【厳選】 怪談・都市伝説・怖い話まとめ

ネットで見つけた、都市伝説・怪談・ほんとにあった怖い話・世にも奇妙な物語・心霊系・不思議系・電波系・オカルト系のお話シリーズです♪

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落ちていくモノ【ナナシシリーズ02】

      2017/06/20

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あの、悪夢のようなアパートでの事件から数カ月が経ち、僕とナナシはまたお互いに話をするようになっていた。

初めのほうこそ多少ギクシャクしたが、結局ナナシに不思議な力があろうがなかろうが、あの女の人がどうであろうが、ナナシはナナシで、僕の友達だということに変わりはない。

僕はあの日のことは記憶の底に沈め、ナナシと普通に話すようになった。

ナナシも、今までと同じようにヘラヘラ笑って話掛けてきて、僕らはすっかり以前のような関係に戻っていた。

そんな矢先のこと。

そろそろマフラーやらを押し入から出さないとな、なんて時期の授業中、それは起きた。
教室では窓際の最前列に、目の悪かった僕と委員長の女の子、その後ろに、ナナシとアキヤマさんと言う女の子が座っていた。

その頃、その窓際席の僕ら4人は、授業中に手紙を回すのをひそかな楽しみにしていた。
つまらない授業の愚痴や、先生の悪口を小さいメモに書いて、先生が見ていない隙にサッと回す。

もしバレても、委員長がごまかして僕らが口裏を合わせることになっていたし、端とはいえ、前列で手紙を回すのはちょっとしたスリルだった。

そしてそれは、たしか3時限目あたりの国語の授業中。

どこの学校にも一人はいるであろう、バーコードハゲの教師が担当で、今にして思えば大変失礼だが、僕らは彼の髪型をネタに手紙を回していた。

くだらないことをしていると時間が過ぎるのは早く、すでに何枚か紙が回され、授業も半ばを過ぎた。

そのときだった。

教科書に隠しながら手紙を書いていた僕は、ドン、と何かに背中を突かれた。

どう考えてもそれは後ろの席のナナシで、まだ書いてるのに催促かよと、僕は少しムッとしながら振り返った。

するとそこには、眉間に皺を寄せた凄まじい形相で、僕に何かを向けているナナシがいた。

手には開いたノートがあり、真ん中にデカデカとマジックで『窓』と書いてあった。

思わず窓を見ると、「ひっ…」
人と、目が合った。

蛙のような体勢で落下してきたその人は、顔だけをこちらに向けていた。

恐怖か苦痛か屈辱かわからない、むしろ全て入り交じったような悶絶の表情を一瞬見せて、その人は消えた。

「うわぁああっ!!!」
僕ではない誰かが叫んだ。叫んだのとほぼ同時に、ドシン、と音が響く。

しばらくフリーズしていた教師やクラスメート達も、2、3秒して騒ぎ立て、窓に駆け寄り出す。

僕はその様子を茫然と見ながら、フラッシュバックを感じていた。

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まただ。またナナシが、人の死を言い当てた。

僕は震えながら、ゆっくりとナナシを見た。

ナナシは震えもせず騒ぎもせず、窓の前に立っていた。

遠い目で窓を見ている。僕はナナシに駆け寄った。

「ナナシ、あれ…」
縋るように駆け寄った僕に、ナナシは振り返ることもせず言った。

「お前、なにか見た?」
なにか。そんなの解りきっているというのに、白々しく尋ねてくるナナシに僕は無性に腹がたった。

「当たり前だろ!!お前が窓を見ろって言ったんじゃないか!!
 おかげで僕は目が合ったんだ!!見たんだぞ!!あの人が堕ちる一瞬を!!!」
僕は、あの死に行く人と目を合わせてしまったのだ。

悲痛と苦痛に染まった、間もなく死ぬであろう見知らぬ人と、目が合った。

一生トラウマになりそうな表情を見たのだ。

「なら、いよいよオカルトだな」
ナナシは言った。

僕にはその言葉の意味がわからなかった。わかりたくもなかった。

だが、「見てみなさいよ、下」
さっきまで黙っていたアキヤマさんが、僕に言った。

僕は恐る恐る、人を掻き分けて下を見た。

そこには、こちらを向いて目を見開き、苦悶の表情を浮かべながら、体を不思議な方向に曲げた死人がいた。

ドス黒い血が彼女の白いブラウスを赤茶に染めていて、僕は思わず目を反らした。

そして、気付いた。

僕は彼女と目が合ったんだ。それは確かだ。あの表情は夢じゃない。

蛙のような、這うような姿勢で彼女は落ちて来た。そして僕を見ていた。

…なら、何故彼女は、『こちらを向いて』死んでいるのか。

俯せに落ちたはずの人間が、何故仰向けに死んでいるのか。

空からたたき付けられた人間が、まさか寝返りなどできるはずもない。

まして、あの数秒間で、誰かが動かしたはずもない。

否、それよりも、どんな飛び降り方をすれば、『蛙のような体勢』に落下することができるのか。

否、どんな飛び降り方をすれば、『蛙のような体制で、こちらを向いて落下できる』のか。

その疑問が浮かんだとき、震えは一層強まり、首筋に冷たい何かを感じた。

不意にナナシが口を開く。

「死んだ先に何がある。救いなんてあるはずないのに。闇から逃れても、闇しかないんだ」
その言葉には、恐ろしいくらい感情が篭っていなかった。

アパートのときよりも、数倍僕はナナシを怖いと感じた。

赤い海に浮かびながら、僕らを見上げる曲体の死人より、ナナシの言葉が怖かった。

その後、席替えがあり、僕が窓際になることは二度となかった。

つづく………

 

怪談彼女 てけてけ 永遠月心悟/著

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 - 都市伝説, 怪談, ナナシシリーズ

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