【厳選】 怪談・都市伝説・怖い話まとめ

ネットで見つけた、都市伝説・怪談・ほんとにあった怖い話・世にも奇妙な物語・心霊系・不思議系・電波系・オカルト系のお話シリーズです♪

*

灰色のっぺらぼう

   

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去年の十一月末頃のこと。その日俺はバイトのシフトが入っていたので、大学から直でバイト先に向かった。

857 : 2012/04/29(日) 20:38:15.16 ID:xwR1mIdl0

そしていつも通り仕事をしていると、店の外にチラッとなんか変な物が見えた。

色は白に近い灰色、人の形をしているのだが、胴体や手足頭はあるけど、他に体の凹凸みたいな物が何も無く、のっぺりしている。

服を着ているようにも見えないけれど、色の事もあって全裸という感じでも無さそう。

そんな感じの奇妙な物体が、店の前を通り過ぎていく。

うわなんだあれ、と思った俺は、まだ客も少ない時間だった事もあり、外へ出てそれを確認してみると、

やはり人のような形はしているが人では無さそうで、自分の真横を通り過ぎたので顔も見えたのだが、

頭はあるけど、のっぺらぼうのように目鼻口も髪の毛も何もない。

かといって前身タイツを着ているような感じでもない。

150813_001

俺は急いで店の中に戻り、丁度近くにいた店長に「なんかすげーのいるんすけど!」

と、外に連れ出して見せたのだが、どうも店長には見えていないらしく、

お前何言ってんだ?的な目で見られてしまった。

というより、こんなものが外を歩いていたらみんな注目するはずなのだが、

そもそも騒いでいるのは俺だけっぽく、どうやらその場の他の人には見えていないようだった。

その後もバイトの何人かに聞いてみたのだが、やはり俺以外には見えていないらしく、そのうち俺がおかしくなったと思われてしまったのだろう。

店長に、「お前最近レポート忙しくて大変だとか言ってたよな?別にクビにするとかじゃないから、暫らく休みを取るか?」

とまで言われて、かなり心配されてしまった。

このままだと俺は頭のおかしいやつだと思われてしまう。

そもそもあれは見る限り、こっちに危害を加えてくるような物でも無さそうだし、それにこっちに干渉してくる様子もない。

もしかしたら、本当に俺が幻覚かなにかを見ているだけなのかもしれないので、

とりあえずは見えても気にしないようにする事にし、店長その他には、

「ただの冗談だから気にしないで」的な事を言ってお茶を濁して、その場は納めた。

それから数日、俺は見えないふりを続け、気にしないようにしていたのだが、

俺とは違う曜日にバイトに入っている高校生の大内君が、バイトの終わる時間にやってきて、こう言い出した。

「名倉さん、なんか変な物が見えるって言ってたらしいけど、それってどんなのだったんですか?」と。

今更蒸し返すのかよwなにこれ?新手の嫌がらせ?と思った俺は、苦笑いしながら

「あーあれ冗談だから、あんまマジにならんでくれよ」

と返すと、大内君は真面目な顔で、

「いや、おかしなやつだと思われるから黙ってたんだけど、実は俺も数日前から、変な人みたいなの見えるんですけど……」

と言い出した。

嘘をついている様子もなく、話を聞いてみると細部まで俺の見た物と同じ。

更に大内君が言うには、どうもあれはただ道を歩いているのではなく、特定の人の後をついて行っているようだとの事だった。

ちなみに、これも俺は気付いていなかったのだが、実はあの人のようなものは、一時間に一人か二人くらいは店の前を通っているらしい。

一日に一人か二人くらいだと思っていたが、結構な頻度のようだ。

その後も大内君と色々話した結果、やっぱあれが何なのか気になるので、二人とも学校もバイトも休みの日を使って、後をつけてみようということになった。

当日の午前中、二人でバイト先の近くの曲がり角で待機していると、結構直ぐにそれと出くわした。

どうやら今回は、二十代後半くらいの女の人の後をつけているらしい。

ただし、なんか今回のそれは普段とちょっと様子が違った。

俺も大内君も、今まで見たものはどれも、白っぽい灰色で人の形をしている何かなのだが、今回のそれは色が明らかに黒みがかっていて、更に体の一部が欠損している。

具体的には、右肩からわき腹にかけての部分が円形に抉れている。人ならばその時点で即死レベルの欠損だ。

大内君が「なんだあれ、キモ!」と言うと、言葉とは裏腹にさっさと後をつけだした。

そして俺に、「名倉さん、今まであんなの見たことあります?」と聞いてくるので、俺は

「いや、普通の白っぽいのしか見た事無い」

と返すと、なんか嫌な予感がしたが、気のせいだと自分を納得させて、慌ててあとをつけた。

十分ほど歩くと、ある場所にたどり着いた。そこは某テレビ局のビル。

女の人は後ろの人のような物体と一緒に正面玄関からビルの中に入っていったのだが、俺と大内君はビルを見て絶句してしまった。

なんとビルの周りに、例の人のような物体が相当な数いる。

10とか20ではない。見た感じ300とか400とかいる。

一日に何度も見かけるのであれは一人ではないとは思っていたが、まさかこんなに多いとは思わなかった。

それは大内君も同じらしく、同じく絶句している。

それから二人で少し観察してみたのだが、色々な事が判った。

人のような物体の色は結構区々らしく、真っ白に近いものもいれば、真っ黒に近いものもいる。

また、体の欠損部分もかなり多岐に渡っていて、さっきの女の人についてきていたやつのように、

胴体の半分近くがないものもいれば、欠けているのが腕だけとか、頭の1/3くらいだけとか、

片足だけとかのもいれば、逆に上半身が丸々ないものまでかなり様々だ。

勿論、俺たちが以前見たように、何の欠損もないやつもかなりいる。

また、色の明暗と体の欠損具合にはあまり関連性が無さそうで、黒っぽいor白っぽいから欠損が大きいというわけでもなさそうだ。

そして興味深かったのが、人の後をつけているやつはビル内にまで入っていくが、

単独でいるやつは、ずっとビル前や地下駐車場?みたいな場所で待機していて、

ビルから出てきたまだそれがついていない人に、全員ではないがついていくらしい。

原則一人につき一体つくようなのだが、出てきた人全員につくわけでもなさそうだし、

つかれた人もいろいろで共通点があるようにもみえず、つく人とつかない人の違いが判らない。

ちなみに、車やタクシーで出て行く人の場合には、乗り込んだ瞬間に、

人のような物体が車の中に吸い込まれるように入って行き、

ターゲットが車から降りる場合には、車体からスーっと現れてついていく。

大内君も俺もバイトを始めてから、物珍しさもあってこのテレビ局のところまできたことはあるのだが、過去にこんな物は見た事がない。

訳が解らないしかなり異様だ。

 

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そんな事を何となく考えていると、なんの気配も無くいつの間にか大内君の後ろに『それ』が現れた……

「え?」と思って大内君に声をかけようとすると、そいつが俺たちに

「ねぇ、気付いてるの?見えてるんでしょ?」と話しかけてきた。

その声はかなり異様で、まずぐぐもり過ぎていて、男の声なのか女の声なのかも判別できないうえに、

喋るたびに、電波状況の悪いAMラジオのように変なノイズのようなものが入る。

大内君は明らかに動揺し、後ろを振り向こうとしたので、俺は慌てて腕を引っ張り、

うしろのやつから少し離すと、小声で「何も答えず振り向くな、あとのやり取りは全部メールでするから」と伝えた。

なぜこんな対応をしたのか、実は今になっても俺自身にも良く解らない。

ただ、その時俺は強烈に、やつに何も答えてはいけない、気付いた素振りもしてはいけない、と感じていた。

そして大内君へメールで、

『とにかく何も気付いていない振りをしろ、こっちが気付いていないとあいつらが諦めるまで演技し続けろ』

と送り、メールを読んだのを見計らって、

「とりあえず昼飯でも食いに行くか」と白々しく言い、その場から離れる事にした。

とにかくこの場から遠くへと離れたかった俺たちは、

「何が食いたい?」とか、「どこそこに良い店がある」とか、

ひたすら不自然にならない程度に会話を繋げていたのだが、こういうときに限って中々会話が繋がらない……

お互い無理に会話を始めて、すぐに途切れるなんてことを続けていたのだが、その間も俺たちの後ろにいる人のような物体は、

「ねえ、見えているんだよね?気付いているんでしょ?」とか、

「無視しないで答えてよ、判ってるんだよ?」

とか話しかけてくるうえに、信号待ちなどで止まると顔を覗きこんでくる。

しかも、話し方は丁寧でなぜか妙に馴れ馴れしいのだが、口調は微妙に悪意の篭った感じで、

そのうえ顔は完全なのっぺらぼうで表情が読み取れないから、かなり怖い。

不自然な、まるで会話のキャッチボールになっていない会話をしながら、

俺はふと、この場所からかなり遠くにある美味いと評判の洋食屋の事を思い出し、大内君に

「ちょっと遠いけど、なんか美味いって評判の場所知ってるから、そこいかね?」

と話を持ちかけた。

そして駅へと向かい電車に乗ると、三十分以上かけて目的地の駅までたどり着いたのだが、改札を出た辺りで大内君が俺にメールをしてきた。

『なんか例の人みたいなやつら増えてるんですけど……』と書かれている。

ぎょっとした俺が大内君の顔を見ると、かなり動揺しているのが判る。

電車に乗っていたときは一人しか見かけなかったはずだが、一体どこで……

と思いながら、信号待ちしているときを見計らって、不自然にならない程度に後ろをチラ見して愕然とした。

やつら十人以上いる……

増えたと言うから、二人になったとかそういう事じゃないかと予想していたんだが、これは予想外だ、怖すぎる。

話しかけてくるのは一人だったのに、まさかこんな事になっているとは。

動揺を必死で隠しながら目的地の洋食屋に到着し、俺はカレーライスを注文した。

が、ぶっちゃけ恐怖と不安と、連中に気付いている事を悟られないようにするのに必死で、どんな味だったのか全く覚えていない……

大内君も同じようなもののようで、とても傍目にも美味い物を食っているようには見えなかった。

そもそも連中は、全員で俺たちのテーブルを囲んで、時々思い出したかのように

「気付いてるんだろ?」とか話しかけてくるので、味わって食べる余裕などあるわけもないのだが……

その後も二人で服を見に行ったりゲーセンへ寄ったり、思いつく限りの『休日の暇つぶし』をして気付いていないふりをし続けたのだが、

その甲斐あってか、夕方頃になってやっとつけ回して来るやつらの人数が減りだし、

お互い家路に付く頃には、ついて来ているのは二人だけになっていた。

が、この二人だけがなかなか離れてくれない。

仕方が無くメールで、

『今日はひとまず帰ろう、だいぶ離れたんだそのうちこいつらもいなくなるはずだ、がんばれ』

とメールを送ると、とりあえず今日は解散して帰ることにした。

俺と大内君が別々に歩き出すと、案の定ついてきていた二人は、一人ずつ俺たちについてきた。

そして自宅のアパートまで帰ってくると、予想通りやつは部屋の中まで入ってきて、相変わらず「気付いているよね?」などと話しかけてくる。

いい加減しつこくて、恐怖心よりもウザくなってきたのだが、反応したら何が起きるのかが恐ろしくて無視していた。

そのうちやつらのほうもイラついてきたのかもしれない。

寝る頃になると「気付いているんだろ?早く答えろ!」とだんだんと語気が荒くなってきて、しゃべる頻度も上がってきた。

が、布団に入り電気を消す頃になると、さすがに諦めたのか、「なんだ、気付いてないのか……」と言うと部屋から消えてしまった。

ホッとしてそのまま寝ようとしたとき、大内君から電話が来た。

電話に出ると、どうやら大内君のところのやつもいなくなったらしく、かなりうれしそうに

『名倉さん、やっとあいつらいなくなりましたよ!そっちどうですか?!』と、なんか涙声で聞いてくる。

どうやら不安感から開放されて、電話越しに泣いているらしい。

ただ、俺はどうもあれだけしつこかったのに、最後があっさり過ぎたのが腑に落ちず、

「大内君ちょっと落ち着け。まだどうなってるか判らないから様子を見よう」

と言うと、大内君は、

『もうだいじょうぶですよ!それよりあいつ、最後に変なこと言っていたんです。なんか、気付いていたら……(聞き取れず)たのに……って』

と言った瞬間、電話越しに

『あ……』と大内君の声が聞こえて、電話が切れてしまった。

マジかよ……と思いながら、慌ててリダイヤルで大内君の携帯に電話したのだが、何度コールしても大内君が出ない。

そもそも俺は大内君の自宅の場所なんかは何も聞いていないので、それ以上どうすることも出来ず、

かといってこの状態で寝る事もできず、更に、まだやつらがいる可能性すらある状態で気を休める事も出来ず、

朝までゲームをしたりネットをしたりして時間を潰すと、まだ大学の講義の時間まで少し余裕があったので、バイト先に大内君の住所を聞きに行く事にした。

バイト先に着くと店長がいたので、昨日の夜大内君の様子が変だったと話し、

心配なので様子を見に行きたいから住所を教えてほしいと言うと、店長は、

「いや、なんかあいつ、昨日自分の部屋にある本棚の下敷きになったらしくて、命に別状は無かったようだけど、入院したって話だぞ。さっき母親から、そういう事で暫らくバイトに出れないと電話があったんだが」

と言ってきた。そして俺に、入院先の病院名と病室の番号を教えてくれた。

その日の夕方、俺は大急ぎで大内君の入院している病院に見舞いに行った。

すると、頭を打ったようだが特に大事になったわけでもなく、何日か検査するために入院するけど、それが終れば退院できるらしく、それほど大事ではなかったようだった。

そこで、昨日の夜何があったのかを聞いてみようとしたのだが、大内君と大内君の母親が言うには、

どうも頭を打ったことで短期的な記憶喪失?のような状態になっているらしく、昨日丸々一日の事が一切思い出せないらしい。

ただ、本当に『昨日の記憶が無いだけ』ではないのは明白だった。

なぜなら、例の人っぽいものの事をそれとなく聞いてみたのだが、大内君はそんなもの知らないと言う。

昨日より前からそのことは知っていたのに、だ。

昨日の記憶が抜け落ちたというより、人っぽい何かに関係した記憶がすっぽり抜け落ちた、という表現の方が正しいだろう。

あの後やつらに何かされたのだろうか?

が、それ以外には特におかしなところも不自然なところもなく、普通のいつも通りの大内君だった。

ちなみに、大内君は三日ほどで退院でき、バイトにもすぐに復帰したのだが、その後も現在までおかしなところは何もない。

それと例の人っぽいものなのだが、俺のほうはあれからも暫らく見えていたのだけれど、いつの間にか見えなくなってしまっていた。

俺をつけ回していやたつの声も、あの晩以降は一切聞いていないので、さすがにもう大丈夫だろう。

気になるのは、テレビ局の前に大量にいたあれは何だったのか、結局それは今現在に至るまで正体も目的も不明だ。

あの態度からして、ろくでもない存在なのは間違いないが、今となっては確認する術もない。

(了)

 

怪談 [ ヤン・シュヴァンクマイエル ]

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