【厳選】 怪談・都市伝説・怖い話まとめ

ネットで見つけた、都市伝説・怪談・ほんとにあった怖い話・世にも奇妙な物語・心霊系・不思議系・電波系・オカルト系のお話シリーズです♪

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富士の樹海【稲川淳二】

   

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ブウゥゥゥゥ……

これね、自動車やバイクの音なら、近付いてくるか、遠ざかって行くでしょ?

でも、一定のテンションで、同じボルテージで、ブウゥゥゥゥ……という音が、微かに聞こえているんですよ。

その音が、みんな気になっているらしいんですね。

「どうしたの?…あれ?」って聞いたら、音声さんが、「えぇ」って言うから、「ちょっとマイク貸して」って、マイク向けてみたんです。

音声のマイクは、感度いいですからね。

そしたら、ヴウゥゥゥゥ!って、急速に、近付いてくる!

ここは、暗闇の樹海の中ですからね!道なんかないですから!さっきまで、遥か向こうにいたものが、そんなに早く近付いて来れる訳ないんですよ!

でも、確実に近付いてくる!

「おい、近付いてきてるね?」って言ったら、音声さんも、「はい、近付いて来てます!」って、

「これは、エンジン音じゃないね…なんだろう?…人間がお経唱えている声に似てるね」

「はい!、そんな感じですね!」

ヴォウゥゥゥゥ…!

どんどん近付いて来るんです。

そんなスピードで来れるヤツなんかないですよ!ましてや、あの広大な原生林の中、点にもみたない私たちに向かってくる。

明らかに、意思を持って近付いているんだ!さすがに緊張しましたよね、我々をターゲットに来ているんですよ……

ヴウウゥゥゥゥ…!

大分近くに来ましたよね、みんな固まって、声も出ないですよ。

やがて、2、30メートルに近付いたころですかね、私、ポラロイドカメラ持ってましたから、その声のする方向へ、薮の中、かき分けて進んだんですよ、もう、無我夢中でした!

心の中では、怖いから、うわぁぁぁ!って叫びながら、ガサガサと、薮をかき分けて、進んだんです。

やがて、これ以上は前に進めない、笹の群生があったから、私、思いきり腕を挙げて、声のする方向に向かって、シャッターを切ったんです!

バシャ!!

ストロボが光ると、闇が一瞬、真っ白くなりました。

そしたら薮のすぐ向こう、、私のホンの2、3メートル先、その闇の中から、ヴオオォォォォッ!!

って!みんな、「キャァァァッ!」って、散りじりに逃げようとするから、私、怒鳴ったんです、「待てっ!動くんじゃない!逃げるな!!」って。

だって、暗闇の原生林の中ですからね、散りじりに逃げたら、危ないですよ、下は溶岩で、大きな穴が開いてるし、迷ったら大変です。

まぁ、それもあるけど、…ホントは、私一人が置いていかれるのが、怖かったんですよね(笑)

そしたらディレクターが、汗かきながら、「稲川さん、ヤバイですよね?私、ネタだったら絶対追うし、逃げないけど、これは逃げた方がいいですよね?」って言うんだ。

カメラさんは、撮れなかったと合図するんですよ、音声さんは、「録れてます!音、録れてます!」って言ってる。

音は、ブウゥゥゥゥ…だいぶ遠ざかっているんですよね、さっきまで、近くにいたのに、敵は、こちらを明らかに意識しているんですよね。

どうします?!

 

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みんなが、私を見るんですよ、私は、無言で、人指し指を立てました。

この指とまれ、みたいにね…、もう一度、やってみるか?って言う意味なんですが……

そしたら、カメラさんが無言で頷き、ディレクターも、汗を拭いながら、「ええっ」って、局アナの女の子二人は泣いてました。

音声さんが、「いいです!」っていうから、「じゃ、いくよ!」って言っているそばから、音が近付いて来たんですよ、ヴウゥゥゥ…!

恐怖はありました。

でも、カメラ持って、怖いからこそ、夢中で近付いていったんです。

薮をかき分けながら、うわぁぁぁ!!って、心の中で叫んで。

今度は、怖いから逆に、さらに先まで進んだんですよね、で、ポラを持った手を挙げて、声のする方向に向かって、バシャ!!!
って、シャッターを切った!

パアァッと一瞬、周りが白くなった、その瞬間に、私の先、数十センチの所で、ヴウオオオオッッ!!!

うわぁ!!

みんなが叫びました。

私は、ぶっ飛んで、みんなの所へ行き、「帰ろう!これはヤバイ、帰ろう!」って、みんなで荷物まとめて、帰りを急かした。

でも、女の子は泣いてるし、機材は重いし、中々、身動きが出来ない。

一応、私が先頭に立って、道を下りた。

照明は懐中電灯2つと、照明さんのライト一本だけですから、充電切れたらアウトですよ、遭難しちゃう!

だって、まだ、凍りついているところでしょ、道も適当に入って行きましたからね、意外と奥まで入っていたんですよね。

下の雪の凍っているところを踏むと、足が、ボコッ、ボコッと埋まっていくわけですよ、足を捕られないように、注意して先頭きって、行くとね、私の向かっていく、右の薮なんだけど、同じような早さで、何かが動いて薮が揺れているんですよ。

ジャカジャカ、ジャカジャカと、何かが平行してついてくるんだ。

「ようし、撮ってやろう!」と思ってさ、ポラを取り出して構えた。

そしたら、ツルッと足が滑った、氷でもって。

滑った瞬間、パシャってシャッター切っちゃって、地面を撮っちゃた。

こりゃ、ダメだ。

先を急ごうと、みんなを急がして、進んだんです。

何とか、県道の所へ辿りついたんですよ。

もう少し行けば、ウチらの車があるんですが、よく考えたら、クイズ番組なのに、クイズ出してない事に気付いてね……

県道出たところで、局アナ二人を私の両脇に並ばしてさ、クイズだそうとしたけど、駄目なんだ、泣いちゃてさ(笑)

そしたら、音声さんが、私の後ろを、アゴでしゃくるんですよ、後ろ、後ろって。

ん?と思ったら、微かに後ろの方から、ブウゥゥゥゥ……って、だんだん来るんですよ!

うわっ!!

もう、みんなでもって、お札置いて、塩撒いて、一目散にロケバスまで走りました。

そして、ロケバスに乗り込んで、一番後ろの座席にみんなでかたまって、息を整えた。

「何んだったんだろうな?さっきの…」

で、みんなで写真をひろげて見た。

そしたら、私が山梨の女子アナを迎えに行った時に、モミの根本を撮った写真、アレ、やっぱり白骨が写ってました。

「すごいね~!」

そして、もう一つの写真、これは、私が撮った写真じゃないですよ、それは、私が中に入って行く、山梨の女子アナの腰に、ロープを結んでいる時の写真なんですが、女子アナと私が写ってる、そして、私の後ろ2、3メートルの高さの所に、青いのがポツンと写ってるんです。

それ、よく見たら、男の右半分の顔でした!

スタッフが、「稲川さん、この位置って、ちょうど首を吊った時の高さですよね?」
そうなんですよね…。

そしたら、ディレクターが、「稲川さん!コレ、やばいですよね?!コレ、テレビに出せないですよ!やばいですよ!」

半泣きなんだ。

「なにが?!」

私も彼の持ってる写真見てみた。

そしたら、それは逃げる途中で、私が足を滑らせて撮った、あの時の写真なんですね、地面を撮っちゃったわけですが、よく、レリーフってあるじゃないですか?

壁に、板を打ち出して、盛り上がって作るやつ、アレみたいに、雪が人の形に盛り上がっているんですよ…女性でした。

うつ伏せになって。

髪を振り乱して、前に出した右手で地面を掻きむしるみたいにして……

その女性の腰のあたりから、ニョキッと手が出て、赤ん坊が抱きついているんです!

女の人の上にも二つ、口を開けた男の顔が写ってました……

「これはダメだね…テレビでは使えないよ…」って、私、言いました。

もう帰ろうってことになって、ディレクターが、「ドライバーさん、車、出して下さい!」って言ったら、「はい」って、ブルンッ!ってエンジン回したんですよ。

そしたら、カメラさんが、「アレ?…エンジン掛けてなかったの?」って聞いたら、ドライバーさんが、「ええ、撮影中ですから、掛けてませんよ」って答えた。

ウソだ!だって、サッキから、ロケバスのすぐ後ろから、ブウゥゥゥゥ……って聞こえてたの、みんな聞いていた……

慌てて逃げ帰りました。

コレは、クイズ出来ませんでした。

でも、特番で別に放送されましたが、すごい反響でした。

…あの樹海には、やはり何かがあるんですよね。

(了)

 

怪談彼女 てけてけ 永遠月心悟/著

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 - 稲川淳二

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