【厳選】 怪談・都市伝説・怖い話まとめ

ネットで見つけた、都市伝説・怪談・ほんとにあった怖い話・世にも奇妙な物語・心霊系・不思議系・電波系・オカルト系のお話シリーズです♪

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先客

      2017/07/29

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senkyaku

 

友人から聞いた話。

雪子さんは、新宿から私鉄で一時間ほどのところに住んでいる。

その日は連続していた残業が終わり、土曜日の休日出勤という事もあって、同僚と深夜まで飲んで終電で帰る事になった。

雪子さんの通っている駅前には普段からタクシーが少なく、深夜近くなるとタクシー待ちの列が出来ている事が多い。

いつも利用してるバスの最終は早く、この一週間ほどは帰宅時間が遅くて、毎晩タクシーを利用していた。

覚悟して駅前に行くと、珍しくタクシー待ちの列が無い。中年の女性が一人立っているだけだ。

そうか、今日は土曜日だっけ。

ホッとしてタクシー乗り場へ向かおうとすると、階段を駆け降りてくる足音が聞こえ、雪子さんを追い越して、サラリーマン風の男が中年女性の後ろに並んだ。

あっけにとられると同時に少しムッとしたが、まあ二人だけだしそんなに待たずにすぐにタクシーに乗れるだろう。

雪子さんは男の後ろに並んだ。

程なく一台のタクシーがやって来て中年女性を運んで行った。

よし、あと二台だ。

一台目が去って15分も待った頃、後ろで駅の階段のシャッターが大きな音を立てて閉った。

振り向くと、駅員が点検しながら事務所へ入って行く。

私がタクシー待ちしてる間に、電気が消えたりするのだろうか?駅員さんとか居なくなるのだろうか?

携帯で自宅に連絡した雪子さんがそんな事を考えていると、タクシーのヘッドライトが見えた。

やって来たタクシーにサラリーマンが乗り込む。

駅前から遠ざかるタクシーを見送りながら、雪子さんはふと思った。

このタクシーが来るのに20分……普段より待ち時間が長いな。

いつもはもう少しタクシーの回転数は早くなかっただろうか。

最初のタクシーが黒で、今のタクシーも黒。いつもは白いタクシーも居なかったかな?

休日なので、まさか一台のタクシーで使い回し?

20分程経つとタクシーがやって来た。黒のタクシーだった。

やはり一台きりで営業していたのだろう。

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雪子さんはタクシーに乗り、行先を告げた。

「○○町まで」

「××重機へお願いします」

雪子さんの自宅に近づいたので、目印になる某有名メーカーの建設機械置き場を運転手に告げた。

雪子さんの自宅は、建設機械置き場に隣接した小さな用水路を渡った農道沿いにあり、車は入れない。

「お仕事、大変ですなぁ。夜勤か何かで?」

運転手が話し掛けてきたが、雪子さんは疲れていたし面倒なので、「ええ、まあ」などと曖昧に答えた。

建設機械置き場に近づいたので、財布からタクシー代を出そうとしていると、運転手が言った。

「お客さん、××重機の人?」

お節介な運転手だな、いったい何が言いたいのだろうか?

「いいえ。違いますよ」

と強く言うと、何とタクシーは建設機械置き場を通過して行く。

ビックリして雪子さんは、「ああ、ここです、ここで……」

「運転手さん、ここで良いですよ!」

ムッとした雪子さんが言うと、運転手は走りながら、

「お客さん、火曜日にも乗ったでしょ?」

と言った。

そういう間にどんどん走って行く。

確かに今週はタクシーを毎晩使ったが、それがどうしたんだろうか?

訳が分からず固まってしまった雪子さん。

2~3分たったろうか、国道を走るとコンビニの灯りが見えて、タクシーは駐車場へ入った。

タクシーを止めると、後ろを振り向いて運転手が言った。

「ごめんなさい、お客さん。でもちょっとあれはねぇ……」

運転手は名刺を取り出し、

「会社の電話番号はここにあるので、苦情が有れば私の名前を言って。電話して構わないから」

と前置きして言った。

火曜日に雪子さんを載せたのは、このタクシーだった。

初めは気が付かなかったのだが、例の××重機という名前で思い出したのだそうだ。

「実は、お客さんの前に、男を乗せたんだけどね」

雪子さんを追い越して行ったサラリーマンだ。

「その男がね、××重機で降りたんだよ」

タクシーの中で、男は携帯で電話していた。

『もうすぐ着くから』とか、『何分後だ』とか話していたのだという。

そう言えば運転手は、しきりに夜勤がどうの、××重機がどうのと言っていたのを思い出したが、なぜここまで通り過ぎたのかが分からない。

雪子さんが尋ねると、

「お客さんは××重機の人じゃなさそうだし、火曜日もここまで来たでしょ。まあ良いか、とは思ったんだけどね」

××重機の事務所は電気点いてないし、あの男もここの社員じゃないんだろうなぁとボンヤリ考えていたら、道の反対側に、ワンボックスが一台停まっていたのに気が付いたのだそうだ。

「4人くらい乗ってたかなぁ。それがライトが当たるとね、サッと隠れたんだよ。あやしいだろう。しかも運転席に居たのは、間違いなくあの男だったからねェ、何かあっても俺も怖いし」

雪子さんは、携帯で母親に話したのを思いだしてゾッとした。

『うん……今駅。タクシーに乗るから……××重機まで……』

(了)

 

土佐の祭りと呪詛 [ 福島義之 ]

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