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【沙耶ちゃんシリーズ】02 香典泥棒

      2015/07/08

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沙耶ちゃんがそういう子だと知ってから、思い出して合点が行ったことがある。

俺がコンビニでバイトを始めたばかりの頃、いつも0時を回ってから来る女の客があった。
格好と化粧から想像するにキャバクラ嬢。買う物は弁当とビールを1本。
コンビニって弁当を渡すときに、一緒に箸を渡すだろ?
最初は俺も当然のように、キャバ嬢の袋に割り箸を入れた。
そうしたら彼女、わざわざ「家に帰って食べるから要りません」って断るわけ。
エコなキャバ嬢だったねw服の面積も最小限だったしwww

ある日、少し早い時間に彼女が現れた。レジにいたのは沙耶ちゃんだった。
俺は商品の棚に張り付きながら、沙耶ちゃんが箸を断られるだろう様子を観察していた。
沙耶ちゃんは箸を入れた。なぜか2膳。キャバ嬢は断らないんだ。そのまま店を出て行く。
俺はキャバ嬢の後を目で追った。彼女は駐車場の車の助手席に乗り込んだ。
「ああ、今日はデートかあ(笑)」
「そうらしいですね」
「箸2膳とは気を利かせたね」
「あの人がそうしてほしかったみたいなので」
そのときは、沙耶ちゃんの神経の細かさに感心しただけだった。でも、今考えると妙だったんだよな。
沙耶ちゃんは、『彼女が普段1人で来ること』も、『箸にこだわっていること』も知らなかったはずなんだから。

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長い余談で悪い。ここからが本題。

グランドでの一件があってから、
俺と沙耶ちゃん、それに事情を話した梶も含めて、俺たちはよく会話するようになった。
沙耶ちゃんが無口だったのは、見える自分と見えない俺たちとの、感覚の食い違いが怖かったからだ。

夜中のコンビニは、たまに緊急の用を足しに来るヤツがいる。香典袋と黒い靴下なんてその典型。
そういう客が来ると、俺たちは沙耶ちゃんに「亡くなったの誰だと思う?」って、霊感試しみたいなことをやった。
悪趣味だったなあw
沙耶ちゃんは笑って答えなかったけどね。

でも1回だけ「わからない」って、はっきり答えたことがあったんだよ。
30代中盤ぐらいの男だったかな。顔はもう忘れた。黒靴下と黒いネクタイを買って行った客。
レジで対応しているときから、沙耶ちゃんの様子はなんとなくおかしかった。
落ち着きがないっていうか、客と視線を合わせようとしない。俺から見たら普通の客だったんだが。
沙耶ちゃんの困惑した様子に、俺と梶は俄然興味を惹かれちまった。
梶が客をそっと追っかけて、俺は沙耶ちゃんと留守番。
「お葬式に行くのに、あんなに何にも感じてない人って初めて・・・」と沙耶ちゃん。

梶は30分ぐらいして戻ってきた。
「やばいわ、あれ」
「何?変質的なん?」
「つか・・・香典泥棒じゃ・・・」
「マジ?なんで?」
「途中で靴下履き替えてネクタイして、その先で通夜やってた家に入ろうとした」
すでに出入りの絶えていた喪中の家は、玄関を開け放してあったらしい。
あの客は少しためらったあと、門をくぐって玄関先に立った。
「で、どうしたのよ?」
「もちろん臨戦態勢でしょwお客さん落し物ですよって声かけてやった」
「おまえ、すげーなw」
「ww飛び上がって驚いてたよ。そのまま逃がしちゃったけど」
「お手柄体育大生の称号を逃したなあ」
梶を持ち上げまくりながら、俺は沙耶ちゃんを横目で観察してた。
沙耶ちゃんは梶に憧憬のような視線を送りながら、話に聞き入ってた。
ちょっとだけムカついたねww
ただな・・・ああいう霊感の強い人間っていうのは、やっぱり何かで苦労してるんだな。
話が終わったあと、沙耶ちゃんが梶に言ったんだ。
「ありがとう。いつもはわかってもどうすることもできないから、こんなふうに役立ててくれて嬉しい」って。
見えりゃ気にするわな。沙耶ちゃんのせいじゃないんだけどさ。

後になって聞いた話だけど、霊感って、都合のいいときだけ出し入れできるものじゃないんだって。
沙耶ちゃんにとっては、霊体までひっくるめて『個人』だったみたいだ。
祖父さんが守護霊でついてる孫娘は、男っぽく見えるし、
軍人の家系は、本人がどんなに物腰が柔らかくても、高圧的に感じるらしい。
背後の霊に好かれたから、本人とはそれほど気が合わなくても、人間関係が上手く行くこともあったようだ。
そんなわけのわからない世界の中で、沙耶ちゃんが良識を保っていられたのは、
彼女の人格がものすごく高次元のものだったからだと、俺は思ってる。

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 - 沙耶ちゃんシリーズ

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