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【沙耶ちゃんシリーズ】15 沙耶の行方1/3

      2015/07/05

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夕方に空港に到着。沙耶ちゃんのアパートに直行した。

郵便受けには大量のチラシが入りっぱなしになってる。インターホンを鳴らしたが返事はなかった。
電話は相変わらず電源が切れている。
勘弁してくれよ……

バイト先まで歩き、店長に帰ってきた挨拶と、沙耶ちゃんの欠勤の話を聞いた。
俺が親父の危篤を聞いた夜、沙耶ちゃんはすでに出勤していなかったらしい。ただ、この日は連絡があった。
翌日の欠勤時、それまで真面目に働いていたこともあって、店長は自ら彼女のアパートへ足を運んだんだ。
でも人のいる気配はなかった。
「女の子の独り暮らしだし、もしかしてと思ってね」
店長は沙耶ちゃんの実家にまで電話を入れた。
父親が出て、『存じません』とぶっきらぼうに切られたそうだ。

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「こうまで長引くと心配だね。まこちゃん、沙耶ちゃんの実家に、もう一度連絡を入れてみてくれないかな。
捜索願を出させたほうがいいかも」
と依頼されたので、「なんで店長がやらんの?」と聞くと、「僕はあのお父さんはどうも苦手で」と頭を掻いてた。

沙耶ちゃんの履歴書から電話番号をもらってプッシュすると、
平日の夕方だからだろうか、父親ではなく母親らしき女性の応答があった。
警戒心を抱かれないように、できるだけ穏やかな声で伝えてみる。
「私は、沙耶さんにアルバイトに来てもらっている、コンビニの責任者ですが、
沙耶さんがここ数日、連絡なしに欠勤されてるんです。
もしかして、そちらに帰ってらっしゃるんでしょうか?」
H先輩が聞いたら、『小学校からやり直してこい』と言いそうな言葉遣いだな。
でも、母親らしい女性にはちゃんと通じたようだ。
あっさりと『こっちに帰ってますよ。ごめんなさいね。もうそちらには戻らないと思います』との返事をもらった。
なんだか釈然としない。っていうのも、沙耶ちゃんは以前『実家に居場所がないから1人で出てきた』と言ってたんだ。
実は彼女は、父親とその浮気相手の子どもなんだよ。
だから正妻に目の敵にされて、実家にいられなくなったみたいなんだ。
そんな家に自主的に戻ったのか?それとも……
考えるだけ無駄なんで、店長に労いの意味でもらった今晩の休みを、沙耶ちゃんの実家行きに使うことにした。

少し田舎に下るとはいえ、見事に開拓された新興住宅地の中に、沙耶ちゃんの家はあった。
立派な門構えとその奥の広い庭が、裕福な暮らしを示している。
沙耶ちゃんの親父さんは、従業員数百人を抱える中小企業の副社長だ。以前、興味本位に調べさせてもらった。
重役はすべて家族親類という典型的な同族会社の中で、唯一、身内外からその地位に上りつめた人だ。
女癖はともかく、まあ有能なんだろう。
沙耶ちゃんにお嬢さんな雰囲気があるのも、この家で育ったんなら納得できるな。

カメラつきのインターホンを鳴らすことをためらっていると、左手の路上から人の話し声が聞こえてきた。
年配の男と若い女の子の声。
「お父さん、今日は帰り遅いよ。家で待ってるのイヤなんだから、もっと早く帰ってきて」
と女の子……あれ?……
「これが普通の帰宅時間なんだぞ。今までは沙耶のために無理して帰ってたんだから」
と……沙耶ちゃんの父親らしき人物……
門に取り付けられた電灯が、2人の顔を照らし始めた。向こうも俺に気づいたようだった。
俺は真っ先に沙耶ちゃんに飛びつきたい衝動を押さえww、父親に頭を下げる。
すると彼から声をかけてきた。
「君は?」
どの立場にするか少し思案してから、答えた。
「沙耶ちゃんの友人です」
沙耶ちゃんは父親の顔を見て、それから俺を見て、首をかしげた。
「わかんない。誰ですか?」
父親が、「事故で名前も家族のことも忘れましてね。たぶん元には戻らないと思います」と補足した。

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