【厳選】 怪談・都市伝説・怖い話まとめ

ネットで見つけた、都市伝説・怪談・ほんとにあった怖い話・世にも奇妙な物語・心霊系・不思議系・電波系・オカルト系のお話シリーズです♪

*

名鉄病院の前にある小さなトンネル

      2015/08/18

Sponsored Link

.

藤原君はどう考えてもおかしい。

そう気付いてから数ヶ月が過ぎたあるとき、俺は藤原君と藤原君の彼女のヒロミちゃんといっしょに、何故か心霊スポットに行くことになった。

その心霊スポットは名古屋のある小さな町の、名鉄病院の前にある小さなトンネルで、カナリやばいという噂がある。なんでもその病院に入院してた女の子が同室の患者に悪戯されて、ショックのあまりそのトンネルで自殺したんだそうな。

そんでその子が死んだ場所には何故か赤いススキが生えているという。

目茶苦茶ありがちな怪談で、嘘か本当かなんてわからないし、むしろ俺はタチの悪いただの噂だと思っていたが、赤いススキだの自殺した女の子だのは別として、そのトンネルでは実際に頻繁に事故が起きていた。

こないだは確か中学生がはねられて死んでいる。

それは紛れもない事実なので、やはり多少怖かったし、チキンな俺としてはできれば行きたくなかった。

しかしその噂を聞き付けた藤原君によって、俺はその噂のトンネルに行かなければならなくなった。

断ればよいものを…と思われるだろうが、ヘタレな俺には断り切ることなどできなかったし、しかも今回は、藤原君だけじゃなく藤原君の彼女のヒロミちゃんもいる。

ここで断れば、俺は明日学校いちの臆病者にされてしまうので、結局そのトンネルに行くハメになった。

かなり長い前置きになったが、その日の夜、取りあえず俺と藤原君とヒロミちゃんはトンネルに向かった。

トンネルはひどく暗く、照明の類いは何もなかった。

苔なのか何なのか知らないがヌルヌルするものがあちこちにあり、かなり気色悪い。

「めっちゃ不気味やなあ…なんか御誂え向き、ってカンジ?」

ヒロミちゃんの声がトンネル内に響く。

二か月前に関西から転校してきたヒロミちゃんが、藤原君とどうして付き合うまでに至ったかはよくわからないが、さすが藤原君の彼女と言うべきか度胸は座ってるみたいで、先陣きってサクサク進んで行く。

俺はというと、藤原君にしがみつきながらノロノロ歩いているだけだった。

「ここ、すごいね」

真中まで来た頃、藤原君が嫌なことを呟いた。

「『なにが』、とか聞かないほうがいい?」

「噂では女の子だったけど、ほかにもたくさんいるみたいだね」

藤原君は俺を無視して続ける。

「年寄りにガキにおっさんに…やたら古いのもいるな。あとは…」

藤原君の言葉に俺はガクブルしていた。そんなにいるなんて、やっぱり来なけりゃ良かったとひどく後悔した。

しかしそのとき、

「なあー、これちゃうんー?赤いススキー」

トンネルにヒロミちゃんの声が響く。懐中電灯だろうか、グルグルと光がこちらに向けられる。

「でかしたヒロ、見せてみろ!!!」

藤原君が嬉嬉として走って行く。

俺も追いかける、が、

「あいだっ!!」

なにかにつまづいてすっころんだ。

あっという間に藤原君達は闇に消え、俺は取り残された。

不安になって半泣きになり、

「藤原君ー!!ヒロミちゃーん!!」

と何度も叫んだ。

すると、

「こっちだよ」

女の子の声が後ろからした。

だが、まさかその声の主がヒロミちゃんだなんて俺は全く思わなかった。

先に進んで行ったヒロミちゃんが、このわずかな隙に俺の後ろに回れるわけもない。つまり、後ろにいるのは……

「うあぁあああ!!」

俺は絶叫して走った。振り返る勇気もない。ただ走るしかなかった。

「こっちだよ、ねえ、こっちだよ」

相変わらず声は聞こえてくる。しかも段々迫ってくるように感じた。

「こっちだってばあ!!!」

ひどく掠れた声が耳元に鳴り響いた。

「藤原君藤原君藤原君藤原君!!!!」

俺は藤原君の名前を叫びながら走った。

そんなに長いトンネルでもないのにひどく遠く感じた。

前のほうに藤原君とヒロミちゃんらしき影が見えて、更に走った。

「どこ行ったか思たら、何してんの」

ヒロミちゃんがキョトンとした顔で俺を見ていた。手には赤茶色のススキが握られている。

「ひひひひろみちゃんふ藤原君帰ろうよ」

俺は息切れしながら言った。

しかしヒロミちゃんはゲラゲラ笑い出し、

「なんでよーまだ来たばっかりやん。やっとススキも見つけたんやで、ほら」
と言った。

しかし、

「…ヒロミ。佐倉。走れ」

藤原君がボソリと呟いた。

差し込まれた月明りに照らされた横顔は、ひどく青ざめていた。

「ふ、藤原くん?」

「いいから走れ!!!!」

藤原君は怒鳴るなり俺とヒロミちゃんの手を引いて走り出した。

藤原君の長い前髪から覗く瞳はひどくつり上がっていて、ものすごく焦っているのがわかった。

あの藤原君が青ざめている。それは俺にとって背後の何か以上の恐怖だった。
藤原君が怯えるほどの何かが、ここにはいる。それがすごく怖かった。

「もう…何なんよ、いきなり…」
ひたすら走ってトンネルを抜け、気がつくと病院の裏手に出ていた。

ヒロミちゃんは未だに意味がわからないらしくキョトンとしている。

「久し振りに凄まじいのを見たよ」

息を切らしながら藤原君が言う。

「自殺した女の子なんて可愛らしいもんじゃないね。相当恨みが深いのか、ただ無邪気なだけなのか」

「無邪気…?」

「子どもだよ。5,6歳の子ども。最も顔半分は裂けてるし、可愛げなんか欠片もないけどね。キミが随分お気に入りだったみたいだよ」

藤原君がニタリと笑った。

俺はひどくゾッとした。あの声が耳に蘇る。『こっちだよ』

あの声に反応していたら、今頃俺はいなかったかもしれない。そう思うと尚更恐怖を感じた。

「キミだけが連れてかれるならまだしも、あのままなら僕やヒロミも危なかったからね。ああ怖かった」

藤原君はヤレヤレといった様子で歩いて行った。僕も後に続く。

「なんか意味わからんわ。あたしだけハミーにされてるやん」

と、ヒロミちゃんは文句を言っていた。

ある意味彼女が一番最強な気がした。

Sponsored Link

 - 藤原君シリーズ

[PR]

Message

メールアドレスが公開されることはありません。

  関連記事

アヤカちゃん

. クラスメートの藤原君がおかしいことに誰も突っ込まないのがいちばんおかしいと思 …

藤原君の家に初めて遊びに行った

. 藤原君はヤバイくらいおかしい。 それが当たり前になってきた冬のある日、学校帰 …

藤原君はおかしい

. クラスメイトの藤原君はどうもおかしい。 と気付いたのは、半年前くらいに、たま …

バレンタイン

. 藤原君がおかしいと言うより俺のまわり全てがおかしいんじゃないか、と思い始めた …

記念撮影

. 藤原君の性格の悪さは救いようがないと思う夏の今日この頃。 藤原君が泊まりにく …

鼓動

. クラスメイトの藤原君はすごくおかしい。 そう気付いてから一年くらいたった冬の …

夜の学校

. 藤原君はかなりおかしい。 そう気付いてから数週間が経った頃、俺の学校には学園 …

病院に行ってきた

. クラスメートの藤原君は常におかしい。 そんな彼と昨日病院に行ってきた。ヒロミ …

地元で有名なアパート

. クラスメートの藤原君がおかしいことに何ら違和感を感じなくなってきた今日この頃 …

PREV
夜の学校
NEXT
鼓動