【厳選】 怪談・都市伝説・怖い話まとめ

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変わり果てた妹

      2017/07/31

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高校生の頃、いつも喧嘩してた妹がいた。

喧嘩といって他愛もない口げんかで、ある程度言い合ったらどちらかが自然と引くというような、軽い喧嘩だった。

高校三年の春だった。

成績が凄く落ちてて、志望校に合格するのが危うかった。

そのせいで親の風当たりがきつく、テストが悪い時なんか、一人だけご飯のおかずが煮干しだけ……なんてこともあった。

追い込まれていたからか、妹のいつもの態度がやけにイライラしてくる。

何を言われたかは覚えてないが、カッとなって妹にテレビのリモコンを投げた。

リモコンは丁度妹の後頭部を直撃。妹は頭を抑えて倒れた。

俺はあせった。死んだのか?とりあえず近づいて確認。

脈をはかると死んではいないよう。

でも気絶してるから病院にいったほうがいい。

そう思ったのだが、俺に辛くあたる母にこの事がバレたらどうなるかわからない。

俺は気絶したままの妹をそのままソファーに寝かせ、二階に上がった。

次の日、妹に何て謝ろうかと思って二階から降りていくと、妹は普段どおり朝飯を食べていた。どうやら怒ってはいないようだ。

昨日の事を申し訳なく思っていたのか、久しぶりにこちらから声をかけた。

すると全く反応しない。やはり怒ってるのだろうか?

そう思ったんだが、今考えると、怒っていただけの方がよかったんだ。

妹は、その日から性格が変わってしまった。

学校から帰ってくると、いつも友達と遊びに行ってたのに、学校にいく以外部屋から全く出なくなった。そして、家族内で会話をしないようになった。

親父が「わざと無視でもしてるのか」と問い詰めた時があった。それでも妹は、全く無表情で通した。

妹が喋らなくなって一ヶ月。親父とオフクロが俺を呼んだ。

「お前何かしたのか?」

そう聞かれた。

「何を?」と聞き返すと、なにかいいにくそうなのだ。

親父はこう考えた。

妹は何か凄く落ち込む事があった。でもそれは人に話せるような事じゃない、だから喋らない、と……

つまり、俺が性的虐待をしたと思ったのだ。

なんとか疑いを晴らすことはできた。だけど、妹をああいう状態にしたのは俺なのだ。

やり方は違えど原因は俺なのだ。なんとか妹に、元に戻ってもらおうと思った。

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次の日、学校から帰ってきた俺は、妹の部屋にいった。

妹はまだ家に帰ってきてない。

帰ってきた後だと部屋に鍵をかけて出てこないので、今しか部屋に入る機会がないのだ。

妹の部屋は、喋らなくなる前と変わりがなかった。

もし壁じゅう黒塗りなんて事になってたら、俺は泣こうと思っていた。

本当に最悪なんだが、俺は妹の胸中を知るため、妹の日記帳を探した。

妹が幼い頃から日記をつけていたのを俺は知っていた。

机の上にある簡易本棚の中から日記帳を取り出し、中身を見た。

日記帳をパラパラめくると、とくに異常はない。

だが、ページ数が半分くらいになった時、妙なページが見えた。

俺はそこをよく見た。

そのページから先のページは、妹の字ではない、とても大きくて、歪んだ字の羅列だった。

よく見ると、その字はちゃんとしたひらがなだったが、文章が意味不明だった。

例えば……

『だいこんはかえるにくつしたさえしいたけ』

こんな感じの文が数十ページ続いていた。

俺は妹の脳を損傷させたんだと思った。凄く後悔した。

妹に悪いことをしたという気持ちも大きかったが、俺は刑務所に入れられるんだなと思ったからだ。

半泣きで頭をかきむしっていると、後ろに誰かいる事に気づく。

振り返ると、そこには妹が立っていた。

妹は、全くの無表情だった。

夕方で電気をつけてなかったから、無表情の妹の顔が真っ黒だった。

妹は何もいわずに、ゆっくり部屋に入ってきた。

俺は後ろにさがった。

妹はカバンを机の横にかけると、俺が部屋に入っていることが不快なのか、俺の方向を見たまま静止した。

あせりつつもなんとか頭を整理した俺は、妹に土下座で謝ろうと思った。

なにも返事はしてくれないだろう。でも、土下座をしなければ俺の罪悪感が納まらなかった。

土下座をしようと、中腰になろうとした。

その時、妹が物凄い速さで俺の腕にしがみついた。

一瞬何をしたのかわからなかった。

その勢いで妹は、そのまま部屋から出て行った。

俺は唖然としつつ、右手に持っていた妹の日記が奪われた事に気づいた。

妹はその日の夜、姿をくらました。現在も妹はうちに戻らない。

妹が今も生きてるなら24歳。まだ帰ってきてない。

全く勉強に身が入らなくなり、受験、就職と失敗しまくり、今の俺は本当に底辺だ。

親も妹に期待してたから、いなくなって人が変わってしまった……

(了)

 

恐怖箱叫怪 [ 神沼三平太 ]

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