【厳選】 怪談・都市伝説・怖い話まとめ

ネットで見つけた、都市伝説・怪談・ほんとにあった怖い話・世にも奇妙な物語・心霊系・不思議系・電波系・オカルト系のお話シリーズです♪

*

戻ってくる人形|大幽霊屋敷~浜村淳の実話怪談38

   

Sponsored Link

第38話:戻ってくる人形

ある若い夫婦の体験です。

夫婦には娘が一人いました。まだ幼く、可愛い盛りです。

いつも、お気に入りの抱き人形と遊んでいました。

その娘がある日、病気で倒れてしまったのです。

看病の甲斐無く、数日後に亡くなってしまいました。

少女の大切にしていた人形も、一緒に火葬されることになりました。

ところが……

葬儀もすみ、参列者も去った後、夫が気付くと家に人形がある……

確かに柩に収めたと思ったんですが、どうも妻が手放したくなくて、取り出したようなのです。

夫はそれに対して特に意見しなかったのですが、しかし、あまり良いこととも思いませんでした。

案の定、数日が過ぎても妻の精神状態は安定しません。

特に人形が目に入る度に妻は泣き崩れるんです。だから尚更、妻の精神状態は不安だと思いました。

結局、夫は人形を捨てることにしました。

明くる朝、夫は車で出勤する時、妻の目を盗んで人形をゴミ袋に入れ、そのまま近所のゴミ捨て場に捨てて行きました。

会社で彼は、妻からの電話がかかってこないかとヒヤヒヤしておりましたが、

「人形が無くなったのよ……」という電話もなく、終業時間となりました。

帰宅すると妻は元気に夕食の準備をしています。

それを見た夫は「なんだ……もっと早く捨ててしまえば良かった」と思いました。

すると妻が言いました。

「今朝ね……人形がどこかへ行ってしもてねぇ……心配して探したのよ」

しかもこう言いました。

「でもねぇ……夜になったら、自分で帰ってきたの……」

ハッとして夫が見ると、キッチンの椅子に今朝彼が捨てたはずの人形が座っています。

彼は考えました……

妻がゴミ捨て場で発見して、持って帰ってきたのだと。

「人形が自分で戻ってきたのよ……」というのは彼女が自分で持ち帰ったことを認識できないほど、精神状態が不安定な証拠ではないかと。

それから数日、彼はやがてその疑いを確信へと変えていました。

妻が人形をまるで生きている人間のように扱い始めたからです。

食事を三人分作ったり、風呂に入れたり、添い寝をしたり話しかけたり……

まるで死んだ娘のようにその人形を扱うのです。

彼女の目には、人形が娘に見えているのだろう、と夫は思いました。

夫はいよいよ本気で人形を捨てることを考えたのです。

そしてある朝、ついに彼はその計画を実行します。

前の時と同じように人形をゴミ袋に詰めて、夫はまっすぐ会社へは行かず、車をデタラメに飛ばしました。

ワザと道に迷い、見知らぬ街を走ります。そして彼は空き地を発見しました。

そこはスクラップ置き場になっていました。

彼はスクラップの山に登り、ゴミの隙間に人形の入った袋をねじ込んだんです。

更にその上にスクラップを積み上げて、その場を立ち去りました。

まるで埋葬のような光景でした……

その日も会社へは妻からの電話はかかってきませんでした。

だが、家へ帰ってみると妻が半狂乱の状態になっているのです。

「人形がいない……人形がいないわ……人形がいないのよ!!」

彼は妻をなだめようやく落ち着かせて、その日は早々に寝床に入りました。

……深夜、彼はかすかな物音に目を覚ましました。

何か固い物が廊下の床に当たる音です。

「泥棒か……?」

夫は思いました。

妻に注意を促そうと隣の布団を見ると、何と妻はカッと目を見開き、しかも口元には笑いを浮かべているのです。

ゾッとしながらも夫は「おいっ!」と声をかけました。

妻はブツブツと何か言ってます。

「あの子が帰ってきた……あの子が帰ってきた……人形が帰ってきたっ」と言っているのです。

何を馬鹿な、と思いつつ夫は部屋の隅のバットを手に持ちました。

音は彼等の寝室の前を通り過ぎて、階段の方へと移動していきます。

そろりと扉を開けると、音は暗闇に包まれた階段を登っていくところでした。

部屋を抜け出しバットを手に、音を追いかけます。

妻には「ここにいろ」と言った夫でしたが、妻は言うことを聞かずに付いてきます。

仕方なく夫は妻を後ろに従えたまま、ゆっくりと階段を上がりました。

カタン……カタン……カタン……

音は階段を上がりきり、やがてギ、ギ、ギィィィィと二階の部屋のドアを開けたようです。

そこは亡くなった娘の部屋です。

夫はゆっくりと部屋に踏み込みました。

「捨てるなぁ!!」

[出典:大幽霊屋敷~浜村淳の実話怪談~]

大幽霊屋敷 ~浜村淳の実話怪談~ 一覧はこちら

 

Sponsored Link

 - 人形にまつわる怖い話, 怪談, 短編

[PR]

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます。

Message

メールアドレスが公開されることはありません。

  関連記事

死に仏

俺は小さい建設会社に勤務してるんだが、その現場で体験した怖い話。 209: 本当 …

先生の腕

先生は話をする前に 「ハイッ!話し終わったら、私の腕に注目~!」 と意味不明なこ …

前世インド人なんじゃね?

うちの事務所はビルの三階に入ってます。 2014/04/03(木) 00:24: …

不運の原因

自分は人に関わる霊感はないんだけど神様や物の怪とかは分かる感がある(らしい) 2 …

挨拶の代償

恩義のあるバイト先なので具体的な地名やバイトの職種は書けないが、 518 名前: …

家系の宿命

俺がまだ幼かった頃、向かいの家は婆さんと万里さんの二人暮らしだった。 355 : …

鬼の首落とし

どこの地方の山にも伝説のような話は残っていて、 771 名前: kagiroi …

歪んでいく遺影

田舎に住むおばあちゃんが子供の住む(私の叔母にあたる)、某都市へ引っ越しました。 …

時空を超えた車

単なる偶然かもしれないし、本当に何か不思議な話かもしれない、そんな話です。 この …

クタクタクタ

今から三年位前かな?怖い思いをしました。 244 名前:あなたのうしろに名無しさ …