【厳選】 怪談・都市伝説・怖い話まとめ

ネットで見つけた、都市伝説・怪談・ほんとにあった怖い話・世にも奇妙な物語・心霊系・不思議系・電波系・オカルト系のお話シリーズです♪

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呪いの器【祟られ屋シリーズ】

      2016/12/18

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※関連話 → 傷【祟られ屋シリーズ】(こちらを先にお読みください)

日本国内には、いたる所に神社や祠がある。

48 :呪いの器 ◆cmuuOjbHnQ:2008/07/23(水) 04:00:57

その中には人に忘れ去られ、放置されているものも少なくない。

普通の日本人ならば、その様な神社や祠であっても、敢えて犯す者はいない。

日本人特有の宗教観から来る『畏れ』が、ある意味DNAレベルで禁忌とするからだ。

かかる『畏れ』は、異民族、異教徒の宗教施設に対しても向けられる。

また、このような『畏れ』や「敬虔さ」は、多くの民族に程度の差はあれ、共通するものである。

しかし、そういったものに畏れを感じずに暴いたり、安置されている祭具などを盗み出す者たちがいる。

その多くは、日本での生活暦の浅いニューカマーの韓国人達だ。

詳しい事は判らないが、朝鮮民族は単一民族でありながら『民族の神』を持たない稀有な存在だという。

神を持たないが故に、時として絶対に犯してはならない神域を犯してしまう。

『神』の加護を持たない身で神罰を受け自滅して行く者が後を絶たないということだ。

この事件もそんな事件の一つだと思っていた。

最初のうちは……

ある寒い冬の日だった。

俺は、キムさんの運転手兼ボディーガードとして、久しぶりにシンさんの元を訪れていた。

本職の権さん達ではなく、俺が随伴したのは、シンさんの指名だったからだ。

シンさんの顔は明らかに青褪めていた。キムさんもかなり深刻な様子だった。

やがて、マサさんもやって来るという。

重苦しい空気の中、二~三時間待っていると、マサさんが一人の男を伴ってやって来た。

マサさんの連れてきた男は、木島という日本人だった。

上背は無いが鍛え抜かれた体をしており、眼光や雰囲気で相当な『修行』をした人物と感じられた。

これから何が起こるかは判らないが、ただならぬ事態なのは俺にも理解できた。

木島は手にしていたアタッシュケースから古ぼけた白黒写真と黄ばんでボロボロになった古いノートを出した。

シンさんも、テーブルの上にファイルを広げ、数枚の四つ切のカラー写真を出した。

両方の写真の被写体は、どうやら同じ物のようだ。

それは、三本の足と蓋のある『金属製の壺』だった。

その壷は朝鮮のものらしく、かなり古そうだった。

形は丸っこい、オンギ(甕器)と呼ばれる家庭用のキムチ壷に似ている。

ただ、金属製である事と底の部分に3本の足があること、表面に何かの文様がレリーフされているのが特殊だった。

表面の文様と形状に、呪術に造詣の深いシンさんやキムさんは思い当たるところがあったようだ。

それは、一種の『蠱毒』(こどく)に用いられた物だった。

壷の文様は『蠱毒』の術に長けたある呪術師の一族に特徴的な文様なのだという。

しかし、通常、『蠱毒』に使われるのは陶器製の壷であり金属器は使われない。

ましてや、この壷は鉄器であり、『蠱毒』の器としては恐ろしく特殊な存在だという事だ。

韓国では金属製の器が好んで使用されるが、伝統的な物の殆どがユギ(鍮器)と呼ばれる真鍮製品なのだという。

李氏朝鮮では、初期から金属器の使用が奨励され、食器や祭具、楽器や農具に至るまであらゆる金属製品が作り出されたそうだ。

だが、その素材の殆どが青銅或いは真鍮だった。

高い製鉄・金属加工技術を持ちながら、朝鮮半島では鉄は希少で広く一般に普及する事は無かったらしい。

温帯気候で樹木の生育の早い日本と異なり、大陸性の寒冷な気候の朝鮮半島では樹木の生育が遅い。

それ故、製鉄に大量に必要とされる燃料の木炭が不足していたのだ。

昔の中国や朝鮮は、刀剣などを鉄製品の原料・素材として日本から輸入しており、それは非常に高価だった。

その様な貴重な鉄器を破壊して使い捨てるのが原則の蟲毒の器に用いる事は、呪術上の意味合いからもあり得ない事なのだと言う。

この壷は、柳という古物商から在日ネットワークを通じて照会されて来た物だった。

柳は、盗品売買の噂が絶えず、在日社会でも非常に評判の悪い人物だった。

本来なら、シンさんはこのような男は絶対に相手にしない。

しかし、流れて来た写真を見てシンさんは驚愕した。

それは、日韓併合以前の韓国で隠然たる力を持っていた、ある呪術師一族が呪術で用いた文様だったからだ。

なぜ、そんなものが日本にあるのか?

その呪術師一族は、韓国の『光復』のかなり前に滅んでしまっていた。

朝鮮総督府は公衆衛生のため、朝鮮半島に根深く浸透していたシャーマン治療を禁止し、近代医学を普及させた。

その影で、多くの呪術師や祈祷師達は恭順して伝来の呪術を捨てるか、弾圧されるかの二者択一を迫られた。

多くの呪術師が地下に潜ったのに対し、敢然と叛旗を翻した者も少数ながらいた。

この呪術師一族もその少数者の一つだった。

シンさんの調べによると、柳の照会の背景は以下のようなものだった。

日本全国で、高齢の資産家宅や旧家の蔵、寺や神社を荒らし回っていた韓国人の窃盗団がいた。

この窃盗団は「流し」の犯行の他に、「顧客」の「注文」に応じた仕事もしていたらしい。

日本の美術品、特に仏像や刀剣の類は韓国内や欧米諸国で熱心なコレクターがいるのだという。

山道や街道沿いに建てられた、ありふれた旧い地蔵などにもかなりの値が付くという事だ。

どうやら問題の鉄壷は、ある人物の「注文」により盗み出されたものだったらしい。

だが、「仕事」を終えてすぐにその窃盗団に異変が起こった。

窃盗団のメンバーが、僅か数日間で次々と怪死を遂げたのだ。

柳の元に鉄壷を持ち込んだのは、窃盗団の最後の生き残りである朴という男だった。

朴は日本国内で逮捕暦があり、他の仕事で下手を打った為に身を隠しており、詳しい事情を知らなかった。

朴は盗品の隠し場所から、他の数点の美術品と共に鉄壷を持ち出し、伝のあった柳の元に持ち込んだ。

相次ぐ仲間の死と、自分の身辺に迫る気配に恐怖を覚え、高飛びしようと考えたのだ。

盗品ブローカーである柳は、朴の持ち込んだ美術品を買い入れた。

朴の持ち込んだ盗品の中で、問題の鉄壷は最初「ガラクタ」扱いだった。

しかし、朴が盗品を持ち込んですぐに鉄壷を買いたいという人物が現われた。

その男の提示した金額はかなり破格のものだった。

だが、柳は商売の鉄則として、仕入れた盗品を特定の業者以外の第三者に直接転売する事は無かった。

何処で柳が盗品を扱っている事や鉄壷の存在を知ったのか謎であったし、金を持ったまま首を吊った朴の死が柳を慎重にさせた。

柳は鉄壷について同業者に照会し、購入希望者の背後を探った。

柳の照会はシンさんの元に届き、とんでもない代物である事が判明した。

それは、人の触れてはならない『呪いの器』だったのだ。

シンさんは、壷が朝鮮の呪物であったことから、詳細を知るために、ある人物に壷について問い合わせた。

その結果、鉄壷が、シンさんやキムさんの当初の予想をはるかに越える危険な物であることが明らかになった。

この鉄壷の用途は、『蠱毒』などという生易しいものでは無かったのだ。

鉄壷が安置されていたのは『○○○神社』という、人に忘れ去られた、無名の小さな神社だった。

忘れ去られたと言うのは正確ではない。

触れ得ざる物を人界から隔離する為に、人目から隠して建立された神社だったのだ。

そこまでして封じようとした鉄壷の正体は何だったのか?

鉄壷の正体は『炉』だった。

蓋を開け、中に『あるもの』を封じてから蓋を閉じ、燃え盛る炎の中に入れるのだという。

その為に壷は鉄で作られ、底に足が付けられていたのだ。

鉄壷の中に入れられた『あるもの』とは何か?

それは人間の『胎児』だった!

妊婦を凌遅刑(りょうちけい)に掛け、その子宮から取り出した胎児を鉄壷に入れて焼いたと言うのだ。

その数、実に十二人!

年に一人、十二年の時を掛けた大掛かりな呪法だった。

鉄壷の丸い形は女の子宮を表していたのだ!

十一人の女は、さらわれたり、売られたりして来た哀れな女達だった。

呪術師に慰み者にされ、子を孕んで時が満ちると切り刻まれ、我が子を鉄壷で焼かれたのだ。

その、恨み、怨念は如何ばかりのものだっただろうか?

だが、十二人目の最後の儀式は更に恐ろしくおぞましかった。

十二人目の女は、十二年間呪術を行ってきた呪術師の実の娘だった。

犯された娘の妊娠が判ると、呪術師は彼の息子によって凌遅刑に掛けられた。

時間を掛けて切り刻まれた呪術師が息絶えると、父を殺した息子の呪術師は儀式を行った。

それは『*反魂』の儀式。(*はんごん:死者を蘇らせること)

殺された呪術師を娘の腹の中にいる胎児に転生させる儀式だった。

所定の時が満ちると、娘は十一人の女達と同様に凌遅刑に掛けられ、呪術師の転生児である胎児は子宮ごと鉄壷に封じられた。

蓋は二度と開かないように封印され、更に十年近く呪術師の家に安置されたのだと言う。

醜悪で余りにおぞましい行いだが、この手の呪いは、やり口が醜悪で無残であるほど効力が高まるものらしい。

鉄壷が安置されていた間、呪術師の一族の人間や村人達は一人また一人と死んで行った。

村が殆ど死に絶えたとき、術を仕上げた呪術師は鉄壷を持ち出して日本に渡った。

日本に渡った呪術師には姉がいた。

妹と同様に父親に犯されたが妊娠せず、その後も生き残っていたのだ。

彼女は弟を追って日本に渡った。

彼女の弟である呪術師は、鉄壷を持ったまま身分を隠して日本各地の朝鮮部落を渡り歩いた。

本国から身一つで渡ってきた同胞を朝鮮部落の人々は匿い助けたが、呪術師の行く先々で多くの朝鮮人が死んだ。

弟を追い切れなかった姉は、ある朝鮮部落の顔役であった宗教家に呪いの事、弟の事を相談した。

自分の手に余ると考えた宗教家は、ある日本人祈祷師の元に彼女を連れて行った。

彼女は韓国で行われていた儀式やそれまでの事、一族の呪術や、鉄壷について知っていることの全てを祈祷師に話した。

彼女の話した言葉を日本語に翻訳したものの写し、それが木島が持ってきた古いノートだった。

鉄壷……それは『呪いの胎児』を育てる為の『子宮』だった。

そして、胎児を育てる養分となるのは『生贄の命』だった。

生贄とは?

それは、呪術師の同胞であるはずの朝鮮人だった。

儀式を完成して十年近くも壷が韓国に置かれ、壷を持った呪術師が日本国内の朝鮮部落を渡り歩いたのはなぜか?

それは、生贄の命を子宮たる鉄壷に吸い上げる為の、言わば『根』を張り巡らせる作業だったのだ!

……鉄壷の中の呪いの胎児が、標的を呪い殺せる強さへと育つまで、生贄の民であり、同胞である朝鮮人の命を吸い上げようと言うのだ。

その数は何万、何十万、あるいは、更に多く……

そこまでしなければ呪いを成就できない標的とは何だ?

木島は淡々とした口調で語った。

この呪いは特定の個人ではなく『皇室』を標的とし、百二十四代に渡って継続してきた皇統を絶つことによって日本と言う国を滅ぼそうとしたものだ、と。

俺は木島に言った。

「蟲毒や生贄を使って、一族や血統を滅ぼす呪法があるのは知っている。
しかし、この呪法のやり口はいくらなんでも無茶苦茶だ。
大体、無差別・無制限に生贄を必要とするなんて、そこまでする必要があるのか?
仮に皇室が滅んだからと言って、それは日本滅亡とは直結はしないだろう?」

シンさんとキムさんが呆れ顔で俺の顔を見て、マサさんは深いため息を吐いた。

そして、キムさんは

「お前、本当に何も解ってないんだな。まあ、日本人だから無理も無いのかもしれないな……」

そう言うと、この呪法が皇室・皇統を絶とうとしたことの意味を語り始めた。

キムさんの話によると、

この世界は、他文化・異民族、異教徒を飲み込んで支配しようとする『支配者』と、『被支配者』に分かれるのだという。

支配者とは、大まかに言ってユダヤ・キリスト教徒。

被支配者は土着宗教やローカルな文化がこれに相当する。

アジア地域における支配者は中華文明であり、日本やインド、朝鮮などを除く多くのアジア諸国・地域の支配層はその多くが中華の流れを汲むということだ。

他者を支配しようとする宗教や文化、王朝は、長く続けば続く程に、その『影』の部分として呪術的側面が育って行くそうだ。

支配を続ける事は即ち『業』を積み重ねて行くことに他ならないからだ。

支配の本質とは『悪』なのだ。

それ故に、王朝や文明は蓄積された『悪業』が臨界点に達すると必然的に崩壊へと向かう。

被支配者や民間の呪術は、支配者や自らを併呑しようとする者に対する抵抗の手段だが、支配者や権力者側の呪術は破滅へと積み重なる『業』への抵抗なのだそうだ。

ある時は疫病を祓い、災害を祓う。

反乱者や簒奪者に呪殺を仕掛ける事もある。

支配する事によって積み重なった悪業が招く災厄を祓うのが権力による呪術であり、それは徐々に大きくなり、顕在化してくる。

それ故に、本来『影』であるべき呪術が表面に出て来るようになった文明や国家は末期的で、滅びが近いと言うことだ。

王朝や宗派等は、代を重ねる毎に『悪業』だけではなく、逆に『霊力』や『呪力』も強めて行く。

だが皮肉な事に、積み重なって強まった『霊力』『呪力』は、臨界点に達した『悪業』と共に破滅への原動力となってしまうのだ。

霊力や呪力は浄化への力だからだ。

日本は明らかにユダヤ・キリスト教圏や中華文明といった『エスタブリッシュメント』には属さない存在である。

しかし、中華文明圏を脱してからというもの、中華文明による再併呑もユダヤ・キリスト教圏による併呑も完全支配も叶わなかった。

それには、様々な要因があった。

だが、呪術的側面から見ると、それは『皇室』という極めて特殊な存在によるものだという。

日本の皇室は通常、王朝の『影』である呪術的部分がその存在の根幹であって、その他の部分は支配や権威すら枝葉に過ぎないということだ。

日本皇室は唯一最古の帝室である前に、最古・最強の呪術の系譜なのだ。

エスタブリッシュメントに属さない存在でありながら、強い力を持つ日本皇室は、本来ユダヤ・キリスト教圏にとっても中華文明圏にとっても消し去りたい存在らしい。

しかし、最高の霊力・徳を持つ日本皇室と正面から対立する事を彼らは避けるようになった。

天安門事件に端を発する国家存亡の危機に瀕した中華人民共和国が、『七顧の礼』を以て天皇訪中を招請し、国難を凌いだのはその好例だそうだ。

殲滅ではなく共存を選んだのは、日本皇室及び日本人が、異民族を併呑して『帝国』を運営する力量を持たない民族であることが明らかになったからだ。

直接利害が衝突しない『触れ得ざるもの』に自ら敵対して、再び火傷する事を怖れたのだ。

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日本国とは、日本皇室の誕生から続く一つの王朝に過ぎない。

それ故に皇室の否定は日本と言う国の存在自体を否定する事に等しい。

本質的に、強大な力を持つ日本皇室や、中華文明に併呑されない日本を敵視する中国は、長期的視点で日本を内側から崩しに掛かっている。

所謂、売国メディアや自虐史観がそれだ。

自らの王室や、国家・民族に殉じた人々を誹謗する事は、国の運気を非常に損なう、天に唾する愚行なのだと言う。

『死人に鞭を打たない』という日本人の文化は弊害もあるが、国家の『運気』を保つ上で重要な意味を持つのだ。

現在行われている工作は、「皇室の呪力」と直接衝突せずに、日本国の『運気』や『霊力』を殺ぐ手段としては、呪術的にも理に適っているそうだ。

『呪力』『霊力』の最高位にある日本皇室に呪術を仕掛ける……

それは、強力であればあるほど自殺行為に等しくなる。

少しでもまともな呪術的視点を持つ者なら絶対に避ける愚行である。

しかし、敢えてそれを行う者は後を絶たない。

一部日本人と朝鮮民族である。

朝鮮民族は自らを『小中華』と称し、甚だしくは中華文明の正当継承者であると自認している。

しかし、その実態は、大陸の袋小路である朝鮮半島に封じ込められた『生贄』の民族である。

彼らの特性は、如何なる外敵の支配にも抵抗しないが、併呑・同化はされないという点にある。

宿主たる征服者の体内に潜み、その内部を食い荒らし、滅びを加速させる。

そして、次の宿主たる支配者・征服者に取り入り、再び食い荒らすのだ。

支配者に同化されない為、彼らが独特の民族心理として培ってきたものが『恨』(ハン)である。

支配者に対する潜在的敵意である『恨』という民族意識によって、彼らは確固たる独自文化、独自宗教を持たずして民族としての生存を図ってきたのだった。

自らをエスタブリッシュメントである『中華文明の担い手』とする民族的錯誤、更に『生贄』であることに気付かずに反日感情を煽られて自殺的行為に走る朝鮮人呪術師は多い。
しかし、根本的理由は朝鮮民族の潜在的な生存本能に負うところが大きいらしい。

強力な民族や国家に囲まれた弱小の朝鮮民族が、民族として生き残ってこれたのは、『恨』の精神によって頑なに異民族との同化を拒んできたからだった。

しかし、最も関係の深い隣国である日本は、外来の技術・技芸、文化・宗教、そして人間までもその内部に取り込み、強力に同化してしまう恐るべき特性を持っていた。

日本に渡った同胞は短期間で日本と言うブラックホールに飲み込まれ、日本人と化してしまった。

古来、日本に渡った者は『エリート』が多かった。

だが、そういった者ほど日本への同化、日本人化は早かった。

故郷を離れ、異国で世代を重ねながらも『朝鮮民族』である事にこだわりを見せるのは、むしろ低い身分の出身者が多いようだ。

日本人の目からは誇張に見える事も少なくないが、日韓併合は朝鮮民族にとって民族存亡の危機だったのだ。

シンさんは言った。

例え、世代が五世・六世と進み、制度的に不利な身分に置かれようとも、朝鮮民族の日本への帰化は一定以上には増えないだろうと。

朝鮮民族には他民族に併呑され同化されることへの本能的な恐怖がある。

そして、同化力の強い日本と言う国家・社会において朝鮮民族としてのアイデンティティの拠り所となるものは「国籍」位しかないのだと……

この特異な性質を持った日本と言う国を滅ぼす事、日本と言う国家の起源とも言える皇室を打倒することは、朝鮮民族の民族的命題とも言えるのだ。

もっとも、最近は日本皇室の権威を自らに引き寄せようとする動きもあるようだが……

ともかく、狂気とも言える『鉄壷の呪法』を行った呪術師は、自らの命を掛けるほどに強烈な覚悟を持って皇室……日本と言う国を呪った。

しかし、呪いの対象は、ある意味無限に近い、全世界を敵に回してもなお平然と存続してしまうほどの霊力を持った存在だった。

鉄壷は際限なく『生贄』の命を吸い取る、少なくとも日本国内にいる朝鮮民族にとって非常に危険な呪物となった。

いや、呪術師がこのような陰湿でおぞましい呪法を組み立てたのは、むしろ、それが目的だったのかもしれない。

日本への同化を嬉々として受け容れようとした、反民族的な『親日朝鮮人』を根絶やしにする為の呪法と考えた方が筋が通る。

実際、鉄壷を持ち込んだ呪術師の行く先々で多くの人々が命を落とし、謎の病に倒れた。

どのような経緯で確保されたかは謎だが、鉄壷は回収され、多くの朝鮮民族の命を守る為に日本人の手によって『○○○神社』に安置される事になった。

封印は功を奏し、半世紀以上の時間が経過した。

当時の関係者はいなくなり、呪いの鉄壷の存在を知る者は居ないはずだった……

しかし、『○○○神社』は暴かれ、鉄壷は持ち出された。

俺達は、再封印できるか『○○○神社』の確認と、柳の元にあるであろう鉄壷を確認しなければならなかった。

俺は木島と共に『○○○神社』へと向かった。

『○○○神社』は雪深い山奥にあった。

車で行けるところまで行き、後は地図とGPSを頼りに徒歩で進んだ。

六時間以上掛かっただろうか?俺達は岩だらけの川原に出た。

川に沿って上流に向かうと対岸に黒い鳥居が見えた。

川幅は15m程だが、流れはかなり速い。

だが、窃盗団は川を渡っているはずだ。

上流に向かって十分ほど進むと、岩伝いに歩いて渡れそうな場所があった。

俺達は対岸に渡り、鳥居の前まで戻った。

鳥居は高さ2m程の小さな物だった。

鳥居には太い鎖で出来た輪が内側いっぱいに広げて吊るされていた。

鳥居から奥に10mほど進むと焼け落ちた祠があった。

火を放たれてそれ程時間は経っていないのだろう。

焼け跡の生々しさがまだった。

祠の裏は奥行き5m程の人工のものらしい岩の洞穴があり、最奥部には鉄壷が収められていたのだろうか、直径40cm、深さ60cm程の縦穴が掘られていた。

洞穴の中にも火が放たれたのだろう、黒い煤や油の臭いが微かに感じられた。

俺は木島に「どうですか?使えそうですか?」と声を掛けた。

暫く木島は目を瞑ったまま黙っていたが、やがて口を開いた。

「ダメだな、道が付いてしまっている。ここはもう使えない。他の手を考えないとな……」

日本各地には俗にパワースポットと呼ばれる地脈の集結点や、大地の『氣』の湧出点がある。

それとは逆に、地脈から切り離され、大地からの『氣』が極端に希薄なポイントもある。
仮に『ゼロスポット』と呼ぼう。

このゼロスポットは呪物や不浄な存在を地脈・気脈から断ち切って封印するのに適した場所なのだと言う。

ゼロスポットはパワースポットよりも数が少なく貴重なものらしい。

発見されたゼロスポットは祈祷師や神社などが把握し、監視しているということだ。

この神社も、ある祈祷師のグループが見つけて管理していたポイントの提供を受けて建立されたものだと言う。

朝鮮人の『命』を生贄として吸い取る鉄壷は日本人の神官によって封じられた。

今回、木島が呼び寄せられ、マサさんやキムさんではなく、俺が『○○○神社』に赴いたのも『道』が付くのを怖れたからだ。

生贄である朝鮮人が足を踏み入れれば、壷に『命』を吸い取られ、吸い取られる筋道が外界への『道』となる。

窃盗団の韓国人が足を踏み入れた事で、このスポットは聖域ではなくなってしまったのだ。

日が落ち始めていたので、俺達は『○○○神社』の洞穴で夜を明かすことにした。

洞穴の奥で寝袋に潜り込んでいると、やがて睡魔が襲ってきた。

浅い眠りに入りかけたところで不意に意識がハッキリした。

だが、体は動かない。

いわゆる金縛りだ。

やがて、ヒソヒソ話す複数の声、赤ん坊の泣き声、女の悲鳴が絶え間なく聞こえてきた。

俺はもう、金縛りや『声』くらいでオタ付くほどウブではなかったが、場所が場所だけに気持ちの良いものではなかった。

俺は徐々に金縛りを解き、立ち上がった。

俗にいう『幽体離脱』と呼ばれる状態だ。

『幽体離脱』は、コントロールされた夢の一形態だ。

俺は洞穴の外を見た。

洞穴の外にはX字に組まれた木に手足を縛られた血まみれの女が磔にされていた。

手に刃物を持った血まみれの男が、女の耳や鼻、乳房を刃物でそぎ落として行く。

女が表皮の全てを削ぎ落とされて、人の形をした赤い塊になると、男は女の膨らんだ腹に刃物を突き立てた。

凄まじい女の悲鳴。

目蓋の無い女の目が俺を睨み付ける。

男が女の腹から何かを掴み出し、こちらを振り返った。

男が掴んでいたものは臍の緒の繋がったままの胎児だった。

抉り取られて眼球の無い男の顔が俺の方を向くと、男と女、そして胎児が口々に呪文のように「滅ぶべし」と唱え続けた……

余りに酸鼻な光景に俺は凍りつき、やがて意識が遠のいた。

俺は木島の「おい」と言う声で目を覚ました。

洞穴の中の気温はかなり低かったが、俺はびっしょりと嫌な汗をかいていた。

ランタンの黄色い光に照らされた木島の顔にも脂汗が浮いていた。

どうやら木島も同じものを見ていたらしい。

俺が木島に「あれは……」と問うと、木島は「夢だ……だが、現実でもある……」と答えた。

夜明けまでは、まだ時間があったが、俺達は眠らずに太陽が顔を出すのを待った。

山を下りた俺と木島はマサさんと合流した。

マサさんと合流すると、俺達は鉄壷を買い取った盗品ブローカー、柳の元へと向かった。

俺達は柳の指定したスナックを訪れた。

店は古く、掛かっている曲も昭和の古い演歌ばかりだった。

事前情報によると、柳は五十代前半の年齢のはずだった。

しかし、目の前にいる男の顔は明らかに老人のそれだった。

時折激しく咳き込みながらジンロを呷る柳の顔には、誰が見てもハッキリと判る『死相』が浮いていた……

マサさんが柳に「鉄壷は何処にある?」と聞くと、柳は「西川と言う男が持って行った」と答えた。

俺は「西川?在日か?」と尋ねた。

すると柳は「いや、アンタと同じ日本人だ。ただね、バックがやばい。ヤツは○○○会の幹部だ」

柳が口にしたのは韓国発祥の巨大教団の名前だった。

確かにヤバイ。

その教団は政界や財界、裏社会とも関係が深い危険な団体だった。

日本を『サタンの国』、天皇や皇室を『サタンの化身』とし、日本民族を朝鮮民族の奴隷とすることを教義とするカルト教団だ。

外法を以て皇室に呪いを掛けたとしても全く不思議ではない狂信者の群れ……それが、その教団だった。

柳は「俺も色々と訳ありのブツを捌いて来たが、あの壷は極め付きだ。引き取ってくれるなら金を払っても良いくらいだ……」

更に、ククッと笑うと、「いきなり大人数で押しかけて、持って行かれちゃったんで、代金を貰ってないんだ」

顔に傷や痣は無かったが、ワイシャツのはだけた柳の胸には内出血の痕があった。

いつまでも鉄壷を渡さない柳に業を煮やした西川達は、柳を痛めつけて鉄壷を奪って行ったのだろう。

「あんなものはいらないけれど、只で持って行かれるのは面白くない。欲しかったらアンタ達にやるから取り返してくれ」

マサさんが「判った。そうさせてもらうよ」と言うと、俺達は席を立ち店を後にした。

帰りの車中、後部座席で木島がマサさんに「どうする?」と声を掛けた。

マサさんは「俺は荒っぽいのはキライなんだ。監視をつけて一週間ほど泳がそう。そうすれば、向こうから壷を渡したくなっているだろう」

キムさんの手配で、権さん達が西川家やその取り巻きを監視している間に、西川とその周辺の者達に次々と『不幸』が訪れた。

普通ではありえない短期間に、事故や急病による死が相次いだ。

西川自身も飲酒運転の車に突っ込まれて重傷を負っていた。

「頃合だ」と言って木島は西川の元を訪れ、問題の鉄壷を手にして戻って来た。

木島が戻ってくると、マサさんは俺に紙包みを渡して「柳の所に届けてくれ」と言った。
持った感じ、100万と言ったところか?

俺は、前のスナックを訪れ柳の居所を聞いた。

柳は既に死んでいた。

俺たちが去った後、連日、目が覚めると酔い潰れるまで飲み続け、再び目が覚めると飲み続けると言う生活を続けていたらしい。

柳には家族はいなかったが、別れた女がいた。

俺は女の下に金を届けた。

女は「そう、あの人が死んだの」と、感情の無い声で金を受け取った……

戻った俺はマサさんに「壷はどう処理します?『○○○神社』はもう使えませんよ?」と尋ねた。

すると木島が「お前、今夜、壷と一緒に夜を明かせ。心を空っぽにして壷を『観続ける』んだ。お前の思い付いた方法で処理しよう」と言った。

俺は「待ってくれ、西川達は日本人だけど、死人が出ていたぞ?大丈夫なのか?」

鉄壷の周辺で相次ぐ人の死に、俺はかなりビビッていた。

『○○○神社』から盗み出されて以来、この鉄壷の周辺で死んだ者は、神社から盗み出した窃盗団が五名。

鉄壷を持ち出した朴と、買い取った柳。

西川と共に自動車事故に遭って死亡した西川の妻。

心筋梗塞で死亡した西川の父親、冬の寒空の下で大量に飲酒して凍死した西川の部下など十名に達していた。

しかも、西川の周辺の死者は皆、日本人だったのだ。

神社の洞穴で見た生々しい「夢」の事もあって、俺はこの鉄壷については、かなりナーバスになっていた。

マサさんは

「大丈夫だ。お前は日本の神々の加護を受けている真っ当な日本人だ。
壷の中身も、お前に危害を加える事は出来ない。
よしんば出来たとしても、今のお前なら自分の身を守るくらいの力は十分にある。
西川達は日本と言う国や日本民族を害そうとする『邪教』に魂を売り渡して、霊的に日本人ではなくなっていたのさ。
加護を失っただけではなく、裏切りによって日本の神々を敵に回していたんだ。
あの教団の教義を見ろ。あんなものに帰依する輩をお前は同じ日本人と認められるか?
まあ、あの鉄壷を放置したら、今の日本じゃ命を落とす日本人も少なくはなさそうだけどな。大丈夫だからやってみろ」

俺はマサさんや木島の言葉に従って鉄壷と夜明かしする事になった。

急遽、マサさんがレクチャーしてくれた瞑想法に従って、俺は心を空っぽにして壷を『観』続けた。

やがて、洞穴の中で見た地獄のようなイメージが脳裏に浮かんできた。

真っ赤な灼熱の荒野で磔にされた血塗れの女達とその足元に転がされた赤ん坊。

まず、俺は明るい日差しの真っ白な雪原をイメージした。

次に、雪解け後の春の草原のイメージ。

瞑想によってスクリーンに浮かぶ景色は、俺のイメージに従って変化した。

俺は、きれいな女の裸体をイメージしながら女の縄を切り、足元の赤ん坊を女に抱かせた。

すると血塗れの母子は美しい姿に戻った。俺はイメージの中で同じ作業を繰り返し続けた。

気が付くと、俺と十一組の母子の前に、洞穴で観た眼球の無い血塗れの男が立っていた。
血塗れの女が男を見つめる。

我が子の胎児に転生し、自ら封じられたと言う呪術師だったのだろうか?

俺は女達の怯えを感じた。

俺は男に「見ろ、ここはもう地獄じゃないぞ」と語りかけた。

すると、男の顔には目が戻ったが、「……滅ぶべし」「……を呪う」という男の声が聞こえてきた。

俺は「アンタは日本人に転生しても、日本を呪うのかい?」と問いかけた。

男の意思の揺らぎを俺は感じた。

俺は、先ほどまでの赤い灼熱の地獄を思い浮かべて、「皆、あそこに戻る気は無いってさ。アンタ、あそこに一人で留まるかい?」と問いかけた。

俺の脳裏に「いやだ!」と言う、強い言葉が響いた。

男の姿は消え、目の前に血塗れの女と赤ん坊がいた。

俺は先ほどまで繰り返した『治療』のイメージ操作を行って、男だった赤ん坊を女に抱かせた。

すると、女達は一人また一人と消えて行き、最後の母子が消えて行った。

その瞬間に俺は俺は脳裏で問いを発した。

「お前達、何処へ行きたい?」

やがて、景色のイメージが消えて脳裏のスクリーンは暗くなり、俺は瞑想から醒めた。

最後に問いを発したときに浮かんだイメージ。

それは陸の見えない、果てしない海のイメージだった。

俺はその事をマサさんたちに伝えた。

マサさんは「そうか、判った」と答えた。

俺がマサさんのレクチャーに従ってイメージを操作した瞑想法は、供養法の一種なのだそうだ。

俺には呪術や祈祷の儀式についての知識が無く、『調伏』のイメージが無かった事が成功の鍵だったようだ。

また、長い間神社に封じられて浄化が進んでいた、鉄壷の呪力がまだ余り戻っていなかったことも幸いしたようだ。

春分を待って、鉄壷の本格的な供養が行われた。

花や酒、果物や菓子を供えた祭壇に僧侶の読経の声が響き渡る。

俺は手を合わせて、瞑想で観た壷の中の人々に、「どうか成仏して、あの世で幸せに暮らして下さい」と祈った。

日を改めて俺達はキムさんのチャーターした漁船に乗って海上に出た。

やがて、船は停船した。

空はよく晴れ、波も穏やかだった。

マサさんが「これで終わりだ。最後はお前の仕事だ」と言って鉄壷を俺に渡した。

ズシッと来る鉄壷を俺は両手で持ち、できるだけ遠くへと海に放り投げた。

大して飛ばなかった鉄壷は、あっという間に海の底へと沈んで行った。

鉄壷を沈めた海に俺達は花束を投げ、酒を注いだ。

手を合わせ、しばし黙祷をすると、再び船のエンジンが始動した。

俺たちを乗せた船は、港へ戻る航路を疾走し始めた。

(了)

 

江戸残酷物語 [ マーヴェリック ]

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