【厳選】 怪談・都市伝説・怖い話まとめ

ネットで見つけた、都市伝説・怪談・ほんとにあった怖い話・世にも奇妙な物語・心霊系・不思議系・電波系・オカルト系のお話シリーズです♪

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帝国陸軍第十三号坑道

   

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これを書いたら、昔の仲間なら俺が誰だか分かると思う。

バレたら相当やばい。まだ生きてるって知られたらまた探しにかかるだろう。

でも俺が書かなきゃ、あの井戸の存在は闇に葬られたままだ。

だから書こうと思う。

文章作るの下手だし、かなり長くなった。

しかも怪談じゃないから、興味の湧いた人だけ読んで欲しい。

今から数年前の話。

俺は東京にある、某組織の若手幹部に使われてた。島内さん(仮名)って人。

今やそういう組織も、日々の微妙にヤバい仕事はアウトソーシングですよ。

それも組織じゃなく、個人が雇うの。警察が介入してきたらトカゲの尻尾切りってやつね。

その代わり金まわりは、かなり良かったよ。

俺は都内の、比較的金持ちの日本人、外国人が遊ぶ街で働いてた。

日々のヤバい仕事っていうとすごそうだけど、実際に俺がやってたのは、ワンボックスで花屋に花取りに行って代金を払う。

その花を俺がキャバクラから、高級クラブまで配達する。

キャバクラ行くと必ず花置いてあんだろ?あれだよ。で、花配りながら集金して回る。

もちろん花屋に渡した代金の3~5倍はもらうんだけどね。

3万が10万、5万が25万になったりするわけよ。月に三千万くらいにはなったね。

俺がやるヤバい仕事ってのは、最初はその程度だった。

それでも結構まじめにやってた。相手もずる賢いのが多いからさ。

相手が若僧だと思うと、なめてかかって値切ろうとするバカもいるんだよね。

そのたびに暴力沙汰起こしてたんじゃ、仕事になんないわけだ。起こす奴もいるけど。

でも警察呼ばれたら負けだからね。

次から金取れなくなるから、組から睨まれる。タダじゃすまんよ。

そういう時、俺は粘り強く話す。

話すけど、肝心なトコは絶対ゆずらない。

一円も値切らせないし、ひとつの条件もつけさせない。

前置き長くなったけど、まあうまくやってるってんで、島内さんの舎弟の津田さん(仮名)、日野さん(仮名)なんかに結構信頼されるようになった。

それで、時々花の配達に使ってるワンボックスで夜中に呼び出されるようになった。

積んでるのは、多分ドラム缶とか段ボール。

荷物積む時は、俺は運転席から出ない事になってたし、後ろは目張りされてて、見えないから。

それでベンツの後ろついてくだけ。

荷物を下ろしたら、少し離れたところで待たされて、またベンツについて帰って金もらって終了。

何を運んでたなんて知らない。

その代わり、1回の仕事で、花の配達の1ヶ月分のバイト代をもらえた。

ある夜、また呼び出された。

行ってみると、いつもとメンツが違う。

いつもは津田さんか日野さんと、部下の若い人だった。

ところがその日は、幹部の島内さんがいて、他には津田さん、日野さんの三人だけ。

三人とも異様に緊張してイラついてて、明らかに普通じゃない雰囲気。

俺が着いても、「エンジン切って待ってろ」って言ったままボソボソ何か話してた。

「……はこのまま帰せ」

「あいつは大丈夫ですよ。それより……」

途切れ途切れに会話が聞こえてたけど、結局俺は運転していく事になった。

何だか嫌な予感がしたけどね。

後ろのハッチが開いて、何か積んでるのが分かった。

でも今回はドラム缶とか、段ボールじゃなかった。

置いた時の音がね、いつもと違ってた。重そうなもんではあったけど。

さらに変だったのが、津田さんと日野さんが同乗した事。

いつもは俺一人で、ベンツについてくだけなのに。しかもいきなり首都高に入った。

あそこはカメラもあるし、出入口にはNシステムもあるから。

こういう仕事の時は、一般道でもNシステムは回避して走るのに。

首都高の環状線はさ、皇居を見下ろしちゃいけないとかでさ、何ヵ所か地下に入るよね。

恥ずかしながら、俺は運転には自信あるけど、道覚えるのは、苦手なんだよね。方向音痴だし。

多分環状線を、ニ周くらいしたと思う。

車が途切れたところで、突然島内さんが乗るベンツが、トンネルの中で、ハザード出した。

それまで津田さんも日野さんも、ひと言もしゃべらなかったけど、津田さんが、右の車線に入って止めろって。

言われるままに止めたよ。そこって合流地点だった。

で、中洲みたいになってるとこに、バックで車入れろって言うから、その通りにして、ライト消した。

両側柱になってて、普通に走ってる車からは、振り返って見たとしてもなかなか見つけられないと思う。

まあ見つけたとしても、かかわり合いにならない方が良いけどね。

島内さんが乗ったベンツは、そのまま走り去った。

津田さんと日野さんは、二人で荷物を下ろしてたけど、俺にも下りて来いって。

俺はこの時も嫌な予感がした。今まで呼ばれた事なんて無かったし。

津田さんと日野さんが、二人でかつぎ上げてるビニールの袋。

映画とかでよく見る、死体袋とかいう黒いやつ。

もう中身は、絶対に人間としか思えない。

とんでもない事に巻き込まれたって思って、腰が痛くなった。多分腰抜ける寸前だったんだろう。

何で組の人じゃなくて俺なの?ってその時は思ったけど、その理由も後になれば分かったんだけど。

で、津田さんがポケットに鍵があるからそれ使って金網の扉の鍵開けろって言うから、言う通りにした。

金網開けて、5~6メートルでまた扉にぶつかる。

扉というより、鉄柵って感じかな。だって開けるための取っ手とかないし、第一鍵穴すら見当たらない。

どうすんだろうな……と思ったらまた津田さんが別のポケットを指定。

今度は大小ひとつずつの鍵。

コンクリの壁にステンレスの小さいフタが付いてて、それを小さい方の鍵で開ける。

中に円筒形の鍵穴があって、それは大きい方の鍵。

それを回すと、ガチャって音がして、柵が少し動いた。

右から左に柵が開いた。

壁の中まで柵が食い込んでて、その中でロックされてる。

鍵を壊して侵入は出来ない構造らしい。

さらに先はもう真っ暗。

マグライトをつけて先に進んだけど、すぐに鉄扉に当たった。

『無断立入厳禁防衛施設庁』

って書いてあった。

これは不思議だった。だってここ道路公団の施設だよね?

ていうか、こんなとこ入って平気なのかなって思った。

まあこの人たちのやる事だから、抜かりはないとは思うんだけど、監視カメラとかあるんじゃないのって不安になった。

まあ中に進んだらもっと不思議なもんが待ってたんだけどね。

鉄の扉もさっきの鉄柵と同じ要領で開いて、俺たちは中に入った。

津田さんも日野さんも、うっすら汗かき始めてて、ずいぶん重そうだったけど運ぶの手伝えとは言わなかった。

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中に入るとすぐ階段で、ひたすら下に下りて行った。

結構下りた。時々二人が止まって、肩にかついでいる『荷物』をかつぎ直してた。

階段を下りると、ものすごく広い通路が左右に伸びてた。多分幅10mくらいあったと思う。

下りたところで、ひと休みした。通路はところどころ電灯がついててすごく薄暗いけど、一応ライトは無しで歩けた。

俺たちは反対側に渡って(って言いたくなるくらい広い)左手に向かって進んだ。

時々休みながら、どれくらい進んだかな。通路自体は分岐はしてない。

ひたすら真っ直ぐで、左右の壁に時々鉄の扉がついてる。

ある扉の前で津田さんが止まって言った。

「これじゃねえか。これだろ」

そこには

『帝国陸軍第十三号坑道』

そう書いてあった。字体は古かったけど。

信じられる?今の日本にあるのは陸上自衛隊でしょ。何十年も前のトンネルなのか、これは?

津田さんも日野さんも汗だくで息も荒くなってたから、扉を入ったところでまた『荷物』を下ろして、休憩する事にした。

二人とも無言だったから俺も黙ってた。

しばらくして、津田さんがそろそろ行こうって言って、袋の片側、多分『足』がある側を持った。そしたら……

『袋』が突然暴れた!

津田さんは不意を突かれて手を放してしまい、弾みで反対側の袋の口から顔が出てきた。

猿ぐつわを噛まされた、ちょっと小太りの男。

どっかで見たことある……

それもあるけど、分かっていながらも、袋からリアルに人が、しかも生きた人が出てきた事にビビッて、俺は固まってた。

津田さんが日野さんに

「おい何で目を覚ました!」

「クスリ打てクスリ!」

「袋に戻せ!」

とか言ってるのが聞こえた。

日野さんはクスリは持ってないとか、何とか答えてた。

その間も『袋』は暴れてた。

暴れてたというか、体を縛られてるらしく、激しく身をよじって袋から出ようとしていた。

すると津田さんが、袋の上から腹のあたりを踏んづけるように蹴った。

一瞬『袋』の動きが止まったけど「ウ~!」と、すごい唸り声を上げながら、また暴れ出した。

津田さんは腹のあたりを構わず蹴り続けた。

それでも『袋』は、暴れ続けた。

やがて日野さんも加わって、二人でめちゃくちゃに蹴り始めた。

パキって音が2、3回立て続けにした。

多分肋骨が折れたんだと思う。

『袋』の動きが止まった。

その時なぜか、男は頭を振って俺に気が付いた。

それまですごい形相で暴れていた男が、急に泣きそうな顔で俺を見つめた。

津田さんが「袋に戻せ」と言うと、日野さんが男の肩のあたりを足で抑えながら、袋を引っ張って男を中に戻した。

今でもその光景はスローモーションの映像のまま、俺の記憶に残ってる。

男は袋に戻されるまでずっと俺を見てた。

……一生忘れられない。

日野さんが袋の口をきつく縛るのを確認すると、津田さんはさらに数回袋を蹴った。

「これくらいかな。殺しちゃまずいからな」

津田さんはそう言って、俺を見た。

「お前、こいつの顔を見たか」

「いえ……突然だったんで、何が何だか」

そう答えるのが精一杯だった。

その時は本当に、どこかで見たような気がしたけど思い出せなかった。

津田さんと日野さんは、再び動かなくなった『袋』をかつぎ上げた。

それまでと違うのは、真ん中に俺が入ったこと。

もう中身を知ってしまったので、一蓮托生だ。

それからその13号坑道ってやつを延々歩いた。

今までの広い通路とはうって変わって、幅が3mもないくらいの狭い通路だった。

右手は常に壁なんだけど、左手は時々下に下りる階段があった。

幅1mちょいくらいの階段で、ほんの数段下りたところに扉がついてた。

何個目か分かんないけど、津田さんがある扉の前で止まれって言った。

そこもまた 『帝国陸軍』

『帝国陸軍第126号井戸』

って書いてあった(128だったかも。偶数だった記憶があるけど忘れた)それで津田さんに言われるまま、中に入った。

中は結構広い部屋だった。小中学校の教室くらいはあったかな。

その真ん中に確かに井戸があった。でもフタが閉まってるの。

重そうな鉄のフタ。端っこにクサリがついててそれが天井の滑車につながってた。

滑車からぶら下がっているもうひとつのクサリを引いて回すと、フタについたクサリが徐々に巻き取られて、フタが開いてく仕掛けになってた。

オレは言われるままに、どんどんクサリを引っ張ってフタを開けていった。

完全にフタが開いたとこで二人が『袋』を抱え上げた。

もう分かったよ。この地底深く、誰も来ない井戸に投げ込んでしまえば、二度と出てこないもんね。

でもひとつだけ分からない事があった。

なんで『生きたまま』投げ込む必要があるの?

二人は袋を井戸に落とした。

ドボーン!

水の中に落ちる音がする……はずだった。

でも聞こえてきたのは、バシャッて音。

この井戸、水が枯れてるんじゃないの?って音。

津田さんと日野さんも、顔を見合わせてた。

津田さんが俺の持っているマグライトを見てアゴをしゃくってみせ、首を傾げて井戸を覗けってジェスチャーをした。

マグライトで照らしてみたけど、最初はぼんやりとしか底まで光が届かなかった。

レンズを少し回して焦点を絞ると、小さいけど底まで光が届いた。

光の輪の中には『袋』の一部が照らし出されてる。

やっぱり枯れてるみたいで、水はほとんどない。

そこに手が現れた。真っ白い手。さらにつるっぱげで、真っ白な頭頂部。

あれ?さっきの『袋』の人、つるっぱげじゃ無かったよな。

ワケが分かんなくて、呆然と考えていたら、また頭が現れた。

え?二人?

ますます頭が混乱して、ただ眺めてたら、その頭がすっと上を向いた。

目がない。

空洞とかじゃなくて、鼻の穴みたいな小さい穴がついてるだけ。

理解不能な出来事に、俺たちは全員固まってた。

しかも二人だけじゃ無さそうだ。

奴らの周囲でも、何かがうごめいている気配がする。

何だあれ?人間なのか?なぜ井戸の中にいる?何をしている?

その時、急に扉が開いて人が入ってきた。

俺は驚いてライトを落として、立ち上がってた。津田さんと日野さんも。

入ってきたのは島内さんだった。島内さんは俺たちを見て怪訝そうな顔をした。

「津田、もうすんだのか」

津田さんは少しの間、呆然としていたけど、すぐに答えた。

「すみました」

島内さんは俺たちの様子を見て、俺たちが井戸の中身を見た事を悟ったみたいだった。

「見たのか、中を」

俺たちはうなずきもせず、言葉も発しなかったが、否定しないことが肯定になった。

「さっさとフタ閉めろ」

言われて俺は、慌ててクサリのところに行って、さっきとは反対側のクサリを引いて回した。

少しずつフタが閉まっていく。

「よけいな事を考えるんじゃねえ。忘れろ」

そう言われた。

確かにそうなんだけど、ぐるぐる考えた。

殺しちゃまずいって、津田さんは言ってた。

津田さん自身も、なぜ殺しちゃだめなのか、知らなかったんだと思う。

生きたまま落とした理由は?生きたまま……あの化け物のような奴らがいるところへ……。

考えたくなくなった。

俺たちは来た道を戻り、車で道に出た。今度は津田さん、日野さんは、島内さんのベンツに乗っていった。

そしてそれが三人を見た最後になった。

俺は思い出していた。あのとき『袋』に入っていた男の顔を。

最近出所してきた、会長の三男だった。

出来の悪い男というウワサだった。ケチな仕事で下手を踏み、服役していたらしい。

俺は2、3回しか顔を合わせた事が無かったが、大した事無さそうなのに、いばり散らしてヤな感じだったのを覚えてる。

だからといって、会長の息子を殺すのはアウトだよ、死体を隠したっていずれバレる。

それでも出来るだけバレないように、俺を使って運んだんだろうけど。

あの出来事からニ週間くらいして、島内さんがいなくなった、お前も姿をくらませって、津田さんから電話があった。

バレたんだ。会長の息子を殺ったのを。

組から距離をおいていたのが幸いして、俺は逃げ延びる事ができた。

津田さんや日野さんがどうなったのかは知らない。

あれから数年、俺は人の多い土地を転々としている。

これはあるネットカフェで書いた。もうすぐネットカフェも、身分証を見せないと書き込めなくなるらしい。

これが最後のチャンスだ。

組の人たちがこれを知れば、どこから書いたのかすぐに突き止めると思う。

だから俺はこの街には、二度と戻ってこない。

誰かあの井戸を突き止めて欲しい。

なぜあの井戸に、暴力団なんかが鍵持って入れるのか。

そうしたら俺の追っ手は、みんな捕まるかも知れない。

俺は逃げ延びたい。

これからも逃げ続けるつもりだ……

(了)

 

呪術師ペレネル [ マイケル・スコット ]

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