【厳選】 怪談・都市伝説・怖い話まとめ

ネットで見つけた、都市伝説・怪談・ほんとにあった怖い話・世にも奇妙な物語・心霊系・不思議系・電波系・オカルト系のお話シリーズです♪

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蟲と会話できる男

   

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出勤中に上から鳥が降ってきた。

32 :本当にあった怖い名無し:2013/10/03(木) 22:44:49.80 ID:ANzrGXfU0

結構な大きさで茶色の色合いから多分、鳶(トビ)かと思うが、それが目の前に落ちてきた。

ゴスッ、と音が響いた時はびびったが、その後それの対処に困った。

結局、そのままガードレールの外の草村にどけた。

出勤して仕事も一段落したいつも通りの昼休み。ふと、その事を話してみた。

「やっぱりあれはちょうど寿命だったんですかね?」

それに年配者の多い職場の中で、比較的若く自分も兄のようにしたっている先輩は

「そうだとしても不吉じゃねぇか?」

とちゃかしそのまま盛り上がった。

しばらくしてこの職場でもっとも若い後輩が通りかかった。

この後輩は色んな意味で一目置かれているので、先輩方も皆声をかけた。

もうすでに昼は食べたので腹ごなしに仕事の見直しに向かっていたそうだ。

それを多少強引に阻止して強制的に話に参加させたのは、その場にいた全員が《色んな意味》で一目置かれる後輩の言葉を聞いてみたかったからかもしれない。

「な?ちょっとすげぇだろう?」

そう言って、また先ほどのように盛り上がろうとしたとき

「ああ!だからですか!」

後輩が声を上げた。

その場によく響く大きな声で少し興奮したかのように上げられたそれに、いっせいに後輩を見る。

後輩は嬉しそうな表情で、手の甲にいつの間にか這っていたムカデをなでていた。

それなりの大きさのムカデを手に這わせなでている姿もある意味恐ろしいが、元から虫と話せるらしいと噂がある後輩なので違和感はなかった。

けれど後輩は納得したように何度もうなずいて、こちらを手で示す。

「先輩のカバンに軟膏があるでしょう?そこに何でいるのかなー?って思ってたんですよ。なるほど!それならそこにいても不思議じゃないですね」

とっさに、後輩の言うカバン、もといウェストポーチを開いた。

ケガをしたならオロナインという家族だったので、中に確かに軟膏は入れている。

円陣を組んだように座っていた自分たちの目の前に、小さいオロナインの容器を手のひらの上にのせ出した。

どういう意味なのか、理解できなかったからかなかなか開こうとはしなかった。

しびれを切らしたのか、後輩が容器のフタを開いた。

その中には、灰色の粒があった。綺麗な川にあるような小石にも似たそれは、よく見ると小さな黒い毛のような物が蠢いていた。

「…ダニ?」

誰が言ったのか分からなかったが、それは確かにダニだった。

よく犬についているのをみるような、そんなダニ。

「もらいますね~」

それをひょいとつかむと手のひらに転がす。

後輩は特に何を気にした様子もなく、手のひらの上でコロコロと転がるダニを見ている。

「おなかいっぱいのようですから動けないんですね~」

そんな事を言う後輩の手のひらにムカデが移動する。

そして、後輩と同じく何の疑問もなく丸く膨らんだダニを、飲み込んだ……

のだろうか?そう見えた。

「まあ、なっちゃったみたいなんでもらっちゃいました」

そう言って後輩は頭を下げた。

「食べ癖は、ない方がいいですけど仕方ないですよね。もうなっていましたし」

自己完結したようなそれに答えられなかった。

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後輩はそのまま仕事の見直しに向かっていった。

正直、頭が追いついてない。なぜムカデにダニを与えたのか。

何が何になったというのか。なぜ軟膏を持っていてそこにダニがいることが分かったのか。

何よりも、新調したてのきちんと閉めていたウェストポーチのフタのきちんと閉まった軟膏の容器の中にダニが入っていたのか。

疑問は尽きないが、漠然とムカデよりも後輩よりも、そのダニが自分は恐ろしかった。

結局、「なった」とはどういうことなのか?鳶はどうして死んだのか、ダニは何だったのか。あしらわれたり不快にさせる覚悟でしつこく聞いてみた。

昼休み、田舎の方で一応工業系の職場だから敷地内に緑は結構多い。

天気のいい日にはひなたぼっこをしていると聞いて、先輩に教えてもらった場所をみたところ光合成してるようだった。

まあ、とりあえず食後のおやつの袋を片手に近付いて、話しかける。

世間話を少しした後に、意を決して聞いてみた。

後輩は渋った。

何度かはぐらかそうとしたが、すっ、と。

差し出したお供え物は、さけるチーズとウィルキンソンのシンジャエール辛口。

一応、いくらかのリサーチはしたつもりだったので好物を持ってきたのだ。

供え物と頭を低く、土下座しそうなまで下げつつある姿をいくどか見比べ。

「……一応、当事者…か、」

ぽつりとこぼした言葉に、頭を上げて後輩をみると、お供え物を手にしてあきらめたように笑っていた。

ガッツポーズをした自分はきっと悪くない。

ここから覚えてる程度に後輩の言葉を再現する。

「あれは、なった。つまりは【変異】した。『成った』ってことでもあり、昔からの癖で変わった言い方ではありますが、習慣の慣で『慣れた』という意味で『慣った』。

舌足らずだったんですよー。あれはですね。ひっかいてたんですよ。ガリガリ、ガリガリって食らうとか蝕むんではないんです。

それじゃあ取り込んでいるようなものなんで、鳶の性質とかもあるはずなんですけど、なかった。ガリガリって、引っ掻いて削った分を放り出して、居座っていた。

そんな、張りぼての鳶にダニがいて、彼は中にあったそれを血液と共に取り込んでしまった。中で再び中身のあるダニを引っ掻いて、削っていたんです。

中がなくなった鳶は先輩の目の前にたまたま落ちてきました。ダニに住み替えたそれは近くにあった住みやすい空白に飛び込んだ。そして削りやすい軟膏の容器の中に入りました。

引っ掻くだけのはずのそれが、食われ取り込まれてしまった事から、喰らうことを覚えた。蝕むことを知った。まさしく、蝕むことに適したダニの器で食べ癖をつけて、次を狙っていたんですよ」

疑問は、かなりの量だった気がするが、後輩が言った事は大体こんなものだった。

そして、お供え物を手に立ち上がった後輩は一言。

「先輩、運がいいですね!」

背筋が凍った。

あの場で後輩がいなかったとしたら、もしも、ダニに気づかなかったら。その瞬間に話の内容を漠然とだが理解した。

そして、「それ、とはなんだ?」と聞いた。

輩はイタズラっぽく微笑むと、

「何でもない。あるから在るもの。人以上に在るべき理で、ただの%&#@ですよ」

一瞬、何かにさえぎられたのか分からない。

そこの言葉だけ、言葉として記憶に存在していない。

口の動きも、言ったという事実も声も覚えている気がするのに、言葉で思い出せなかった。

ちなみに後輩は後にウィルキンソンのジンジャエールを炭酸嫌いの先輩に一口飲まれ、わめく先輩をよそに悲しそうな顔を浮かべながら

「うぃるきんそん…」

と、沈んでいた。

一口なら良かったんじゃないだろうか。

(了)

 

怪談社 書記録/伊計翼

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