【厳選】 怪談・都市伝説・怖い話まとめ

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奇妙なアパート【定番名作怖い話】

   

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二十歳の時、私は夜の仕事をしていて同じ店の一つ年上の女の子と一緒に、あるアパートの一室を借りて一緒に暮らすことになりました。

840 名前:変なアパート 投稿日:2003/02/24 15:16

そこは繁華街からも近くて家賃も月五万とお手ごろ価格。

鉄筋三階建ての二階の部屋で、間取りは洋室六畳と和室六畳で、間に四畳半のキッチンとユニットバス。

引越した初日、夜中一時半ごろ仕事が終わったのですが、私は実家の母が風邪で寝込んでいたもので、その日は実家へ帰る事に。

で、同居人だけをアパートに帰らせました(実家はわりと近かった)

次の日昼過ぎにアパートへ戻ったのですが、何だか同居人の様子が変です。

彼女は自室(洋室の方)のベッドから出ようとしないのです。

理由を聞いたところ、昨夜アパートへ帰ってから朝までずっと私の部屋(和室の方)から『カリカリコリコリ』と妙な音がしていたとかなんとか……

あまりにも彼女が怯えていたので、私は和室をすみずみまで調べました。

で、「ねずみだよ」って適当に答えを出して彼女を安心させました。

でも彼女はその日から熱を出して寝たきり状態に……

まあ私一人の給料でも生活できるから、ゆっくり休めって事で、私は彼女をアパートに置いて夜の仕事に出かけました。

その日は二時ごろアパートへ帰ったのですが、またまた彼女の様子が変です。

昨夜と同様、私の部屋から音がするって怯えまくっていました。

確かにカリコリ音がしてましたが、酔っ払ってましたし平気で寝ました。

そんな感じで八日目の朝、なんだか外が騒がしいなぁと、寝ぼけていると激しく家の呼び鈴が鳴りました。

「朝っぱらから!」と内心怒りつつのぞき穴を覗いてみるとそこには警察手帳が……

なんでも我々の部屋の真上の住人が死んでいたとか。

死後どれぐらい経っているかは検死の結果が出ないとわかんないんだけど、見た感じ十日やそこらじゃないって。

大家さんも二ヶ月分家賃溜まってるって言ってたし。嫌な感じです。

それを知った同居人は有無を言わさず出て行ってしまいました。

体調を崩してたしお店にもそれっきり来なくなりました。

私も母が心配してるし実家に帰ろうかなと思いましたが、一人暮らしもいいかもと思い、引越しは取りやめました。

それから数ヶ月何事もなく過ごしているうちに、彼氏ができたので早速我が家へ招待してあげました。

半同棲みたいな感じで、彼は結構泊まりにきていたのですが、ある日、私が帰宅すると真面目な顔して「引っ越したら?」って言うんですよ。

「和室の方から変な音がするんだよね」

またか!と思って「ああ、ねずみいるみたい」って言ったら

「ちがう!歯ぎしりっぽい音だって!」

内心その音より彼の言ってる事の方が怖かったです。

それから彼はあまりうちに来なくなり、私はまた一人の生活に戻りました。

その「歯ぎしりっぽい音」とやらも毎日聞こえてくる訳じゃなかったし。

ある日いつもの様に夜中帰宅した私は洋室の方でゴロゴロ漫画を読んでいました。

するとお隣さんがやかましい。

でも確か隣は空室のはず!

外のベランダから身を乗り出してお隣を覗いてみたのですが、窓にはカーテンも掛かってなかったし、やはり誰かが、引っ越してきたわけではない様です。

ですがたしかに声がするのです。しかも女性のあえぎ声の様な。

『はは~ん。どこかの悪がき共が忍び込んで悪さしてるんだな?』

と予想をつけて、少し脅かしてやろうと思いました。(酔った勢いです)

ベランダに落ちていたプラスチックの破片の様な物を隣の部屋の窓に投げつけて(軽くですよ?)私は身を隠しました。

コツンって音がして女性の声がピタッと止まったかと思うと隣の窓付近から

「ググゥ~……ググググ……」

ってなんか変な聞いた事もない様な音がするんですよ。

音っていうより声?

さすがの鈍い私もベランダでしゃがんだまま動けなくなりました。

冷や汗ダラダラ心臓バクバクです。

隣の室内から聞こえていた音(声)が窓を開けた様子もないのになんだか隣のベランダに出てきた気配がしました。

私は息をころしてじっとしてました。

ベランダへの出入り口の窓は下半分は曇硝子で、上半分は普通の透明硝子なんですよ。

ふと私は自室の透明硝子を見ました。

すると、結構高い位置に何か黒いバサッとした物が写っています。

『髪?』『女の後ろ頭?』『でも身体が無いよ!』

恐怖のあまり想像力が豊かになっていたのか、不気味な事ばかり頭の中をかけめぐりました。(0.何秒)

窓硝子に写ったそれは、じっと動かなかったのですが、いきなりガクッと斜めに傾いたのです。(まるで首をかしげたかの様に。)

その瞬間私は大声を出して(近所迷惑)自室に転がり込み厳重に鍵を閉めカーテンを閉め、寝室のベッドに潜り込んで、寝たふりをしました。

その日は眠れるわけがありません。

頭まですっぽり布団をかぶり、耳をふさいで朝まで過ごしました。

 

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翌日、日も高くなってくると昨夜の恐怖も『勘違いだったのでは?』と思えてきて大家さんに電話しました。

「隣の空室に誰か忍び込んで悪戯してたかもしれません」と。

早々に大家さんが来て、お隣を調べていました。

ですが鍵もしっかり掛かっていて、窓を割られた様子もないし

「気のせいですよ!」の一言で終わらされそうになったので、無理矢理お隣の室内を見せてもらう事にしました。(大家かなり嫌がってたよ)

入った瞬間ゾッとしました。

うちの洋室と隣接する部屋の壁に無数の虫の死骸が、くもの糸のような物にからまって垂れ下がっているのです。

なんですか?あれは、ゴキブリの小さいのみたいな……

大家さんは「ちゃんと掃除したのになぁ」としょんぼり言ってました。

昨夜の出来事を言おうかと思いましたが、信じてもらえないだろうし、(死体が出たアパートで)幽霊らしきものを見たなんて言ったら大家さん気を悪くするのでは?と、昨夜の事は封印しました。

それからまた二~三ヶ月

何事もなく過ごしていたのですが、ある日仕事から帰ってくると、玄関先が大洪水!

玄関の天井の照明あたりからキッチンの天井真ん中まで、どす黒い亀裂がはしってるんですよ!

そこから水がザーザー降ってきてるのです。

配管に穴でもあいて水漏れしてるのか?

『はは~ん、欠陥住宅でしたか!』

酔っ払ってる私は上から降ってくる水をよけてびしょびしょの床を豪快に歩きトイレに入りました。

そこで自分の目を疑いました。

トイレの便器のフタが割れてるんですよ!

真ん中から亀裂が入り、真っ二つでした。

さすがの楽天家の私も「侵入者!?」とビビって寝室においてある鉄パイプを持って、押入れの中まで調べました。

ですがもちろん誰もいません。

翌日大家さんに電話して事情を説明したら早速配管工事の方をよこしてくれました。

調べた結果、どこも破損はしてないとの事。

もし破損していたとしても、このアパートの構造上、真上の住人が、水を使わない限りうちの部屋で水漏れするはずがないとか……

真上っていったら前の住人が死体で見つかってからずっと入居者がいなかったんですけどね。

工事の人も口数少なく、さっさと退散していきました。

天井の亀裂と便器のフタは、大家さんのご好意で無料で修理してもらいました。

何故か濡れてしまった靴や服の弁償代として、大家さんは一ヶ月分の家賃をまけてくださいました。

私は馬鹿ですので、その後もそのアパートを離れず生活していました。

根が馬鹿で楽天的なんですよ。

そこに住みだして四年、細かい怪異は色々ありましたが、私が引越しを決断した理由をお話いたします。

その日は高校の同級が三人遊びにきていました。

内二人は高校卒業後東京に行ってしまっていたので(地元は四国です)なかなか会う機会も少なく、久しぶり~って感じで、みんなで私の部屋に泊まる事になりました。

ですが私は夜仕事です。

三人の友人達を私の部屋に置いて仕事に行ったのですが、午後十時過ぎごろ店にその友人達から電話がありまして「今夜はもう帰る!」って。

なんでも三人は洋室の方のコタツで温もりながら談話していたらしいのですが、和室(寝室)から嫌な音がすると。

またか!!と思って「ねずみだよ」って言ったんだけど、「そんなんじゃなくて、爪で引っかく音みたいな!」

とのこと。

しかも音の発現地を三人で調べようと寝室に向かったところ今度は洋室の方で怪現象が起こったみたい。

いきなり壁を「ドーンッ!!」って叩く音がしたんだと。

もうそれだけで三人は耐えれなくなっちゃったみたいで、有無を言わさず帰ってしまいました。

スペアキーをポストにいれて。(無用心)

私もそんな話を聞いた後じゃ、さすがにアパートに帰る気になれなくて、その日は実家に帰りました。

次の日の昼間、アパートに戻り昨夜友人達が散らかした部屋を片付けて夜の準備をしようとしていたところ体調の変化に気付きました。

熱が三十八度ほどあったのです。

でも土曜日だったので店を休むわけもいかず(当時チーママ)なんとか仕事をこなしました。

仕事が終わってアパートに帰ったのですが、熱が高く身体が、痛くて仕方ないので、実家に帰りゃあいいのに母に電話して来てもらいました。(AM2:00)

不思議な事ですが傍に母がいると熱があり苦しくても安心しますよね。(私だけ?)

母が見守る中ウトウトしていた頃、突然外で「きゃーーーーっ!!」って女性の絶叫が!

そしてその後階段を「ダダダダダーーッ!」って駆け下りる音がしたんです。

何事かと思い、私は外の様子を見ようとベッドを飛び出して玄関に向かおうとしたのですが、母が

「行っちゃだめ!!ここに居なさい!」

って腕をつかんで離さないんです。

暴漢とか、私は頭の中で考えていたのですが、母としては、尋常ではない事態に娘が巻き込まれてはいけないとでも思ったのでしょうか。

ずっと私が落ち着くまで、私の腕をはなしてくれませんでした。

その時私は母の事を薄情な人だって思ったのですが、それは間違いでした。

母の証言によると、私が叫び声を聞きベッドから飛び出したあの時母には何も聞こえなかったそうです。

いきなり私が飛び起きて、ベッドの下に忍ばせてる護身用鉄パイプを鷲づかみにして部屋を出ようとしたそうです。だから母は私を止めたのです。

次の日上の階にいってみました。

私の部屋の真上は相変わらず空き部屋です。

その周囲の部屋の方に

「昨夜は何かありましたか?夜中にすごい音がしたのですが」

と聞いてみたのですが、とても怪訝な顔を返されました。

何だったんだろう?と思いつつ私は引越しを決めました。

引越しの旨を大家さんに報告したところこんな言葉が……

「こんなに長く、四年間も住んだのはあなただけですよ」

とっても出入りが激しいアパートだったみたいです。

あとこんな事も……

「真上の部屋は死人が出た後改装もしたんだけど、なんだか次に事情も知らずに借りる人に悪くて封鎖状態だったんだ。
もう四年もたったんだからそろそろ借り手を探してもいいんだけどね……
でも先日和室の畳の状態を調べるのに業者さんを呼んだんだけど、畳の裏側に引っかき傷がめちゃくちゃについてて……
誰も住んでないのにね。やっぱりあの部屋は誰にも貸さない方がいいよね?」

と、大家さん(三十代:男性)かなり気弱に語ってました。

ここまでしぶとく居住していた私に心を開いてくれたのでしょうか?

ついでに私の借りていた部屋のお隣さんの事も教えてくれました。

三十代のヤクザの男と二十代の女が住んでいて、

男は逃げて女はしばらく一人で暮らしていたけどある日家財道具全部置いて失踪したとか……(その後何人かは借り手あったみたいだけど)

因みに私が借りてた部屋の前の住人は、同じく夜の仕事してる人で、リストカットしまくってバスタブ汚して失踪したらしい。

ちゃんとした形で出て行く人があまりいないようで、私は大家さんに気に入られちゃったみたいで、

「借りたければいつでも言ってね」って言ってたので、そのご好意に甘えて敷金と保証人と駐車場代を免除状態で、

今は私の姉(やはりお水)がそのアパートに住んでます。

しかも私が住んでた部屋のお隣さん。(ヤクザ&女失踪。虫の死骸の部屋)

今のところ何もないようですよ。

(了)

 

怪談社 乙の章 (恐怖文庫) 伊計翼

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