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【稲川淳二】レコード室の女性【ゆっくり朗読】1203

      2021/05/09

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わたしがまだ二〇代の頃なんですが、有楽町にありますN放送の深夜番組のDJをやっていました。

その時に、聞くともなくなんですが耳に入ったのが、『深夜になると裏階段は使わないほうがいいよ』って事だったんです。

わたしは仕事柄いつも遅くに行くんですよね。

それで、六階に制作の部屋がある。だけど散らかっている。

そこでまとめが出来ないものだから、いつもその下の五階でやってる。

五階というと、レコード室とその隣にいつも明るく電気がついていて大きいデスクが四つ位ある部屋。

まとめるにはいいわけですよね。

夜中ですからいつもシーンとしてますよ。

で、局の入り口入っていきますよね。

受付があって奥にエレベーターが二機。

そのむこうに、表階段といわれる階段がある。

それでそのちょうど正反対のところに、裏階段があるわけですよ。

ただ、六階のわたしのデスクっていうのは、すぐ後ろが裏階段なんですよね。

はじめのうちは気にして行かなかったんですよ。

で、いつだったかそこでまとめてましたら、暗いんですよね。小さな灯りしかないから。

しかも散らかってて使えないから、じゃあ下行こうかなって思った時、ついつい忘れちゃったんですよね。

裏階段はやめたほうがいいよっていうのを。

気にもしなかった。

それで、トントントントン真っ暗な階段を降りていったんですよ。

と、五階におりると、細い廊下を挟んで向かい側にドアがある。

そのドアをあけるとレコード室なんですよ。

ただそのレコード室を突っ切る必要はないんだ。

横にちょっと行くとドアがあって、そこを開けると明るい部屋があるわけだ。

そこを通って行こうと思って、荷物を持ってトントントントン歩いていったんです。

カチャッ。

開かない。鍵がかかってる。

あら、参っちゃったなあ……

でも、なんのことはないですよ。周りこめばいいわけです。

コの字型になってるわけですよね。

この建物自体は遥か昔に作られたものなんですが、非常に景気のいい時期に作られたそうで、建物は小さいんですが、立派な大理石で出来てるんですよ。

通路は狭いが、天井はえらく高い。

それで、ほそい、ながい赤い絨毯がずっと引いてあるんですよ。

薄暗い中一人でヒッタヒッタヒッタヒッタ。

歩いて曲がる。

直線があるんですよね。ずーっと。

暗いところを、一人でヒッタヒッタヒッタヒッタ。

歩いているうちに、何気なく周りを見てたんですよね。

もう最後のコーナーですよ。

これを曲がれば表階段のほうに出れるわけですから。

ヒッタヒッタヒッタヒッタ歩いて、ひょいっと見たんですよね。

見ると、上のほうに天窓のようなものがあるんですよ。

細長い窓なんですが、それがパカっと開いてるんですよね。

見るとはなく、ひょいっと見たんですよ。

そしたら、暗い中で女の人が片付け物をしている横顔が見えたんですよ。

色の白い人で、長い黒髪の女の人が片付け物をしてるんです。

こっちは新人ですからね、「おはようございまーす」って挨拶したんです。

返事はないんだ。でも構わない。

それで表階段のほうにまわりこむ。

ドアを開けて部屋に入る。

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そこで書き物をしてたんですがね、ふっと気になったんですよ。

わたしは書き物をしている。

隣のレコード室のドアは開いている。

中は真っ暗なんですよね。

その真っ暗なレコード室の隣に、さっき女の人がいた部屋があるわけですよ。

あれ?あの人レコード室電気つけないで行ってるのかな?って思ったんですよね。

物音も聞こえない。

でも、そのまま仕事してたんです。

でもやっぱり気になるんですよ。

その人が出てくるとすれば、わたしが今作業しているこの部屋に来るしかないんですよね。

入り口は一つですから。

でも、いっこうに来る気配はないし、音も聞こえない。

段々気になって、仕事が手につかなくなってきた。

どうにも気になるんですよね。

なにしろ自分は一人で作業しているわけですからね、気になってレコード室に踏み込んでみた。

真っ暗なんだ。

床から天井まで棚があって、これが全部レコードなんですよね。

妙に薄気味悪い。

歩いていると、誰かがレコードの間から出てきて覗くようなそんな感じがする。

うわあ、嫌なもんだなあ……と思った。

何しろ音がない世界ですから。暗闇で。

でも、あかりをつけちゃまずい状況があるのかな?って思ったから、暗闇の中手探り状態でいったわけなんですね。

そして奥の部屋の前までたどり着いた。

曇りガラスがはまってるんですよ。でも中は暗いんだ。

こんな暗い中でなあ……と思いながら、しばし立ってたんですよね。

妙な気分がした。

さすがに気になったんで開けてみようと思ってね、ドアをひっぱたんですが開かないんですよ。

鍵がかかってるんですよ。

あれ?開かないじゃないかと思った。おかしいなあと思った。

やってるうちに、これはいけないぞと思った。

気持ち悪くなったんで、慌てて戻っていってしまった。

それで、まとめをやっていた明るい部屋に戻って席についた。

その時、ちょうど正面から年配の作家の先生がやってきたんで、挨拶をしてその作家の先生に

「先生、わたし今妙な体験をしたんだ」って先ほどの話をしたんですよ。

女の人が高い位置で片付け物してた。だけど出てこない。

気になって行ってみると、扉も閉まってるし中暗いんだよ。

そう言ったらば、作家の先生がすっと青ざめた顔をして、淳二それ本当だよね?って聞くんです。

本当ですよって言うと、「淳ちゃん、ここ昔ある会社の本社だったんだけど、五階って重役室なんだよね」って言うんですよ。

それで、「淳ちゃん、あんたが見た部屋っていうのはね、実は資料室なんだよ。そこでね、重役の秘書が首をくくってるんだよ。あんたが見たのは脚立に乗った女性じゃなくて、首をくくった女の位置なんだよ」って言われたんですよね。

ぞっとしましたよね。

 

でね、おまけなんですがこの話には続きがあるんですよ。

その話が広まっちゃったんですよね。

それで、その時たまたま、N放送のアナウンサーと出入りの業者の人二人が荷物を運んで表階段側から五階を通ってきたんですよ。

どうしても必要なんで。

細い通路ですから、二人のうち一人は背中向けてバックで歩く。

それも深夜だったんですよ。向かいあうように歩いていく。

と、背中を向けて歩いてたほうの人が見ると、ついてくるほうのアナウンサーが真っ青な顔をして目をふせてる。

汗がふいてるから、そんなに重くない荷物なのに、なんでこいつ汗かいてるんだろう?

アナウンサーは具合悪そうにしているから、「どうした?」って声をかけるけど、前を向かない。

また声をかけてみるけど、何も言わない。

それで、部屋について荷物を置いた。

一息ついた瞬間に、「ああ、俺嫌なもん見ちゃった」ってアナウンサーが言うんです。

理由を聞いてみると、「あんた背中を向けて歩いているから見えないだろ?俺は前を向いてるだろ?そうすると、あんたの向こうに輪郭だけの女が歩いていったんだ」

本当にここは色んな話がある場所なんですよね。

(了)

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 - 稲川淳二

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