【厳選】 怪談・都市伝説・怖い話まとめ

ネットで見つけた、都市伝説・怪談・ほんとにあった怖い話・世にも奇妙な物語・心霊系・不思議系・電波系・オカルト系のお話シリーズです♪

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二号室の住人

      2017/09/04

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俺が以前ラーメン屋でバイトしてた時の話。

その店はある地方都市の風俗街の中にあって、お客さんの殆んどは出勤前の風俗嬢だったり風俗店の従業員。

そんなに大きな店じゃないけどかなり繁盛してて、俺を含めてバイトが四人いた。

人気の理由は『出前』

場所柄、その辺りには店側が女の子達の為に借りているアパート《風俗店の寮》がいくつもあって、そこに住む女の子達からの出前注文が毎日何十件もあった。

その殆んどがラーメンだけとか、餃子だけとかの単品注文。

普通の店なら断るんだろうけど、ウチの店は喜んで出前するんで、そういうお客さんからスゴく人気があった。

俺達バイト四人はペアに別れて、日替わりで店内接客と出前を分担してたんだけど、いつも俺とペアを組んでた若月が変な事を言い出す様になった。

出前を届けるエリアは勿論決まってて、俺はエリアの北側を、若月は南側を担当してたんだけど、その南側に変な客がいるって言い出したんだ。

その客はいつも同じ品《チャーハンだけ》を頼んでくる客らしいんだけど、いつも届けてるのに声も聞いたことないし、顔も見たことないらしい。

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その客が住んでるアパートは、風俗街の中でもチョット異質なタイプのアパートで、住んでるヤツらはやっぱり風俗嬢らしいんだけど、アジア系とか南米系の女たち、果ては精神的にちょっとヤバイ、シャブ中の女なんかが住んでる寮だった。

なんでも、若月はいつも午後五時キッカリに、そのアパートの二号室のドアの前にチャーハンを置いて帰ってくるんだとか。

その二週間ぐらい前に、ウチの店にその辺一帯を取り仕切ってる風俗業者(いわゆるヤ○ザ系)の人が来て、マスターにそうする様に頼んだらしい。

長年風俗街の中で営業してるだけあって、そういう特殊な客や注文にも慣れっこだったマスターは、特に深く詮索もせずにその頼みを聞くことにしたらしい。

実際は暗黙の了解みたいになってて、下手に詮索したりするとヤバイ事になると思ったからだろう。

その事情を聞いて、俺達バイト連中の間では_

《借金で売られてきた女が住んでる》とか《組関係の指名手配犯が潜伏してる》とか、色々な憶測が飛び交った。

若月は住人の顔も声も知らなかったんだけど、下げてきた食器にはたまに口紅らしきものが付着してた事があったらしく、住人は女に間違いないと信じているようだった。

まぁ俺や他のバイト連中は、実際にそのアパートに行った事も無いし、どうせ自分達とは関係無い世界の話だと考えてたから、ちょっと気味が悪いって思ってただけなんだけど、若月はかなり興味を持ってた様だった。

若月は顔馴染みの出前客なんかにも、それとなくあのアパートの『客』について聞いてみたりしてたらしいんだけど、みんな一様に口をつぐんで話してくれなかったとか。

マスターも、あんまり若月が興味を持ち過ぎるもんだから、「あんまり関わるんじゃない」って釘を刺すぐらいだった。

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ある日、バイトが終わって一緒に帰ってる時に、若月がボソッと呟いた事がある。

「俺……明日あたり、あの部屋のドアをノックしてみようかな……」って。

何か適当な理由を付けてドアをノックして、住人が出てくるのかどうか、どんな人物なのか確認するつもりらしかった。

俺はちょっと面白くなって、「いいじゃん。チャレンジしてみれば?」とか言っちゃったんだけど。

その翌日と翌々日は、俺はバイトが休みだったんだけど、休みが明けてバイトに顔を出すと、いきなりマスターに呼びつけられた。

「お前、若月と一番仲が良かったよな?」と聞いてくる。

「若月がどうかしたんですか?」と俺が思わず聞き返すと、信じられない答えが帰ってきた。

「アイツ、一昨日から行方不明になってるんだよ」

若月はその日、いつもと同じ様にバイトに来て、いつもどおり仕事をこなしてたらしい。

そしていつものとおり、『あの客』の出前も届けたそうだ。

その出前から戻ってきて、しばらくは店内の接客や食器洗いをしてたんだけど、気がついたらいつの間にかいなくなってたらしい。

マスターはトイレだろう……と気にもとめなかったけど、結局それっきり若月は店に戻ってこなかったんだそうだ。

店の更衣室のロッカーに、私服も財布も置きっぱなしで……

「若月、何か悩み事とか相談されなかったか?」

って聞かれたけど、俺には若月が失踪するほど深刻な悩みを抱えてた様には見えなかったし、思い当たる事が何一つ無かった。

結局、若月は一人暮らしのアパートにも戻った形跡が無く、マスターが若月の実家の方に連絡を入れ、家族が捜索願いを出したらしい。

若月はフラリといなくなる様なヤツじゃなかったし、服や財布を置いて制服のまま仕事中にいなくなるなんて絶対にオカシイから、何か事件に巻き込まれたんじゃないか、なんてバイト仲間同士で話してた。

俺は内心、アイツ、あの寮のドアを本当にノックして、それで見ちゃいけないモノを見ちゃったんじゃないか。それで……

なんて変な妄想をしてたけど、若月がそんな事を企んでたなんて事は誰にも言わなかった。

ただ、若月が失踪したせいで、俺があの寮の担当になったんだけど、それまでチャーハン一皿しか注文しなかった二号室の住人が、チャーハンを二皿注文する様になった。

それが俺には、ほんのり怖かった。

例の風俗業者の寮の管理人が、若月の失踪後すぐ店に来てそう頼んできたらしい。

何故か《片方のチャーハンはグリーンピースを入れないでくれ》とも。

あの寮の二号室に食器を下げに行って、ドアの前に二枚重ねて置かれてる食器を見る度に、グリーンピースが大っ嫌いで食べられなかった若月の事を思い出して、またほんのりと怖くなってた。

勿論、ホントにただの偶然で、全部俺の想像に過ぎないのかもしれないけど。

若月は今も発見されていないらしい……

(了)

 

現代語訳・江戸の伝奇小説(5) [ 須永朝彦 ]

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