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冥界からの怨声 落武者部落の恐怖伝説 「サリョじゃ!」

      2016/03/17

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二年程前のこと。いつものようにデートのあと、付き合っている鷹彦くんに下宿まで送ってもらっていました。

2005/06/08(水) 15:12:30 ID:T8/BXARX0

鷹彦くんは自称霊が見える人で、当時私はあまり信じていなかったと言いますか、そのことについて深く考えたこともありませんでした。

しかしいつもそのことを思い出してしまうのが、この帰り道です。

実は帰り道の途中には彼がどうしても通るのを嫌がる道があり、そのためいつもその道を迂回して送ってもらっていました。

彼いわく、その道には何かありえないようなものが憑いているので近づきたくもないそうです。

でもその日のデートはかなり遠出したこともあり、私はものすごく疲れていて少しでも早く家に帰りたいと思っていました。

この道を迂回すると、ものすごい遠回りをしなければ私の家には帰れません。

だからこの道を通って帰ろうと鷹彦くんに提案したんですが彼は頑なに反対。

結果ほとんど言い争いのようになってしまいました。

というか、私が一方的に怒っていて彼が必死に止めようとしていただけかも。(ごめん鷹彦くん)

最終的には私がひとりでもこの道を通って帰ると主張すると、鷹彦くんもひとりで行かせるくらいならと、ついてきてくれることになりました。

その道に入ると、鷹彦くんは目に見えて怯えていて、顔は真っ青でした。

時間は二十三時くらいでしたが、街灯もあって真っ暗というわけでもなく、私からすると普通の道。

私もやはり気になって訊いてみても「今はまだ大丈夫」ということでした。

少し進むとY字路になっていて、私の家に帰るには左の方の道です。

このあたりになると鷹彦くんも少し落ち着いてきていて、私も安心して何の躊躇いもなくY字路の左側の道に入りました。

左側の道に足を踏み入れた瞬間、何か急にあたりの雰囲気が変わりました。

物音が一切しなくなって、心もち明かりが暗くなりました。

鷹彦くんがいうには、本能的に目の前のものに集中したため視界が狭まっただけということです。

足が寒いところにずっと立っていたあとのように痺れて引きつり、上手く歩けません。

力も入らないのでその場に座り込んでいてもおかしくなかったのですが、なぜかその引きつった足が体を支えていて、私はその場に立ち尽くしました。

いきなり前方からゴッと突風のようなものがきました。

感覚としては、すぐ横を電車や大型車が通過したときのあの感じです。

そして、その瞬間!

「サリョじゃ!サリョじゃ!」

という大小の声があたりに鳴り響きました。

近いものは私のすぐ耳元で聞こえました。

突風のようなものが過ぎ去ったあと、私は呆然と立ったままでした。

鷹彦くんは先ほどまでとは比べ物にならないくらい血の気のない顔をしていましたが、急に私のほうにやってきたかと思うと、ものすごく必死に私の足を何度も何度も平手で叩きました。

あとで赤く腫れ上がるくらい力を入れて叩かれたのですが、このときは足の感覚がなく、全く痛みを感じませんでした。

でもすぐにやっぱり痛くなってきて、同時に足に感覚が戻って私は地面に崩れ落ちました。

横を見ると鷹彦くんも地面に座り込んで、相変わらず顔色は悪いのですが「もう大丈夫だから」と息を切らせていました。

鷹彦くんによると、左の道に入った瞬間前の方から黒いモヤモヤしたものが雪崩のように流れてきて、私たちの体を包み込むように吹き抜けて行ったそうです。

私の足にはその黒いモヤモヤから出てきた無数の手が絡みついていたそうで、それを払い落としていたのだとか。

そのあと鷹彦くんは泣いている私を背負って下宿まで送ってくれて、朝まで一緒にいてくれました。

 

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その後私は怖くてその道に近寄ることはなかったのですが、半年ほどたって恐怖が薄れてきたころ……

昼間だったら大丈夫だと思って見に行ってみました。

以前に何度か通ったことのある道だったのですが、注意して見てみると愕然としました。

まず、なんとそのたかだか50メートルほどのYの字になっているに、小さな祠やお地蔵さまが全部で七つも密集しているんです。

そしてその道に面した家の玄関のほぼ全てに盛り塩がしてありました。

中にはお酒が置いてあったり、何枚ものお札がベタベタ貼ってある家もありました。

そしてこの周辺ではありえないくらい、廃屋と化した空き家が目立ちました。

そういえば、最初に書いた《この道を迂回すると、ものすごい遠回りをしなければならない》というのもおかしな話です。

区画整備された町並みで、この一画だけ、周囲の車道は大きく迂回するかそこで行き止まりになるかしているんです。

唯一このY字路と、そこから分かれた毛細血管のような複雑な小道だけが、そこの交通手段となっています。

気味が悪いので地元の人間である学校の先輩に訊いたところ、この一画には昔、いわゆる部落があったそうです。

それだけではなく戦時中に何か忌まわしい事件があったらしく、部落自体は終戦前になくなったのだとか。

その事件の内容はタブーとされているらしく、先輩も知りませんでした。

しかし地元の人間も忌諱して、その後もずっとその土地には手をつけず、二〇年になってようやく外から来た人間が住み始めたのだとか。

いったい部落で何があったのか。

「サリョ」というのは何なのか。

気になりますが先輩や鷹彦くんの忠告もあり、私はそれ以上調べることを止めました。

みなさんも、もし兵庫県の某有名暴力団本部のある都市に行かれることがあれば、気をつけてください。

何故か主な車道が途切れたり迂回しているからといって、むやみに近道しないようにしたほうがいいですよ……

 

「八つ墓村」は実在する [ 蜂巣敦 ]

 

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