【厳選】 怪談・都市伝説・怖い話まとめ

ネットで見つけた、都市伝説・怪談・ほんとにあった怖い話・世にも奇妙な物語・心霊系・不思議系・電波系・オカルト系のお話シリーズです♪

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師匠シリーズ 023話~025話 顔・血(前編)・写真

      2018/09/21

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023 師匠シリーズ「顏」

大学一回生の冬。

大学生になってからの一年弱、大学の先輩でありオカルト道の師匠でもある人と、様々な心霊スポットへ足を踏み入れた俺だったが、さすがに寒くなってくると出不精になってくる。

正月休みにめずらしく師匠が俺の下宿に遊びに来た。

とくにすることもないので、コタツにもぐりこんで俺はゲームボーイを、師匠はテレビをぼーっと見ていた。

ふと、師匠が「あれ?」と言うので顔を向けると、テレビにはダイバーによる、どこかの海の海底探査の様子が映っていた。

「この石像って、あ、消えた」

すぐに画面が切り替わったが、一瞬だけ見えた。

地中海のエジプト沖で、海底にヘレニズム期の遺跡が発見されたと、アナウンサーが報じていた。

海底に沈んだ石造りの古代の建造物が、ダイバーの水中カメラに映し出されている。

その映像の中に、崩れた石柱の下敷きになっている石像の姿があったのだ。

なにかの神様だろうそれは、泥の舞う海の底で、苦悶の表情としか思えない顔をしていた。

最初からそんな表情の石像だったとは思えない、不気味な迫力があった。

何ごともなく番組は次のニュースへ移る。

「こんなことって、あるんですかね」と言う俺に、師匠は難しい顔をして話しはじめた。
「廃仏毀釈って知ってる?」

師匠の専攻は仏教美術だ。日本で似たような例を知っているという。

江戸から明治に入り、神仏習合の時代から、仏教にとっては受難といえる神道一党の時代へ変化した時があった。

多くの寺院が打ち壊され、仏具や仏像が焼かれ、また、神社でも仏教色の強かったところでは多くの仏像が収められていたが、それらもほとんどが処分された。

「中でも密教に対する弾圧は凄まじかった」

吉野の金峰山寺は破壊され、周辺の寺院も次々と襲われたが、その寺の一つで不思議なことがあったという。

僧侶が神官の一党に襲われ、不動明王など密教系の仏像はすべて寺の庭に埋められて、のちに廃寺とされた。

弾圧の熱が収まりはじめたころ、貴重な仏像が坑されたという話を聞きつけて、近隣の山師的な男がそれを掘り起こそうとした。

ところが、土の中から出てきた仏像は、すべて憤怒の顔をしていたという。

元から憤怒の表情の不動明王はともかく、柔和なはずの他の仏像までもことごとく、地獄の鬼もかほどではないという凄まじい顔になっていたそうだ。

その怒りに畏れた男は、掘り出した仏像に火をかけた。

木製の仏像は六日間(!)ものあいだ燃え続け、その間「おーんおーん」という、唸り声のような音を放ち続けたという。

あまりに凄い話に、俺は気がつくと正座していた。

「何年かまえ、人間国宝にもなっている仏師が、外国メディアのインタビューを受けた記事を読んだことがある。
記者が『どうしてこんなに深みのあるアルケイックスマイルを表現できるのでしょうか』と聞くと、仏師はこう答えた。
『彫るのではない。わらうんだ』
これを聞いたときは痺れたねぇ……」

めずらしく師匠が他人を褒めている。

俺は、命を持たない像が感情をあらわすということもあるかも知れない、と思い始めた。
「そうそう、僕が以前、多少心得のある催眠術の技術を使って、面白いことをしたことがある」

なにを言い出したのか、ちょっと不安になった。

「普通の胸像にね、ささやいたんだ。『お前は石にされた人間だよ』」

怖っ。なんてことを考えるんだこの人は。

そしてどうなったのか、あえて聞かなかった。

024 師匠シリーズ「血 前編」

大学一回生のとき、オカルト道を突き進んでいた俺には師匠がいた。

ただの怖い物好きとは一線を画す、得体の知れない雰囲気を持った男だった。

その師匠とは別に、自分を別の世界に触れさせてくれる人がいた。

オカルト系のネット仲間で、オフでも会う仲の『京介』さんといいう女性だ。

どちらも俺とは住む世界が違うように思える凄い人だった。

師匠のカノジョも同じネット仲間だったので、その彼女を通じて面識があるのかと思っていたが、京介さんは師匠を知らないという。

俺はその二人を会わせたらどういう化学反応を起こすのか見てみたかった。

そこであるとき、師匠に京介さんのことを話してみた。「会ってみませんか」と。

師匠は腕組みをしたまま唸ったあとで、「最近付き合いが悪いと思ってたら、浮気してたのか」

そんな嫉妬されても困る。

が、「黒魔術に首をつっこむとろくなことがないよ」と諭された。

ネットでは黒魔術系のフォーラムにいたのだった。

「どんなことをしてるのか」と問われて、「あんまり黒魔術っぽいことはしてませんが」と答えていると、あるエピソードに食いついてきた。

京介さんの母校である地元の女子高に潜入したときの出来事だったが、その女子高の名前に反応したのだった。

「待った、その女の名前は?京子とか、ちひろとかいう名前じゃない?」

そういえば、京介というハンドルネームしか知らない。

話を聞くと、師匠が大学に入ったばかりのころ、同じ市内にある女子高校で、新聞沙汰になる猟奇的な事件があったそうだ。

女子生徒が重度の貧血で救急車で搬送されたのであるが、「同級生に血を吸われた」と証言して、地元の新聞がそれに食いつき、ちょっとした騒ぎになった。

その後、警察は自殺未遂と発表し、事件自体は尻切れのような形で沈静化した。

しかしそのあと、二人の女子生徒が密かに停学処分になっているという。

「当時、僕ら地元のオカルトマニアには、この事件はホットだった。○○高のヴァンパイアってね。たしか校内で流行ってた占いの秘密サークルがからんでて、停学になったのはそのリーダー格の二人。どっかで得た情報ではそんな名前だった」

吸血鬼っていまどき。俺は師匠には申し訳ないが腹を抱えた。

「笑いごとじゃない。その女には近づかないほうがいい」

思いもかけない真剣な顔で迫られた。

「でも京介さんがその停学になった人とは限らないし」

俺はあくまで一歩引いて流そうとしていた。

しかし、『京子』という名前が妙に頭の隅に残ったのだった。

地元の大学ということもあってか、その女子高出身の人が俺の周辺には結構いた。

同じ学科の先輩でその女子高OBの人がいたので、わざわざ話を聞きに行った。

やはり、自分でもかなり気になっていたらしい。

「京子さん?もちろん知ってる。私の1コ上。そうそう、停学になってた。なんとか京子と、山中ちひろ。占いとか言って、血を吸ってたらしい。うわー、きしょい。二人とも頭おかしいんだって。 とくに京子さんの方は、名前を口に出しただけで呪われるとかって、下級生にも噂があったくらい。 えーと、そうそう、間崎京子。ギャ、言っちゃった」

その先輩に、『京子』さんと同学年という人を二人紹介してもらった。

二人とも他学部だったが、学内の喫茶店とサークルの部室に乗りこんで話を聞いた。

「京子さん?あの人はヤバイよ。悪魔を呼び出すとか言って、へんな儀式とかしてたらしい。高校生がそこまでするかってくらいイッちゃってた。最初は占いとか好きな取り巻きが結構いたけど、最後はその京子さんとちひろさんしかいなくなってた。卒業して外に出たって話は聞かないから、案外まだ市内にいるんじゃない?なにしてるんだか知らないけど」

「その名前は出さないほうがいいですよ。いや、ホント。ふざけて陰口叩いてて、事故にあった子結構いたし。ホントですよ。え?そうそう。ショートで背が高かったなあ。顔はね、きれいだったけど……近寄りがたくて、彼氏なんかいなさそうだった」

話を聞いた帰り道、ガムを踏んだ。

嫌な予感がする。

高校時代から怪我人が出るような『遊び』をしていたという、『京介』さんの話と合致する。

山中ちひろというのは、京介さんが親しかったという黒魔術系サークルのリーダー格の女性ではないだろうか。

間崎京子。頭の中でその言葉が回った。

それから数日、ネットには繋がなかった。

なんとなく京介さんと会話するのが怖かった。ギクシャクしてしまいそうで。

ある意味、そんな京介さんもオッケー!という自分もいる。

別に取って食われるわけではあるまい。面白そうではないか。

しかし、「近づくな」と短期間に四人から言われると、ちょっと警戒してしまうのも事実だった。

そんな問題を先送りにしただけの日々を送っていたある日、道を歩いているとガムを踏んだ。

歩道の端にこすりつけていると、そのとき不思議なことが起こった。

一瞬あたりが暗くなり、すぐにまた明るくなったのだ。

雲の下に入ったとか、そんな暗さではなかった。一瞬だが、真っ暗といっていい。

しばらくその場で固まっていると、また同じことが起こった。

パッパッと周囲が明滅したのだ。

まるでゆっくりまばたきした時のようだった。

しかしもちろん、自分がしたまばたきに驚くようなバカではない。

怖くなってその場を離れた。

次は家で歯磨きをしているときだった。

パチ、パチ、と二回、暗闇に視界がシャットダウンされた。

驚いて口の中のものを飲んでしまった。

そんなことが数日続き、ノイローゼ気味になった俺は師匠に泣きついた。

師匠は開口一番、「だから言ったのに」。

そんなこと言われても。なにがなんだか。

「その女のことを嗅ぎ回ったから、向こうに気づかれたんだ。『それ』はあきらかにまばたきだよ」

どういうことだろう?

「霊視ってあるよね?霊視されている人間の目の前に、霊視している人間の顔が浮かぶっていう話、聞いたことない?それとはちょっと違うけど、そのまばたきは『見ている側』のまばたきだと思う」

そんなバカな。

「見られてるっていうんですか」

「その女はヤバイ。なんとかした方がいい」

「なんとかなんて、どうしたらいいんですか」

師匠は「謝りに行ってきたら?」と、他人事まるだしの口調で言った。

「ついて来て下さいよ」と泣きついたが、相手にされない。

「怖いんですか」と伝家の宝刀を抜いたが、「女は怖い」の一言でかわされてしまった。
京介さんのマンションへ向かう途中、俺は悲壮な覚悟で夜道を歩いていた。

自転車がパンクしたのだった。偶然のような気がしない。

またガムを踏んだ。

偶然のような気がしないのだ。

地面に靴をこすりつけようとして、ふと靴の裏を見てみた。

心臓が止まりそうになった。

なにもついていなかった!ガムどころか泥も汚れもなにも。

では、あの足の裏を引っ張られる感覚は一体なに?

『京子』さんのことを嗅ぎ回るようになってから、やたら踏むようになったガムは、もしかしてすべてガムではなかったのだろうか?

立ち止まった俺を、俺のではないまばたきが襲った。

上から閉じていく世界のその先端に、一瞬、ほんの一瞬、黒く長いものが見えた気がした。

睫毛?

そう思ったとき、俺は駆け出した。

勘弁してください!そう心の中で叫びながらマンションへ走った。

チャイムを鳴らしたあと、「うーい」というだるそうな声とともにドアが開いた。

「すみませんでした!」

京介さんは俺を見下ろしてすぐにしゃがんだ。

「なんでいきなり土下座なんだ。まあとにかく入れ」と言って部屋に上がらされた。

俺は半泣きで謝罪の言葉を口にして、今までのことを話したはずだが、あまり覚えていない。

俺の要領を得ない話を聞き終わったあと、京介さんはため息をついてジーンズのポケットをごそごそと探り、財布から自動二輪の免許書を取り出した。

『山中ちひろ』

そう書いてあった。

俺は間抜け面で、「だ、だって、背が高くてショートで……」と言ったが、

「私は高校のときはずっとロングだ。バカか」と言われた。

じゃあ、間崎京子というのは……

「お前は命知らずだな。あいつにだけは近づかないほうがいい」

どこかホッとして、そしてすぐに鳥肌が立った。

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025 師匠シリーズ「写真」

大学二回生の春ごろ、オカルト道の師匠である先輩の家にふらっと遊びに行った。

ドアを開けると狭い部屋の真ん中で、なにやら難しい顔をして写真を見ている。

「なんの写真ですか」

「心霊写真」

ちょっと引いた。

心霊写真がそんなに怖いわけではなかったが、問題は量なのだ。

畳の床じゅうにアルバムがばらまかれて、数百枚はありそうだった。

どこでこんなに!と問うと、「業者」と写真から目を離さずに言うのだ。

どうやら大阪にそういう店があるらしい。

お寺や神社に持ち込まれる心霊写真は、もちろん御祓いをして欲しいということで依頼されるのだが、たいてい処分もして欲しいと頼まれる。

そこで燃やされずに横流しされたモノが、マニアの市場へ出てくると言う。

信じられない世界だ。

何枚か手にとって見たが、どれも強烈な写真だった。

もやがかかってるだけ、みたいなあっさりしたものはない。

公園で遊ぶ子どもの首がない写真。

海水浴場でどうみても水深がありそうな場所に、無表情の男が膝までしか浸からずに立っている写真。

家族写真のなかに、祭壇のようなものが脈絡もなく写っている写真……

俺はおそるおそる師匠に聞いた。

「御祓い済みなんでしょうね」

「……きちんと御祓いする坊さんやら神主やらが、こんなもの闇に流すかなあ」

「じゃ、そういうことで」

出て行こうとしたが、師匠に腕をつかまれた。

「イヤー!」

この部屋にいるだけで呪われそうだ。

雪山の山荘で名探偵十人と遭遇したら、こんな気分になるだろうか。

観念した俺は部屋の隅に座った。

師匠は相変わらず眉間にしわを寄せて写真を眺めている。

ふと目の前の写真の束の中に変な写真を見つけて手に取った。

変というか、変じゃないので変なのだ。普通の風景写真だった。

「師匠、これは?」と見せると、 「ああ、これはこの木の根元に女の顔が……あれ?ないね。消えてるね。まあ、そんなこともあるよ」

って言われても。怖すぎるだろ!

俺は座りしょんべんをしそうになった。

そして、部屋の隅でじっとすること暫し。ふいに師匠が言う。

「昔は真ん中で写真を撮られると、魂が抜けるだとか、寿命が縮むだとか言われたんだけど、これはなぜかわかる?」

「真ん中で写る人は先生だとか上司だとか、年配の人が多いから、早く死に易いですよね。昔の写真を見ながら、ああこの人も死んだ、この人も死んだ、なんて話してると、自然にそんなうわさが立ったんでしょうね」

「じゃあこんな写真はどう思う」

師匠はそう言うと、白黒の古い写真を出した。

どこかの庭先で、着物を着た男性が三人並んで立っている写真だ。

その真ん中の初老の男性の頭上のあたりに靄のようなものが掛かり、それが顔のように見えた。

「これを見たら魂が抜けたと思うよね」

たしかに。本人が見たら生きた心地がしなかっただろう。

師匠は「魂消えた?」とかそういうくだらないことを言いながら、写真を束のなかに戻す。

「魂が取られるとか、抜けるとかいう物騒なことを言ってるのに、即死するわけじゃなくて、せいぜい寿命が縮むっていうのも変な話だよね」

なるほど、そんな風に考えたことはなかった。

「昔の人は、魂には量があって、その一部が失われると考えていたんだろうか」

そういうことになりそうだ。

「じゃあ魂そのものの霊体が写真にとられたら、どういうことになる?」

「それは心霊写真のことですか?身を切られるようにつらいでしょうね」

と、くだらない冗談で返したが、よく考えると、

「でもそれは、所詮昔の人の思い込みが土台になってるから、一般化できませんよ」

俺はしてやったという顔をした。

すると師匠はこともなげに言う。

「その思い込みをしてる、昔の人の霊だったら?」

うーむ。

「どういうことになるんでしょうか」

「取り返しにくるんじゃない?」

師匠は囁く様な声で言うのだ。やめて欲しい。

そんな風に俺をいびりながらも、師匠はまた難しい顔をして写真を睨みつけている。

部屋に入った時から同じ写真ばかり繰り返し見ていることに気づいた俺は、地雷と知りつつ「なんですか」と言った。

師匠は黙って二枚の写真を差し出した。

俺はビクビクしながら受け取る。

「うわ!」と思わず声を上げて目を背けた。

ちらっと見ただけでよくわからなかったが、猛烈にヤバイ気がする。

「別々の場所で撮られた写真に、同じものが写ってるんだよ。えーっと、確か……」

師匠はリストのようなものをめくる。

「あった。右側が千葉の浦安で撮られた、ネズミの国での家族旅行写真。もうひとつが、広島の福山で撮られた、街角の風景写真」

ちなみに、写真に関する情報がついてたほうが高い値がつくと付け加えた。

「もちろん撮った人も別々。四年前と六年前。たまたま同じ業者に流れただけで、背後に共通項はない。と思う」

俺は興味に駆られて薄目を開けようとした。

その時、師匠が「待った」と言って俺を制し、窓の方へ近づいていった。

「夜になった」

また難しい顔をして言う。

なにを言い出したのかとドキドキして写真を伏せた。

師匠が窓のカーテンをずらすと、外は日が完全に暮れていた。

確か来たのは五時くらいだから、そろそろ暗くなって来てもおかしくないよなあ。と思いながら、腕時計を見る。

短針は9を指していた。

え?!そんなに経ってんの?と驚いていると、師匠が唇を噛んで「まずいなぁ。実にまずい」と呟き、「何時くらいだと思ってた?」と聞いてくる。

「六時半くらいかな、と」

確かに時間が過ぎるのが早すぎる気もするが、それだけ写真を見るのに集中していただけとも思える。

「僕は正午だ」

それはありえないだろ!

しかし師匠の目は笑っていない。

何かに体内時計を狂わされたとでも言うのだろうか。

師匠は、「今日はここまでにしようか」と言って肩を竦めた。

俺もなんだかよくわからないけれど、自分の家に帰りたかった。

部屋中に散らばった写真を片付けようとして、さっき伏せた二枚の写真の前で手が止まる。

『同じものが写っている』と言った師匠の言葉も気になるが、『見ないほうがいい』という第六感が働く。

その時、師匠が妙に嬉しそうな顔をして床の上を見回した。

「人間には無意識下の自己防衛本能ってヤツがあるんだなあ、と実感するよ」

なにを言い出したんだろう。

「動物園ってなにするところ?」

話が飛びすぎで意味がわからない。

「動物を見に行くところだと思いますけど」

「たしかに、僕らはお金を払って動物園に行き、それぞれの檻の前に立って中の動物を見て歩く。しかし動物からするとどうだ。檻の中にいるだけで、色とりどりの服を着たサルたちが、頼みもしないのに次々と姿を見せに来る」

動物を心霊写真に置き換えればいいのだろうか。

なんとなく言いたいことが分かってきた。

床を見ながら師匠は独り言のように呟いた。

「闇を覗く者は、等しく闇に覗かれることを畏れなくてはならない」

「ニーチェですか?」

「いや、僕だ」

師匠はどこまで本気かわからない顔で、床に散らばった写真を指差した。

「どうして伏せたんだ」

それを聞いたとき、心臓がドクンと鳴った。

さっきの二枚だけではない。無数の写真の中で、何枚かの写真が伏せられている。

全く意識はしてなかった。全く意識はしてなかったのだ。

写真はすべて表を向いていたはずなのに。僕が伏せたんだろうか。

寒気がして全身が震えた。

「怪物を倒そうとするものは、自らが怪物になることを畏れなくてはならない」

やっぱりニーチェじゃないですか。

俺はそう言う気力もなく、怪物を倒すどころか写真をめくる勇気もなかった。

(了)

 

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