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きよみちゃん【不思議で感動的なお話】

      2022/01/01

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私が小学校三年生ころの話です。

107 名前: のぶ代 投稿日: 2002/08/20 02:01

そのころ、とても仲よしだった、きよみちゃんという女の子が、クラスにいました。

彼女と私は、毎日のように学校が終わると、お互いの家を行き来しては、ふたりで遊んでいました。

その日は、彼女の家の台所のキッチンテーブルで、ふたりでドラえもんを読んでいました。

その内容は、ドラえもんが、のび太に切抜き絵本のようなものを出してあげます。

それには、ケーキやおかし、車など色々なものがあり切り抜いて組み立てると、本物のように、食べれたり、乗れたりするというものでした。

きよみちゃんと私は早速、「おもしろい!まねしてみようよ!」と、画用紙や、ハサミ、色鉛筆を持ち出しました。

もちろん本物になることなどありえないと、理解できる年齢でしたが、とても楽しかったのを覚えています。

そして、日も暮れかかり、私が家に帰らなければいけない時間になりました。

きよみちゃんは、いつもそうするように、玄関の外まで、私を見送りました。

そのとき、きよみちゃんが言いました。

「のぶ代ちゃん。今日のこと、大人になっても忘れないで」

私はきよみちゃんが、いきなり変なことを言うのには慣れていたのですが、そのときは、彼女の様子がいつもと違うので、なんでー?と聞き返しました。

今こうしてふりかえると、確かにあの日のきよみちゃんは、いつもと雰囲気が違ったような気がします。

きよみちゃんは続けました。

「今日の私、三十二歳の私なんだ」

ますます私には、訳が分かりません。

でも彼女は続けます。

「2002年だよ。三十二歳。のぶ代ちゃんのこと思い出してたら、心だけが子供の私に飛んでっちゃった」

はっきりいって、聡明とはほど遠かった(今もね)子供の私は、なんだかわからないけど、二千二年と行ったら、超未来で、車なんか空飛んでたりする、という考えしかないくらい遠い遠い未来。

「ふーん。ドラえもんの未来からかー!」

なんて、バカな受け答えしかできませんでした。

きよみちゃんは、そんな私を笑いながら、

「それが全然!マンガの世界とはちがうよー」

と言いました。

そして、私ときよみちゃんは、また明日遊ぶ約束をして、別れました。

今考えると、なんであのときもっと問い詰めなかったんだろうと後悔しますが、なんせ子供だったし、きよみちゃんも私と同様、ドラえもんの影響で、ふたりでよくSFチックなことを、夢見ていたので、別にきよみちゃんが私に言ったことが、そんなに変とも思わなかった。

翌朝、学校に行くと、いつものようにきよみちゃんが私に、話しかけてきます。

まるっきり、いつものきよみちゃんでした。

そして、私もまた、きよみちゃんが私に言ったことなど、すっかり忘れて、そのまま毎日が過ぎて行きました。

そして、私たちは五年生になり、それと同時に私は地方へ引っ越すことになりました。

そしてそのまま、きよみちゃんと、二度と会うことはありませんでした。

今年、2002年。私は三十二歳になりました。

そしてハッとします。

あの日のきよみちゃんの言葉を思い出して。

もしかして、もしかして、もしかして……と。

私はその後も、引っ越しを繰り返し、今では海外在住です。

きよみちゃんを探したいのですが、結婚してれば名字も変わっているだろうし、どうやって見つけられるか。

あの頃の私は、片親だったので(当時はまだ珍しく、世間からは白い目で見られがちだった)、

「のぶ代ちゃんと遊んじゃだめよ。片親なんだから」

と、思いっきりよその子供の親が、私の目の前で言うなんてことも、珍しくなかったし、大嫌いだった先生にも、

「片親だからね。目つきも悪くなるんだろう」

と言われたこともあった。

そんな中、きよみちゃんだけが、私の友だちで、子供時代の唯一の理解者であったと思う。

会いたいと思う気持ちがそうさせたのか、二週間ほど前に、”あの日”の夢を見た。

あの日と同じ、きよみちゃんのおうちの台所。

キッチンテーブルいっぱいに、画用紙と色鉛筆。

私が自分の家から持ってきた、コロコロコミックが二冊置いてある。

当時コロコロコミックは、結構高価だったので、私ときよみちゃんは、かわりばんこに買って、ふたりで回し読みをしていた。

台所からは、六畳ほどの居間が見え、きよみちゃんのお母さんが、緑色の座椅子に座ってテレビを観ている後ろ姿が見えます。

本当に、何もかもが、私がこの夢を見るまで忘れていたことまでが、はっきりと、目の前にありました。

きよみちゃんが、ケーキの絵を画用紙に描いて、色を塗り、私はその横で、ハサミを持って、きよみちゃんが描くケーキを見つめています。

私は、夢の中で、「これは夢だ」と自覚していました。

きよみちゃんが、ふと手をやすめて、私を見ます。

そのとき、私は彼女に言いました。

「きよみちゃん。今日の私も、三十二歳!」

きよみちゃんは、びっくりした顔をしたと思うと、私を見つめて言いました。

「忘れなかったんだ。のぶ代ちゃん……」

きよみちゃんは、半分泣き笑いような表情です。

私も、泣きそうになるのをこらえながら、言いました。

「ドラえもんの未来じゃなかったねー!」

そして、ふたりで泣きながらも、大笑いしました。

そして……私は目が覚めました。

三十二歳の私の体で。

私は、泣いていました。

ただの夢だったと思う。

でも、私は時空を超えて、あのときのきよみちゃんに、会いに行ったのだと思いたい。

きよみちゃんが、そうしてくれたように。

こうやって文章にすると、作り話くさくなるね。

ちなみにこの話、誰にも話したこと無いよ。するつもりも無い。

不思議なのは、三十二歳になるまで彼女のことを、すっかり忘れていたということ。

だって、一緒だった期間は多分、二、三年だけだし。

私の見た夢は、多分きっと、私の気持ちが見させたものだと思う。

だけど、あの日のきよみちゃんは、本当に二千二年の私って言ったよ。

この他にも、彼女にまつわる(当時)不思議な話はあるんだよ。

きよみちゃんは、予知能力というか、カンがすごい当たる子だった。

今思えば、ドラえもん飼っていたんじゃないかと思う程。

コロコロコミックかなんか、忘れたけど、付録で付いてきた”かるた”(一枚のシートになってて、切り取り線にそって切り抜くようなやつね)、全部ふせて床に置いたの、

「これはのび太。これはジャイ子」とか、ほんと百発百中だったよ。

トリックがあったとは、今でも思えない。

「透けて見えるんだよ。よく見てると」って言ってた。

私、今カリフォルニアに住んでるから、まじで連絡取って一緒にラスベガスに行きたいよ。(汚いい心になったもんだ私も。大人になるってこういうこと)

私引っ越したの五年生の時だから、その小学校の卒業アルバム持ってないのよ。

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もうひとつ、色々ツッこまれるの覚悟で、きよみちゃんが私のために雨を降らしてくれた話(今でも私はそう信じてる)

その日、”遠足のお知らせ”が配られた。

徒歩で二時間ほどかけて、ピクニックエリアのある大きい公園に行く、というもの。

遠足といったら、子供なら普通大喜びというところだけど、私は憂鬱だった。

なぜなら、前回の遠足が、つらい思い出になってしまったから。

他の子たちはみんな、当時流行りだった、ピンクや赤のサンリオ関係のお弁当箱に、タコのウィンナーやらハンバーグやらが入っていたりして、とてもかわいらしかった。

でも母子家庭の私の家は、そんな余裕もなく、男物(死んだ父の物)の、真四角で、銀色の、しぶ~ーいお弁当箱しかなかった。

もちろん、おかずなんて質素なもので、母の気持ちも考えず、

「こんなのイヤだ!赤いキティちゃんのお弁当箱買ってよ!おかずもウィンナー入れて!」

とだだをこねたりした。

母が申し訳なさそうに、何度も「ごめんね、のぶ代」と言っていた(ひどいよねー私も)。

そして遠足のお昼の時間、グループに別れてお弁当を食べることになり、(きよみちゃんは、別の班になってしまった)

私は、一生懸命お弁当を包んであるフロシキで、お弁当箱を隠しながら食べていた。

このふろしきがまた、やっぱり親父仕様だったんだけど。

でも、そのグループの中に、お約束のように意地悪なリーダー各の女の子がいて、目ざとく私のお弁当箱に注目。

リーダーは、にやにやしながら、隣りの女の子に、私のお弁当を指さしつつ、ひそひそと耳打ちした。

そしてまた、耳打ちされた子がそのまた隣りの子に、と伝言ゲーム。

全員(六人ぐらい)にまわったところで、大爆笑。

私は、本当に消えて無くなってしまいたかった。

前ふり長くなったけど、とにかくそういう理由で、私にとって、遠足イコール地獄、だった。

きよみちゃんも、あの時、遠巻きに見ていたらしく、遠足のプリントをもらった時、そんな私の気持ちを読んでか、

「のぶ代ちゃん。私遠足行きたくないな。学校の方が面白いし。のぶ代ちゃんも?」と言ってきた。

私は、即座に、「私も行きたくないんだ。あの子が意地悪するから……」と言った。

きよみちゃんは、「じゃあぁ、雨が降るように、お祈りしてあげるから!」と、言った。

そして、遠足の前の晩、母親が茶箪笥から例の銀色弁当箱を、出すのを横目で見つつ、オーマイガッとなりながら、布団に入った私。

次の朝……大雨。

そりゃもー本当に、ドシャ降りで、近所のドブ川は、あふれまくってた程。

嬉々として学校に行く私。もちろん遠足は中止。

「きよみちゃん!ほんとに雨降ったね!」

と、彼女を見つけるなり私は言った。

きよみちゃんは、にこにこと笑っているだけだった。

(了)

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