居を抜け、階段下の駐車場まで逃げた俺達はケンイチを一分ほど待ったが、ケンイチはこない…

どうする?とタカシと相談したがタカシは何が何だか分からない様子。

そもそも煽られて逃げただけだから仕方ない。

戻ってケンイチの親に言うべきか…自分の親に言うべきか…どうしよう、と思っていると階段の上から明かりが降りてくる。

天体望遠鏡を握りしめ泣きながらケンイチが降りてきた。

その後ろには手に蝋燭を持った白装束の女が一緒だった。

逃げたい気持ちをおさえ、ケンイチの名前を呼んだが、泣きじゃくっているケンイチから返事はない。

タカシがライトを当てるとケンイチはあちこちにケガをしていた。

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すると女がいきなり「ごめんね」と謝ってきた。

女も号泣していた。

五分ほどして落ち着いた俺たちに女は話した。

丑の刻参りをしていたが俺たちに見つかり失敗した。

俺は殺されると思ったが、女は「失敗した」程度であきらめに近い感情があっただけだったらしい。

だがそのあと大きな音がして驚いて広場のほうに行くと盛大に転んだケンイチが傷だらけになっていた。

泣き叫ぶケンイチ、自分のせいだと思ったのであろう女は責任を感じ号泣してしまったらしい。

幸いケンイチは擦り傷だけで大丈夫そうだった。

傷を清めの水で洗った後、ケンイチは泣くこともなくあっけらかんとしていた。

そのあと、駐車場にあった自動販売機で女にジュースをおごってもらい、少しだけ話をした。

女は市街に住むOLで嫌な上司にいじめられてる、という内容だった。

で、その上司を呪うために丑の刻参りをしたらしい。

話していると普通の女の人で、自動販売機の明かりで見たその顔はむしろ美人な人だという感想だった。

ちなみに白装束だと思っていたのはただの白っぽい服だった。

その後、もしケンイチのケガがひどかったら電話して、と電話番号をもらった。

夜八時以降か日曜日しかつながらないけど、と言っていた気がする。

そして俺が天体望遠鏡を持ち、ケンイチの家まで帰った。親には話さなかった。

一週間後、ケンイチは何事もなく完治したので、女の人に一報入れておこうということになった。

綺麗な人だったし、もう一度会うのもいいかもとか少し期待してた。

多分俺以外もみんな期待していただろう。

なぜか口達者というだけで俺が電話することになった。

女が出て「あの時は本当にごめんね」みたいなことを言ってきたので

「気にしないでください」とだけ言った。

すると女が心底うれしそうにこう言った。

「そうそう、あの時の呪い、効いたよ」

俺は何が起きたのかは聞けなかった。

結局、それから女に連絡はしていない。

(了)

 

呪術の人類学 [ 白川千尋 ]

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