【厳選】 怪談・都市伝説・怖い話まとめ

ネットで見つけた、都市伝説・怪談・ほんとにあった怖い話・世にも奇妙な物語・心霊系・不思議系・電波系・オカルト系のお話シリーズです♪

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ブラインド【稲川淳二】

   

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岡山での話しなんですがね。

会社勤めをしている若い女性で、仮にアヤコさんとしておきましょうか。

彼女の入居したアパートというのは、建物は古いんです。

でも中はリフォームされていて、壁も台所も綺麗だし、畳も新しい。それで家賃が安い。

ただ、狭い路地をはさんだ向こうにもアパートが経っているんで、日当たりが悪いんですよね。

部屋に日がさすのは、お昼の前後。

その短い時間だけ。

雨が降っている朝なんて夕方のように暗いんです。

それでもまあ、家賃は安いし、部屋も綺麗だし、今のところは納得してたわけだ。

ただ気になる事が一つ。彼女の部屋というのは、一階の一番端なんです。

それで狭い路地を挟んだアパート、その一階の部屋とちょうど窓と窓が向き合っちゃってるんです。

だからお互いに部屋の中が見えちゃうわけだ。

ただ、その向かい側の部屋、いつもブラインドが下がってるんですよ。

昼間もピッタリとブラインドが下がっている。

考えてみたら、日当たりの悪い部屋でブラインドというのも、おかしな話でね。

これはおそらく、覗かれたくないという気持ちからなんでしょうね。

という事は、向かいの部屋に住んでいるアヤコさんが部屋を覗くようなそんな人間に見られているようで、アヤコさんとしては、あまりいい気持ちはしなかった。

そうしてアヤコさんがその部屋に住みはじめてから、日が経っていった。

でもなんだか様子が違う。

どうやらその向かい側の部屋、空き部屋らしいんですよね。

人が住んでいるなら、いくらブラインドが閉まっていたって、たまには灯りが漏れてもいいんだけど、そんな様子もない。

人が住んでいる気配というものが、まるでないんです。

向かいは空き部屋なんだ。

でもどうしてブラインドなんて下げてるんだろうな……

と、アヤコさんは思ってた。

そんなある日、会社の同僚の女の子が話しかけてきた。

「ねえ、こんな話、知ってる?」そう言いながら、同僚の女の子が話しを聞かせてくれた。

その話しというのは、30代後半の一人暮らしの女性が、アパートの自分の部屋で死体で見つかった。

見つかった時には、死後一週間は経過しているって言うんですね。

この女の人というのは精神を病んでいる人でもって、休みをとっていたようなんですがね。

直接の死因というのが、お酒と薬の多量摂取。

それでお酒と薬を飲んで、かなり戻した。部屋中に戻したようなんですね。血も吐いている。

その戻した物を喉に詰まらせて窒息したんです。

動こうにも、お酒は飲んでいるし、体の自由がきかなかったんでしょうね。

さぞかし苦しい思いをしたでしょう。それで死体で見つかったわけだ。

ただこういう部屋っていうのは、なかなか次に人が住まないわけですよね。

死体が見つかっただけならまだいいんですが、その部屋には女の人の霊が現れるっていうんですよ。

それで、「そのアパートが、あなたの家の近くにあるのよ」って同僚の女の子が言った。

そんな話しを聞いて、嫌だなと思いながらも、アヤコさん仕事を終えて家に帰ってきた。

そしてハッと気がついた。

もしかして同僚から聞いた話しの部屋というのは、向かいの部屋じゃないかと思った。

ずっとブラインドが閉まってる。自分が引っ越してきてから、一度もブラインドが上がった事はないわけだ。

人が住んでいる気配もない。

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そんな死体の見つかった部屋、幽霊の出る部屋なんて、借りる人なんていないわけだ。

まして、そんな事のあったアパートなんて他の部屋でも住みたくない。

空き部屋ばかりだと都合が悪いって事で、ブラインドを閉めてるんじゃないかな?

アヤコさんはそう思ったわけだ。

ブラインドを閉めていたら、幽霊が出ても周りには見えないですからね。

それで向い合っている自分の部屋は、向かいの部屋が見えてしまうから、家賃が安いんだと思った。

そうやって考えていくと、全てがみんな納得いくわけだ。

うああ…嫌だ…

窓のほうに目をやると、自然に向かいの部屋のブラインドが目に入っちゃう。

でも幽霊は見たことないわけだ。

引っ越そうと思っても、そうそう簡単に引っ越せるものでもないですしね……

とりあえずは今のままで、引っ越すかは追々考えようと思ったわけですね。

それからまた日があって、その日は飲み会があった。

アヤコさんはいい気分で酔って、飲み会から帰ってきたわけだ。

酔っ払いながら、着替えようと思って、ふっと窓のほうを見た。

窓を見ると、自然に向かいの部屋のブラインドが目に入って、ドキッとした。

狭い路地を挟んだ向こう。ブラインドの隙間から明かりが漏れてる。

え?なんで…あの部屋には誰も住んでいないはず…

気味が悪いわけですから、窓の横にそっと身を潜めて、向こうの様子を窺ったわけだ。

ブラインド全体から明かりが漏れてるんじゃないんですよね。一箇所だけ。

という事は、ブラインドが上がっているわけじゃないんですよね。

誰かがブライドの隙間を広げて、外を窺っているわけだ。

よく見てみると、誰かがブラインドの隙間を指で広げて、こっちを見ている目が見えた。

その瞬間アヤコさんゾクッとした。

見てる…誰かが見てる。

死んだ女の怨霊が自分をジッと見てる。

慌てて部屋の明かりを消した。部屋は真っ暗になった。

もうすぐに寝ようと思って、カーテンを閉めた。

布団を敷いて、寝間着に着替えて、急いで横になったわけだ。

そうこうするうちに、いつの間にか寝てしまっていたんですが、息苦しくてふっと目が覚めた。

胸が苦しい。まるで誰かに載られているようで、体の自由がきかない。

息ができない。苦しい。

もがくんですが、体の自由がきかない。そのうちに目が開いちゃった。

見ると自分の掛け布団の上に、手が乗ってる。

ああ…掛け布団の上に手をのっけて寝たから苦しいんだ…と思った。

胸の上に手をのっけて寝ると息苦しくて寝られないもんですよね。

ああ、手をどかさなくちゃと思うんだけど、体の自由がきかない。

暗闇の中、その手を見ると何かがおかしいんだ。

白い手でマニュキアを塗ってある。違う…自分はそんなマニュキア塗ってない。

なおも必死にもがこうとして気がついた。自分の腕は布団の中なんですよね。

じゃあ自分の上にあるこの手は誰のなんだろう…そう思うと怖くて仕方ない。

飛び起きて声をあげて逃げたいんだけど、体は動かない。

何かが自分の上に載ってるんだ。それがズズッ…ズズッ…上に上がってくる。

…誰かが載ってる…助けて…

でも体は動かない。声も出ない。

喉はどんどん詰まってきて、苦しい。

必死になって助けてと祈るんですが、どうする事も出来ない。

ズズッ…ズズッ…上に上がってくる。

どうしようも出来ないから、必死で目をつぶった。

ズズッ…ズズッ…上に上がってくる。

何かが自分の顎に触ったんで、思わず見た。

と、布団の縁から、赤く染めた髪の毛がずるっと出てくるのが見えた。

這い上がってきてる。怖い。必死に目をつぶってガタガタガタガタ震えてる。

もう体は凍りついてる。

ザワザワザワザワ髪の毛が自分の顔の周りを動いてる。

おそらくきっと今目を開けてしまったら、相手の顔が自分の目の前にあるんでしょうね。

その瞬間、首をぐっと締められたんで、思わずアヤコさん目を開けてしまった。

と、暗闇の中で「うぅっ」と声がして、そのままアヤコさん意識を失ってしまったそうですよ。

翌朝目が覚めてみると、寝間着がぐっしょりと濡れてるわけだ。

怖かった…と思いながら、アヤコさん気がついた。

そうか…そうなのか……

幽霊がいる部屋、女が亡くなった部屋。それはブラインドの閉まった向かいの部屋じゃないんだ。

おそらく女の人が死んだのは、今自分の居るこの部屋なんだ。

だから部屋中がリフォームされていて綺麗で、家賃が安いんだ。

向かいのブラインドの閉まった部屋。

自分の部屋の霊が見えてしまわないように、ブラインドを閉めているんだろうなって思ったっていうんですよね。

(了)

 

奇々耳草紙呪詛 [ 我妻俊樹 ]

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 - 稲川淳二

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