【厳選】 怪談・都市伝説・怖い話まとめ

ネットで見つけた、都市伝説・怪談・ほんとにあった怖い話・世にも奇妙な物語・心霊系・不思議系・電波系・オカルト系のお話シリーズです♪

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先輩のカメラマン【稲川淳二】

      2018/09/26

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この話、不思議な話なんですがね。

私がJRの恵比寿駅の前を通りかかったんですよ。

滅多にそういうことはないんですけど、わたし、生まれが恵比寿なんです。

それで親類もあるんですが、まず駅前を通ることはないんですよね。

でも、たまたまその時は通りかかったんですよ。

と、雑踏の中に見かけた姿があった。

その人、ウロウロしているんですよね。

その人、わたしの先輩だったんですよ。

声をかけると、

「おーい稲川~。よかったよー助かったよ」

って言うもんだから、話を聞いたら

「俺長いこと海外に行ってたもんだから、切符の買い方がわからないんだよ」

って言うんですよね。

「あー、先輩ベトナム行ってたんですか」

先輩はカメラマンなんですよね。

長いこと日本にいないもんだから、あまりに日本が変わっちゃったもんで、切符が買えないって言うんですよ。

買ってあげようかなって思ったら、私も買えないんですよ。

笑いましてねー。

でも結果的に切符は買えたんで、それ渡したんです。

「おーありがとう。またそのうち!」って別れたんですよね。

それでそのこと忘れてましたらね、あるときに友人が来て、「お前先輩知ってる?会ったんだってな」

「あー会ったよ、恵比寿で」

「あの先輩、行方わかんないらしいよ」

「え?」

「俺の話聞いてくれる?」って彼は言うんですよ。

行方がわからなくなったのはそれからだって言うんですよ。

どういうことかというと、この先輩は非常にカメラが好きで写真家になった人なんですが、高校生の頃にしょっちゅうカメラを持って駆けずり回っていたんです。

それで何かでもって一般公募で自分が撮った写真を応募したんです。そしたら入選したんですよ。

それが嬉しくて、カメラをもっちゃ出かけてた。

それで学生時分に、例によってカメラを持って街をテーマを探して歩いているときに、突然すごく大きな音がした。

「なんだ?」って思ったら、おーい事故だー!ってみんなが騒いでいる。

すぐさま走って行ってみると、もうすでに人が集まっている。

そして駆けずり回っている。

おーい、救急車呼べよー!

こーしろ、あーしろとみんな必死になって騒いでいる。

と、向こうに男の人が倒れている。

もう地べたにスーっと血が流れている。

これだ!って思ったんでカメラを持って寄っていった。

そしてカメラをグッと寄せた。

すると男はまだ息があって多少動いているんですが、血は流れているし、あまりイイ状況ではない。

ぐーっとカメラを近づけると男は苦しそうな様子で、ぐっと振り向いて口を開けた。

多分助けてって言ったと思うんですが、そこを撮った。

周りではみんなが助けようと必死に騒いでいる。

それでも彼はなおもまた、カメラをぐっと近づけた。

と、男はじーっとこちらを眺めた。

レンズの方を眺めたんで、そこをまた撮った。

なおも男の表情を捉えようとカメラをぐっと近づけたら、男はなおもカメラに向かって「助けて」って言ってる。

その瞬間をまた撮った。

そのうち救急車がやってきた。サイレンが鳴っている。

それで人が降りてきて、担架に乗せていった。

その姿も何枚も写真に撮った。

そういう姿をみんな撮った。

それで運ばれた男の人なんですが、どうやら亡くなったらしいんです。

それでその写真を彼があるコンテストに出したら、なんとその作品が入選した。

で、これがきっかけになって報道カメラマンになったわけです。それで自信をつけたんです。

で、そのうちにフリーになって、あちこち回っていたんです。

それでのちにベトナムに行って、日本に帰ってきて、私と恵比寿で会う。

……そんな流れだったんです。

でも、友人の話してくれたのはその後なんだそうです。

彼は日本に帰ってきて、何か良い題材はないかなってことでカメラを下げて街を歩いていたそうです。

長いこと日本を離れて状況をわかっていないものだから、感覚が鈍っていたんでしょうか?

日本の街に対する警戒心が無かったんでしょうね。

当たり前のように景色を見ながら道路を突っ切った。

その瞬間、ちょうど向こうから車が突っ込んできた。

ドンっと車にぶつかり、地べたに倒れた。

何かわからないけど体は痛い。

「うわー駄目だ、おれひかれたんだな……」

と彼は思ったが、言葉がうまく出ない。

助けてって言おうとしているのだが言葉が出ない。

でもやっぱり怪我をして出血をしているようだ。

地べたを伝わって人が慌ただしく走リ回っている音がする。

「おーい大丈夫か!」

「救急車救急車救急車!」

「人がひかれたぞー!おーい!」

色々な人の声が聞こえている。

でも意識は朦朧としている。

今の自分の状況がわからない。

ただ人が騒いでいる。

「あー俺大丈夫かな……」

と朦朧としている意識の中思ったんだけども、はっきりとした景色は見えなくてぼやーっとしている。

そこを

カンカンカンカン

自分のほうに近づいてくる足音がする。

誰かが近づいてくると思っていたら、自分のところで足音が止まった。

で、助けて欲しいもんだから振り向いて「助けて」って言おうとした瞬間に、目の前にぐっとカメラが近づいてきた。撮る音が聞こえる。

もう一度「助けて」って言おうとしたら再び撮る音が聞こえる。

なおも「助けて」と言おうとするんだけども、声がうまく出ない。

必死になって「頼む、助けて」って言おうとした時に、レンズがグーッと近づいてきて、撮った。

彼がその姿を見ていると、レンズが寄ってきた。その向こうに男の顔が見え、ゾッとした。

その時先輩「俺は死ぬ……」と思った。

というのは、そのカメラを持っていた男というのは、忘れもしない、かつて自分があの事故で撮った人間。

その男の顔だった。

なんでそう思ったか分からないが、「アイツだ!」と思ったそうだ。

その後救急車がきて先輩は助かった。

もしかしたらそれは幻想だったかもしれない。

常に頭の隅にあったものがたまたま自分にダブってしまったのかもしれない。

でもなんと先輩が轢かれて倒れた場所は、何年か前に自分があの男を撮った同じ十字路だった。

「それで稲川な、先輩ショックでカメラやめちゃったよ。写真家辞めて、今行方がわからないんだよ」

という話を聞いた。

不思議な因果ですが、そういうこともあるんですね……

(了)

 

恐怖箱怪泊 [ 加藤一 ]

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 - 稲川淳二

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