【厳選】 怪談・都市伝説・怖い話まとめ

ネットで見つけた、都市伝説・怪談・ほんとにあった怖い話・世にも奇妙な物語・心霊系・不思議系・電波系・オカルト系のお話シリーズです♪

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ナナシ【ナナシシリーズ01】

      2017/06/20

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今から数年前、僕と僕の友人だった人間が、学生だったころの話。

ときは夏休み、自由研究のため、友人…仮にナナシとするが、僕はそのナナシと、心霊現象について調べることにした。

ナナシはいつもヘラヘラしてるお調子者で、どちらかといえば人気者タイプの男だった。
いるかいないかわからないような陰の薄い僕と、何故あんなにウマがあったのかは、今となってはわからないが、とにかく僕らは、なんとなく仲がよかった。

なので自由研究も、自然と二人の共同研究の形になった。

また、心霊現象を調べようと持ち掛けたのは、他ならぬナナシだった。

「夏だし、いいじゃん。な?な?」
しつこいくらいに話を持ち掛けるナナシに、若干不気味さを感じながらも、断る理由は無かったし、僕はあっさりOKした。

そのとき僕は、ナナシはそんなにオカルト好きだったのか、そりゃ意外な事実だな、なんて、くだらないことを考えていた。

「どこ行く?伊勢神トンネルとか?」
僕は自分でも知っている心霊スポットを口にした。

しかしナナシは首を横に振った。

「あんな痛いトコ、俺はムリ」
そのナナシの言葉の意味は、僕は今も理解ができないままでいる。

何故『怖い』ではなく『痛い』なのか、今となっては確かめようがない。

だが、ナナシは確かにそう言った。

話を戻すが、ナナシは僕が何個か挙げた心霊スポットは、全て事々く却下した。

意見を切り捨てられた僕は、いい加減少しムッとしてきたが、ちょうどそのときナナシが言った。

「大門通の裏手にアパートがあるだろ。あそこにいこう」
そのアパートの存在は僕も知っていた。

もっとも、心霊スポットだとかオカルトな意味じゃない。

天空の城ラピュタとかに出てくるような、蔦や葉っぱに巻かれたアパートで、特に不気味なアパートってわけではないが、入居者はおらず、なのに取り壊されることもなく、数年…下手したら数十年、そこに在り続けているアパートだ。

「あんなとこ行っても、なんもねーじゃん。幽霊がいるワケじゃなし」
「いいから。あそこにしよう」
ナナシは渋る僕を強引に説き伏せ、結局、翌日の終業式のあとに、そのアパートに向かうことになった。

時刻は午後4時36分。僕らはアパートの前にいた。

終業式を終え、昼飯を食べてから、しばらく僕らは僕の部屋でゲームなんかをしたりした。

何故すぐにアパートに向かわなかったのか、向かわないことを疑問にも思わなかったのか、あの時の僕にはわからなかったし、今の僕にもわからない。

ただ、すぐにあのアパートに向かわなかったことを、僕は未だに後悔している。

否、あのアパートに行ってしまったことを、後悔してるのかもしれない。

とにかく、しばらく遊んだあと、唐突にナナシが「さ、そろそろかな」と言い、僕はナナシに手をひかれてあのアパートに向かった。

そのときのナナシの横顔が、なんだか嬉々としていたような、逆に悲しげなような、なんとも言えない表情だったことを、僕は忘れないだろう。

そして、僕らはアパートに着いた。

ナナシはひと呼吸置くと、「終わった、な」と言った。

その言葉の意味がよくわからなかった僕は、ナナシに聞き返したが、ナナシは無言のまま僕の手を引いた。

いつものナナシじゃない。お調子者のナナシじゃない。

そんな不安が胸元にチラついたが、ナナシは構うことなくアパートの階段を上る。

そして、『302』とプレートのついた部屋の前に立った。

異様な空気が僕の背中を掠めた。

「ナナシ…?」
ナナシは答えないで、ドアの前にあった枯れた植木鉢から鍵を取り出し、ドアを開けた。

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するとそこには、『人間だったもの』があった。

「うぁあぁあぁあっ!!!」
僕は大声を上げてヘタリこんだ。

玄関先には女のひとが倒れていて、はいずるように俯せている。

その体の下からは、夥しい量のまだ生々しい赤黒い血が、水溜まりのようになっている。
僕はガタガタ震えながら、ナナシを見た。

でも、ナナシは、「あはははははははははははははははは!!!!!!」
笑っていた。

僕はナナシが発狂したのかと思ったけど、そうじゃなかった。

「見ろよ!!これが人間の業なんだよ!!ラクになりたくて死のうとしたって、死ぬことにまだ苦しむんだ!!
 この女、2日も前に腹をかっさばいたんだぞ!!2日だぞ!!
 2日も死ねなくて、痛い痛いって死んだんだ!!
 『痛い苦しい助けて』って、声も出ないのに叫びながら死んだんだよ!!!!
 死にたくなって腹を切ったのに、死にたくないなんて我が儘もいいとこだ!!」
ナナシが早口でまくし立てる。

僕は死体よりも血よりも何よりも、ナナシが凄くこわかった。

「死にたくないなら死ぬんじゃねぇよ!!!!死にたくなくても死ぬんだから!!!!馬鹿馬鹿しいにも程がある!!!
 神様なんていやしない!!!助けてくれるやつなんか、世界が終わっても来やしないんだよ!!!!」
ナナシは叫び続けた。

僕はナナシに必死にすがりついて、わけのわからないことを口走りながら泣いた。

しばらくして我にかえると、ナナシが僕の頭を撫でていた。

「警察、呼ばないとな」
ナナシはそう言った。さっきまでの凄まじい形相のナナシはいなかった。

でも、僕の友達だった、ヘラヘラ笑うお調子者のナナシも、もうどこにもいなかった。

僕らは警察を呼び、簡単に事情を聞かれて、家に帰された。

僕らは一言も口を聞かぬまま別れた。

その日、僕はいろんなことを考えた。

何故ナナシは、あのアパートに行こうと言い出したのか。

何故ナナシは、あの女のひとが2日前に自殺を図ったことを知ってたのか。

何故ナナシは、あの部屋の鍵の場所を知ってたのか。

ナナシがつぶやいた「終わったな」って、なんだったのか。

オカルト的な考えになるが、きっとナナシは、死人の声みたいなものが聞こえるんだろう。

死ぬ間際の断末魔なんかが、聞こえるタチなんだろう。

ナナシが「終わったな」って呟いたとき、あの女のひとは死んだんだろう。

鍵の場所も、あの女のひとの生き霊みたいなものが助けてほしくて、教えてくれたんだろう。

でも、僕らは間に合わなかったのだ。

僕はそう考え、凄く悲しくなった。

僕らが間に合わなかったせいで、あのひとは死んだんだ。

まだ、助かったかもしれないんだ。

僕らが早く行っていれば………

そこまで考えて、僕はひとつの疑問が浮かんだ。

もし、もしさっきの仮説が正しくて、ナナシに不思議な力があるなら、何故ナナシは、すぐにアパートに向かわなかった?
何故ナナシは、すぐに警察なり救急車なりを、昨日の時点で呼ばなかった?
否、否否否。ナナシが早口でまくし立てていただけで、本当に自殺かどうか実際はわからない。

ましてあの部屋には、血溜まりと死体はあっても、凶器なんかは見当たらなかった。

否、否否否。それ以前に、それ、以前に、僕らが部屋に入ったあの時点で、本当にあのひとは死んでいたのか?
もしまだ死んでなかったなら。そして、自殺じゃなかったなら。

そこまで考えて背筋が凍った。

それからしばらく、僕はナナシとマトモに喋ることができなかった。

その後ナナシと僕は、ある事件をきっかけに永遠の断絶を迎えるが、それはまた

別の話………

つづく……

 

超怖い話 Κ/平山夢明

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