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根絶やしの歌(ねだやしのうた)【語り継がれる超怖い話】

      2016/12/29

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事の発端は、夫が風邪をひいて寝込んだことから始まりました。

418 本当にあった怖い名無し 2009/09/14(月) 13:15:32 ID:AVblIAaP0

今年の七月の終わりの土曜日、二人で出かけていたのですが、夜、帰ってくるなり

「頭が痛い、寒い」というので、早く寝かせました。

最初熱をはかったときは微熱だったのが、三時間ほど経つと三十九度以上に上がってしまいました。

薬を飲ませたいのですが、夫は市販の風邪薬がダメなので、保健所に電話したり病院に電話したりして 新型インフルではないと確認した後、夜中に病院に連れて行きました。

幸い、普通の風邪という診断だったので、薬をもらって帰ってきて、夫も薬が効いたのかぐっすり眠ったようでした。

そのとき既に朝方だったのですが、さすがに一緒のベッドでは眠れず、ただちょっとホッとして、リビングのソファで少しうたたねしてしまいました。

何だか夫の呼ぶ声が聞こえた気がしてハッと目が覚めました。

声は確かに寝室から聞こえていたので、急いで行ってみると、夫が大きな声で歌っていました。

まだ熱は下がりきってないはずで、よく眠っている感じなのですが、何だか一生懸命歌っているのです。

その様子は何と言うか……とにかく異様な感じで、私はぎょっとしてその場に立ち竦んでしまいました。

夫は普段からものすごい音痴なので、どんな音程で歌っているのかは分からないのですが、

「すみのあに……とうとうと……おかありを……すえらかす……」と歌っているのは分かりました。

上記の他にも何か言っていましたが、何だかいきなり全身がぞっとするような感覚に包まれて、

「熱で頭がおかしくなった?!」

とか思いながら、思わずまだ氷がたくさん残っている水枕を夫の頭の下から取り出すと、ふっと歌うのを止めて、すうすう寝息を立て始めました。

意味もなく水枕の水を替えたり、タオルで夫の顔を拭いたりしていたのですが、特に変わった様子もなかったのでソファに戻って寝ました。

その日(日曜日)のうちに大分熱は下がりました。

少し気分が良くなったらしい夫に、

「なんか寝込んでるとき、歌うたってたよ、夜中に大声で。すごい怖かったよ」

「え、マジで?全っ然覚えてないわ。何の歌?」

「何か知らない、変な歌。熱で頭おかしくなったかと思ったよ、びっくりしたわ」

「変な歌ってなに?多分頭は大丈夫だと思う」

などとやりとりして、その日は夫が寝ているときに歌うこともなかったので、あのときの恐怖も薄れ、普通に過ごしました。

月曜日、夫は仕事を休みました。

火曜日の朝、すっかり元気になった夫は朝、ベランダでタバコを吸っていました。(家の中は禁煙です)

私は台所で食事の支度をしていたのですが、窓を開けていたのでベランダから夫の独り言が聞こえました。

「……これが……○○(よく聞こえなかった)……ねだやしだな……」

また私はぎょっとしました。

「ねだやし」って……「根絶やし?」

とっさに、脳内変換してしまいました。

ベランダから出てきた夫に

「根絶やしって今、独り言言ってたよね?何なの?」

と聞くと、夫は心底びっくりした顔をして、

「はい?根絶やしって?」

と逆に聞き返されました。

「だって、今『根絶やしだな』って言ってたじゃん、そんな怖い言葉使わないでよ……」

「いや、そんなこと言ってないよ。聞き間違えじゃない?独り言言った?俺……」

とキョトンとしているので、それ以上追求できず、朝食を取った後、それぞれ仕事に行きました。

それからは特に変わったこともなかったのですが、八月に入って夫の友達スーさんが泊まりで遊びに来ました。

スーさんは私と夫の共通の知り合いで、結婚後も何度も遊びに来てくれている人です。

で、その日スーさんがウチのお風呂に入っているとき、ドアが閉まっている脱衣所の前を通りかかったのですが、そこでまた心臓が止まるかと思うほどぎょっとしました。

スーさんがお風呂で歌を歌っていました。

「とうとうと……おかざりを……すべらかす……たまずさが……とけぬうち……すみのはに……」

何?何かの地域のわらべ歌?と混乱する頭で考えました。

でも夫とスーさんの実家は県が離れているので地域つながりではないはず。

何か、お葬式でお坊さんが歌うような調子で読むお経のような、そんな感じの歌で、この間夫が歌っていた歌と同じだ!と確信しました。

発音の違いはあれど、きっと同じ歌だ、と思いました。

またゾッとするような感覚に包まれ、ひざが震えました。

リビングでテレビを見ていた夫に

「ねえ!スーさんがこの間アナタが歌ってたのと、同じの歌ってる!!」

と言うと、夫は

「何の歌だよ?」

と笑いながら脱衣所のドアのところまで来ましたが、ザーッとシャワーの音が響くだけで、もうスーさんは歌っていませんでした。

お風呂から出てきたスーさんに

「さっきお風呂で歌ってた歌、もっかい歌って!」

と言うと、キョトンとした顔で

「え?俺、なんか歌ってた?」

と言うので、夫が

「なんか俺が寝込んでたときに歌ってた歌と同じ歌なんだって」

と言うと、スーさんは

「何?それ今時の歌?」

と、本当に分からない様子だったので、私は怖くて、震えました。

私の様子に二人はちょっとびっくりしたのか、

「まぁ気にすんなよ。酒飲もう」

と明るく言ってくれ、とりあえず三人でお酒を飲んで、その場は何とかやり過ごしました。

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それから三日後。

私は仕事帰りによく駅前のスーパーに寄るのですが、その日も激混みのレジに並んでいました。

私の前には三人ほど並んでいたのですが、すぐ前にいるおじさんが

「あっ。あれ忘れた」

と言って私の顔を見て、

「ごめんなさい。ちょっと、すぐそこにあるヤツ忘れたから、カゴ置いていくから、ちょっと、いい?」

と言いました。

要するに、レジの列から離脱せずに、買い忘れたものを取ってきたいということなんだと思いました。

私の後ろにも並んでいたので私はなんとも答えようがなく、苦笑いをしてごまかしたのですが、おじさんはカゴを置いてその場を離れ、しばらくして青のりを持って列に戻ってきました。

私の後ろの人も何も言わなかったので、そのままにしておきました。

おじさんも私もレジを終え、私がバッグに買ったものを詰め込んでいると、右肩をポンと叩かれました。

振り向くとさっきのおじさんでした。

「さっきはありがとね」と言うので、とっさのことで

「いえ……」と言うと、私の耳元で

「すぐには来ないよ。たまずさがとけぬうちは、ねだやしにならないからね」

と言って、また肩をポンと叩かれました。

私はもう、冷や水を浴びせられたようになって、固まってしまいました。

私が何も言えないでいると、おじさんはさっさと荷物を持ってスーパーの入口に向かって歩きはじめましたが、スーパーの入口を出たとき、入口のガラス越しにいきなりパッと消えました。

えっ?!と思い、自分の荷物をほったらかして小走りで入口に行きましたが、もうおじさんはいませんでした。

私は目が悪いのですが、コンタクトをしているのですごく見づらいということはありません。

明らかにおじさんは消えたと思いました。

でもあんなにはっきり幽霊って見えるの?

スーパーで買い物するの?

百歩譲って、もし消えてなかったとしても、あのおじさんの言葉は何なの?!

怖いよ!!

叫び出したくなるのを押さえて、家に帰りました。

帰ってから『たまずさ』など、歌のキーワードをググったりしてひたすら調べて、『たまずさ』が手紙や消息のことだと単語の意味としては分かりましたが、何のことを言っているのか意味がつながらず、怖くなってやめました。

その週は夫の帰りが遅く、また疲れていた様子だったので何も話さず、その週末からお盆休みに入ったので、二人で夫の実家にお墓参りをしに行きました。

お墓参りをしたその夜、そのまま泊まったのですが、何か気配がして、起きたら夫が布団の上に正座していました。

時計を見たら朝の四時。

「どうしたの!」と言ったら、

「なぁ……おまえ、なんか前俺が『根絶やし』って言ったって言ってたよな……」

「何なの?!……言ったけど……どうしたの?」

「見た。さっき。なんか、十二単みたいな何枚も重ねてる真っ白の着物着て、髪が長いんだけどもう、ぐちゃぐちゃの髪で、真っ青でやせ細った女の人。着物と髪の毛、長いから引きずってる感じの……」

「夢で?」

「いや……夢かもしれないけど、『根絶やし』って言われた気がした。わかんないけど」
「………………(気絶しそう)」

「俺、実はその人見るの二回目なんだよ。小学生のとき、一回見たけど、そのときは廊下を渡っていっただけだった」

夫の実家は四百年以上続いている家で、建物自体は建て替えているのでそんなに古くないのですが、現在家が建っている土地含め、近隣に所有している土地はかなり古くからある土地だと聞いています。

夫はその家の長男で、他に男兄弟はいません。

「根絶やし」とはこのこと?

つまり、夫が死ぬとか、子供ができないとか、そういうことなの?

私はもうめまぐるしく頭の中で考えていました。

夫は怖い話が大嫌いなので、こういう話は初めてしたのですが、私も歌といい、夫の独り言といい、スーパーのおじさんといい、もう本当に恐怖でいっぱいになって夫の手を握り締めました。

それからしばらく何もなかったのですが、今朝未明、また夫が突然寝ながら大きな声で歌い出しました。

「すみのはに……とうとうと……おかざりを……」

もう飛び起きて、夫を揺さぶって起こしました。

夫は寝ぼけて「へ?」って感じでしたが、歌を歌っていたことを伝えると、

「いやー……俺、死ぬのかなあ」

とか言うので、泣いてしまいました。

今日は私は会社をズル休みしてしまいました。

掃除も洗濯もやる気が起きず、こうやってここに書き込んでいます。

もうお寺でも神社でも、何でもいいのでお祓いしてもらおうと思っています。

(了)

 

怖い本(6) [ 平山夢明 ]

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