【厳選】 怪談・都市伝説・怖い話まとめ

ネットで見つけた、都市伝説・怪談・ほんとにあった怖い話・世にも奇妙な物語・心霊系・不思議系・電波系・オカルト系のお話シリーズです♪

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妊娠している時に夢を見た

      2017/03/18

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この間、同じ職場の神山さん(仮名)という人が退職していったんです。

彼女は三〇代後半。色白で華奢でとても綺麗な人でした。

彼女は私と仕事をしている間に一回離婚して、そしてその数ヶ月後に違う男性と再婚をしました。(なので一回名字が変わった)

私はすごく親しくしていたわけじゃないんですが、彼女が退職する時、昼休みにちょっと呼び止めて。

「そういえば、どうして突然退職することにしたの?再婚した旦那さんが転勤とか?」

「ううん、旦那は転勤はないの。自営業だから……」

「あ、もしかして赤ちゃん?おめでた!?」

そうだったら、すぐにお祝いを言おうと明るく言ったのですが。

すると彼女の顔がとたんに曇りました。

彼女は前の旦那さんと結婚していた五年間、赤ちゃんが出来なかったようで、もしかして離婚の原因も不妊が原因?とよけいな勘ぐりをしていたので

あ……言ったらまずかったのだろうか……

と自分の浅はかな発言に後悔したのですが……

「ううん……違うの。でもさ……よかったら聞いてくれる?」

返事をする前にやんわりと手をひかれて、人の全くこない階段の下まで連れていかれてしまいました。

「今から言うこと誰にも黙ってて。親にも友達にも相談出来なかったの」

以下、彼女が私の返事や相づちも聞かず、うつむいたまま独白した話です。

「前の旦那と結婚して五年……実は私二回妊娠したことがあったんだよ……でもね、二回とも産めなかったの。

流産とかじゃなく、経済的な問題じゃなく“産めなかった“の。妊娠している時に夢を見たの。もーすっごくリアルな夢。

それは誰かの視点なの。私は夢の中で暗い道を歩いているの。そうすると前方に女性が歩いているのが見えて、私はそれにむかって突進していくの。

ドン!と音がしそうなすごい衝撃が起きて、気づくと女性が倒れているの。自分の手が震えているのがわかって、見ると、血まみれの包丁が……

それから、場面が変わって私は誰かの寝室に入っていくの。ベッドの上には誰かが寝ていて、私は布団の上からその人のお腹をなでるの。

女性はお腹が大きくて……妊娠しているんだというのがわかった。どこかで……どこかで見たことがある。

寝ている人を見たことがある……と思ったら、それは私。私が寝ているの。夢の中の私は私のお腹の中にぐっと手を入れて……」

「え……?」

そんなことを明るい昼間の、しかも会社の昼休みに突然言われて、あっけにとられたのですが、彼女はかわまず続けました。

「そのままぐーっと中に入っていったの。中は暖かくて、暗くて、そしてすごく安心する気持ちがいい場所だった。

私はそのまま、夢の中で眠りに落ちたの。誰かに守られているんだ、という気持ちで安らぎながら……」

もうびっくりして言葉もありません。

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彼女は私を見もせずに続けました。

「そんな夢を最初の妊娠の時に何度も何度も見たのね。でも場面はいつもいつも違うの。
誰かを刺し殺す夢もあれば、開いている二階の窓から侵入して、寝ている女性の首をしめて殺したこともあったし、小さな子を連れ回して、あげく川に突き落として殺したこともあった。

でも、必ず最後は寝ている自分の所へ帰るの。自分の中へ……お腹へ入っていくの。そこで終わるの。だから……最初の子は……旦那に黙って……おろしたの」

「で、でも……初めての妊娠でブルーになってたり、ノイローゼ気味だったり……」

「そうかもしれない。実は妊娠中の人達が集まるフォーラムに顔を出したり、ネットでそういう事例がないか検索したりもしたし、色々したんだけど、あんまりにも、あの夢の自分がリアルで……

肉を切り裂く血の匂いとか……首をしめた時の手の感触とか……突き落とした子供の髪の毛とか……気持ち悪くて」

「もしかして、それ、二回目の妊娠の時も見たの?同じ夢」

「二回目は……もっともっとひどかった」

「まさか二回目も?」

彼女は黙ってうなずきました。

もーなんて言ってあげたらいいのかわかりませんでした。私は独身で子供もいないし。

妊娠中ってそういうことあるんじゃないのかな?とか考えすぎだよ、とか。そんな深刻になることないじゃない?とか。大丈夫だよ~と、明るく笑ってみたり。

でも、彼女は暗い顔のままうつむいているだけです。

「だから……別れたの。私と前の旦那の子……でなければ……もしかして、と思って……」

「……そ、そんな……」

そこで昼休み終了のチャイム(うちはチャイムが鳴る会社なんです)が鳴ったので、彼女は“つとめて明るく“風に(ぎこちないけど)笑顔をつくって

「もう大丈夫だと思うんだけどね、相手が違えばきっと、と思うんだけどね。ねぇ?」

そうそう、大丈夫だよ、とか。

気にすることないよ、とか。

そんなような言葉しか口に出来なかったような気がします。次に妊娠する時はもうそんなことないと思うよ。とかなんとか。

そして彼女は退職していきました。それが一月の下旬の話。

そして、昨日五月五日、GWの最終日前、彼女に偶然街でばったりあったんです。

久々に逢う彼女は、なんだかますます色が白く、華奢になった気がしました。

「久しぶり~!元気?もーうちなんて神山さんがいないから忙しくてさぁ~!」

あの時の彼女の独白なぞすっかり忘れて、私は会社の近況を話そうとした時。

「Kさん……やっぱりダメかも……また見たよ。今度はもっともっとひどかった……じゃあ、元気で。さようなら……」

汗ばむほど天気のいい日でしたが、冷水を頭から浴びせられたようにぞーっとしました。
(了)

 

呪いの解き方 [ 川井春水 ]

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