霊感女と磯巾着犬と

ちょっと聞いて欲しいから書く

5 ：毒男 ◆B.DOLL/gBI ：2014/11/09(日) 01:10:39.96 ID:bA6EMyJ30.net

何だか仲良くなった子の中に、霊感あるって子がいてさ、その子を含む何人かで土曜の夜に高尾山に行ったんですよ。

ケーブルカー乗り場の脇から山道を延々、山頂を目指して登って行ったわけですが、

その自称霊感女がたまに「自殺者の霊がいる！！」とか騒ぐ以外、特に何も出ないというか、その子以外、霊感ゼロなのか、その子の狂言なのかみんな、何も感じなくて。

最初は怯えてたんだけど、そのうち何言われても「はいはい」って感じになっちゃったんですよ。

っていうか山道登るのに疲れてきて、騒ぐ気力も無いって感じで。

で、お寺の門みたいな所に来たときに、犬みたいなのがいたんですよ。

遠目に見ていた時も何だか変な感じで、みんなで「アレって犬だよなぁ」とか「野犬だったら幽霊より危ないよね」とか言いながら近づいてった訳ですよ。

霊感女も「白っぽい生き犬だよ」とか言ってたんだけど、俺にはその犬は黒っぽい薄汚い斑犬（ぶちいぬ・まだら模様の犬）に見えたんだけどね……

そしてよく見える距離まで近づいたら、みんなで硬直。

なぜなら犬から黒い手が生えてる……

何言ってるか解からないと思うけど、犬から手首の先、ちょうど手の平みたいなのがいっぱい生えてて、それがイソギンチャクみたいに指を動かしてる。

なんていうか……

犬の形したサンゴみたいな感じ？

なのにね、霊感女はただ一人「可愛いなぁ～」とか言って犬をなではじめちゃった……

もうみんな、我慢できなくなってその女置いて全力で車の所まで下山しちゃった。

でもって案の定というか霊感女だけいなくてね。

それからちょっと揉めたけど結局、電車もあるしって事で置いて帰っちゃった訳なんですよ。

霊感女があの犬連れて来るかもしれない、と思ったら怖い＆気持ち悪くてしょうがなかったですし……

それで今日会ったらその霊感女、当然の事ながら怒ってた訳なんだけどさ……

その女の腕から犬から生えていたような手の平が生えてるの……

周りの人の見えてないみたいだから生えてるの見えるの、俺だけかもしれないけどさ……
もう本当にどうしよう……

（了）

幻想と怪奇 ３ /新紀元社/牧原勝志

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十九世紀終盤から二十世紀初頭の西洋、ことイギリスでの怪奇小説は傑作の目白押し、書き手たちも名だたる文人墨客であることに、あらためて驚かずにはいられない。
そんな西洋怪談に惹かれた名訳者、平井呈一(一九〇二−七六)の訳業を、評論、エッセイと共に顧み、彼が愛した作家たちの作品をはじめ、傑作を新旧取り交ぜて収録した。恐怖の愉しみを御堪能あれ。

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