【厳選】 怪談・都市伝説・怖い話まとめ

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【沙耶ちゃんシリーズ】10 欠損

      2015/11/30

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>>09『妄想』の続編。

こうやって書いてみると、あの頃は意外なほどの密度で毎日が過ぎていたんだな。
話も長丁場になるので、スルーなりなんなりでやり過ごしてもらえたらありがたいです。

鬱な気分も少しでも眠れば回復できるようで、
1時間後に目を覚ましたときには、巡査や坊主のことは、寝ぼけてたんだなと思うことができた。
店に戻り、サボったことを梶に詫びると、あいつはニヤニヤしながら耳打ちしてきた。

「衰弱するほどヤリまくっちゃダメっすよwww」
アホ(汗)。まだそこまで行ってないつーの。

客もいなかったので、そのまま色話にもつれ込んだ。
梶の『年上の彼女』との秘戯wを聞き、俺の学生時代の初体験を脚色を交えて話す。

好みの顔やら嗜好の話やらするうちに、つい元職場での恥部をばらしちまった。
「俺さ、出版社に正社員でいるころ、主婦に手ぇ出したことがある」

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彼女の名前は由香さんと言った。もちろん仮名。
俺がH先輩の下で働き出して3年ぐらい経ったときに、パート採用されてきた新婚の奥さんだ。
由香さんは妙に気の効く人で、俺が先輩に無茶を強いられて凹んでいたときに、こっそりと慰めてくれたりした。
俺は先輩に不信感を持つ一方で、由香さんを信頼するようになっていた。

ある年、忘年会で酔いつぶれた彼女を、一足先に送り届けろという命令をされた俺は、由香さんを自分の車に乗せた。
少し走らせると、由香さんが「気分が悪いから停めて」と言う。
すぐ先にあった寺社の駐車場に入って、「んん……」となまめかしい呻き声を上げる由香さんの背中をさすった。
「東堂くんはなんだかんだ言って、Hさんと仲がいいのね」
喘ぎながらそんなことを言う由香さんに、俺は思いっきり首を振る。
「んなわけないですよ」
由香さんはかすかに笑って、いきなり体をねじり、俺のほうを向いた。
えっとね……俺は由香さんの背中に、手を置いていたわけなんだよ。
それがくるっと半回転してきたもんだから、つまり……胸のふくらみを握るような形になっちゃったのね。
彼女は体をのけぞらせて、すばやく反応した。

「それでそれで?」
梶が目を輝かせて聞いてくるww
「色としてはそれで終わり。でも、そのあとの由香さんの台詞がちょっと怖かった」
思い出して苦笑しながら、俺は続けた。

お互い満足感に包まれながら服を着て、座席に寝転がった。
俺は軽い眠気を感じていたが、由香さんはそうでもなかったようだ。ずっと喋り続けていた。
「もし妊娠したら、夫とは別れないといけないよね。東堂くん、結婚してくれる?」
「あー……いいですよ。俺、由香さん好きですしね(笑)」
「ほんとに?でも私、東堂くんより年上だよ」
「無問題。歳とか関係ねーし」
俺にとっては、由香さんであることが重要だったわけで、その他の条件なんかどうでもよかったわけだ。
結婚してることさえもね。
「ありがとう。東堂くんは、私をとても好きでいてくれるのね」
由香さんは目を潤ませながら抱きついてきた。
「……じゃあ、約束して」と付け加える。
眠りかけている俺は、深く考えずに頷いた。
「もしね、私が離婚しなくて、夫とずっと暮らすとしたら、東堂くんは新しい恋人を作るよね?それはいいの。
でも、その子には絶対に避妊はしないで。私以上に大事にしたりしないで」

「怖い女っすね」
梶が肩をすくめた。
「うん。実際にすごく毒のある人だった」と俺。

その後、由香さんは、これ見よがしに社内で俺に接触してきた。
体をすり合わせたり、たわいのない話を耳元で囁いたり。

噂が広がり、俺の立場が悪くなりかけた頃、H先輩がとどめをさしてきた。
「若年性ババアの抱き心地はどうだった?wwww」
ふだんからの恨みが積もってたからね。思いっきりキレましたよ、俺。
H先輩を怒鳴りつけて、出社拒否に発展した。

その後、由香さんから電話が来た。
『やっとあいつに反抗したね。私、あいつ大っ嫌いなの。あーすっきりした』
H先輩に対する私怨的な内容だった。
彼女の目的はどこにあったんだろう。俺には今でもわからないや。

そんな思い出話でも、夕べの幻覚よりはだいぶ健全だったんで、退社する頃には気分はすっかり治っていた。
わざわざグランドまで行って、「変なモノ渡しに来るな、くそ坊主」と悪態をついてきたほどだったよww

自宅のアパートに帰って風呂を済ませると、疲労が頭のてっぺんまで回ってきた。
今日は出版社も沙耶ちゃんの学校も休みだ。夜のバイトまで寝てしまおう。
飯を食わずにベッドに倒れこむと、すぐに前後不覚になる。

何時間経った頃だろう。台所から包丁でまな板を叩く音がした。何かをリズミカルに刻む音。
沙耶ちゃんが来て料理をしているのかと思った。
ごくごくたまにだが、突然訪ねてきてそういうことをしてくれるときがある。
もっとも、沙耶ちゃんは俺よりも手つきが悪いww
薄く目を開けると、台所との境のすりガラスには、たしかに女の立ち姿が映っていた。
「沙耶ちゃん?」
声をかける……が、返事がない。
それに……それに、映っている姿は、明らかに沙耶ちゃんとは違っていた。もっと背が高くて髪が短い。
警戒しながら半身を起こすと、向こうも気づいたようだった。すりガラスの戸を開け、顔を覗かせる。
……由香さん……だな。かなり老けてはいるが。なんでこの人がいるんだ?
「ねえ、約束覚えてる?」
締まりのない顔の由香さんが、へらへらと笑いながら聞く。
「私、ずっと監視してるからね」
また俺は幻覚を見てるのか?
由香さんは戸の陰から、俺のいる寝室(兼居間)に入ってきた。
俺は声帯まで金縛りにあっていて、声も出せなかった。
彼女は俺のそばに立つと、服を脱ぎ始めた。色白だが、たるんだ肉に魅力は感じなかった。
「もし約束を破ったら」
由香さんは右手の包丁を頭上にかざした。
「これであなたたちの首を刎ねるから」
そして、真似事で俺の首に刃を当てる。

この人はいつもそうだ。思わせぶりな言葉と脅迫を織り交ぜて、俺を支配しようとする。
瞬間に怒りが沸点に達した。恐怖心を凌駕したおかげか、体が動く。
由香さんの手から包丁をひったくろうとして引っ張ると、また腕ごとちぎれた。
やっぱり由香さん本人じゃないみたいだ。幻覚なら遠慮は要らない。
俺は包丁を、側面から彼女の首に突き立てた。
スパッと切れるかと思ったが骨に当たって、首は半分つながったまま血を噴き出す。
由香さんは悲鳴とも嬌声ともつかない甲高い声を上げ、残っている左手で傷口を押さえた。
手が邪魔だな。そうとしか思わなかった。
背中から突き飛ばして床に押さえ込むと、左腕を引っ張りながら肩に凶刃を叩き込む。
首とは違って簡単にバラせた。
じたばたと断末魔の動きを見せる脚を、右から順番に切り取る。
仰向けにし、腹を上下に分かれるまで刺した。
そして最後に、血泡を吹いている顔を堪能しながら、首を骨ごと素手で折れ取った。
もうこれで俺には近づかないだろ?いくら霊だって、またこんな目に遭いに来たりはしないだろ?
ある種の満足感を感じて、俺は再度ベッドに向かった。気分は悪くない。むしろ最高だ。
実際の人間じゃなかったのが残念なぐらいだ。

転がると、すぐ隣にある窓の外から坊主の顔が覗いていた。
乾いた泥のこびりついた口から、ごぼごぼという水音を発している。
死人なんていうのは、ちゃんと喋ることもできないのか。惨めなもんだ。
「何が言いたい?」と聞いてやると、泥の固まりを吐き出したあと、坊主は言った。
「どこの部分にする?」
よく意味はわからなかった。だから適当に答えた。
「胸」
「次は右腕と上半身以外だよ」
そんな意味のことを言って、坊主は消えた。
……まだあるのかよ……

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 - 沙耶ちゃんシリーズ

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