【厳選】 怪談・都市伝説・怖い話まとめ

ネットで見つけた、都市伝説・怪談・ほんとにあった怖い話・世にも奇妙な物語・心霊系・不思議系・電波系・オカルト系のお話シリーズです♪

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人格変容

      2016/05/23

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オレの職場に、突然人格が変わってしまったヤツがいる。

2005/02/27 01:15:58 ID:Sx8Zgwu60

うちの会社は年次有給休暇の他に、一週間の特別休暇があるんだ。

ただし、一週間連続で休まないといけない。

まあ、役職がついちゃうと周りの目を気にして、誰もとらなくなるんだけど。

そいつは、その特別休暇に有休をつないで二週間の海外放浪に出る、と言ってた。

五年まえにツアーではなく単独でイタリアを一週間旅してから、旅にハマったそうなんだ。

帰りの飛行機に乗ると、その中でもう次にどこ行こうか考えてるほどに。

今回もまたヨーロッパのほうを巡ると言ってたんだが、二週間過ぎても会社に連絡なく欠勤してた。

その出勤予定日の午後になって心配になった係長が、一人暮らしの自宅に電話しても誰もでない。次の日も同じ。

「まだ帰国してないのか、何かあったのか」とみんな考えていたんだが、係長が彼の実家に電話すると、お母さんが出て、おとといに帰国の連絡を受けたという。

電話は国内、彼の自室からだ。

な~んだ、ってなったんだけど、本人から連絡はいまだないし、このままだと上が何か言ってくる……というか、業務も彼の代わりをしてる人間ががそろそろ不満を爆発させそうだ。

翌日も出勤してこなくて、係長の顔色は変わってた。

ところがその日の夕方、もう暗くなった頃、ふらりと出社してきた。手ぶらで。(いや、おみやげを期待してたわけじゃないが)

「いやー、体調を崩してまして」なんて言ってる。

いつもこういう場合なら、こっちが気の毒に思うほどペコペコする人間なんだが、妙に落ち着いてた。

なんかオーラが違う。一回り大きくなったような感じ。

係長もオレらも文句をどう言おうか、さんざ頭の中で算段していたはずなんだが、それが出てこない。

彼の雰囲気が違ってたのもあるけど、第一にその顔色が悪すぎたんだ。

真っ白なの。紙みたいに。もう、大丈夫か早く帰れよ、と速攻言いたくなるくらいに。

「で、誠に急で申し訳ありませんが、本日を持ちまして退職いたします。すいません」

そう言うと、懐から『辞表』と書いた封筒を出した。

オレは生まれて初めて、本当に『辞表』と書かれた封筒を見た。

それで「ドラマみたいだなあ」と思った。

係長は大慌てで「いや、いや、もっと話し合おう」とか言ったんだが、彼はそのままくるりと小気味いいステップで軍人のような回れ右をすると、出て行こうとした。

その際、オレの横を通り過ぎるので、肩を押さえて「おいおい、大丈夫かよ」とか言った。

彼は「大丈夫、大丈夫、生きてて一番大丈夫」とか冗談ぶって言った。

彼は三歳年下で、会社でもオレより後輩だったので敬語で話していた。

息が魚市場みたいな臭いだった。

生臭かった。

オレがたじろぐと、彼の喉がシュッシュッと紙がすれるような音を出した。

笑っていた。

彼のそんな笑いは見た事なかった。

そして大股で出て行った。

それっきり会社には来なくなった。

 

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三日後、驚いたことに彼の私物を業者が引き取りに来た。

なんでも屋みたいな業者で、彼の印鑑が押された依頼書を提示して、彼のロッカーとデスク周りを整理していった。

何の連絡もないまま業者は訪れたので、職場の誰もが鼻白んでいた。

ツナギを着た二人組みだったが、二人とも顔色が真っ白だったのを見て、オレは何だかゾッとした。

オレはそれ以来、彼と関わる事はなかったんだが、彼と同期で入社し、仲がよかった二人の男が、休みの日の昼間に彼の部屋へ行ったそうだ。

それによると、電話で「別に来てもいいよ」と言われたのに、行って見るとドアに鍵が掛かっており、いくら呼んでも誰も出て来なかったそうだ。

彼の部屋は一階で、そのアパートの敷地に面した掃出し窓を開ければ、そのまま外に出られる作りなんだけど、その窓にはシャッターが降りていた。

携帯から彼の家電に連絡すると、部屋の中で着信音が響いているのが何となく聞こえた。

しかし、誰も出ず留守電になったので、「おーい」「起きてるかあ」と大きい声で言ってみても無反応だった。

それで二人は近所でお茶して、夜にまた行ってみると、窓に灯りがあった。

でもドア・チャイムを鳴らしても、電話をかけても相変わらず無反応。

しかし、明らかに部屋の中は人の気配がしていて、これが怖いことに複数の人がいる感じだったそうだ。

二人は怖いのもあってそのまま帰ってしまったんだが、深夜にそのうち一人の携帯に彼からメールがあった。

『また海外に行きます。帰ったら会おう』

それ以来、誰も彼と連絡をとっていない。

オレは係長に「彼の実家にもう一度電話して、様子さぐってみましょうよ」と飲みにいくたび言ってみる。

係長は全くその案には乗り気ではない。

(了)

 

呪胎怪談 [ 吉澤有貴 ]

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